相続登記を怠ると10万円の過料に…実家に帰るときに確認したい「親の没後」に備えるチェックリスト

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2024年05月09日 06:10  web女性自身

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高齢の親をもつ人が直面する相続の問題。だが、実際にどう手続きを進めていけばいいか、わからない人も多いはず。損しないためのやるべき順番を教えます。



「4月1日から、相続登記が義務化されました。これまでは、亡くなった人(親など)の土地や建物を相続した際、所有権を引き継いだ人(相続人)の名義に変更するのは任意でしたが、義務化後は、所有権の取得を知った日から、原則3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科せられます」(全国紙社会部記者)



“空き家”問題をはじめ、誰の土地かわからないために都市開発などの用地買収の交渉ができない、あるいは、土砂崩れなどの防災対策が必要な場所であっても工事ができないといった、“所有者不明の土地”絡みのトラブルが国内各地で相次いでいる。



国土交通省の調査によると、全国で所有者の所在が確認できない土地の割合は国土の24%。九州の面積よりも広いという(2022年度)。



相続登記の義務化は、所有者不明の土地問題を解消するための新ルール。なお、4月1日以前に相続した相続登記未了の不動産も義務化の対象となったので、該当者はいますぐチェックが必要だ。



じつは、相続に関するルール改定は不動産だけではない。2019年以降、次々と法改正が行われた。なかには、知らないと損をする可能性のあるものも。



「相続で損をしないために、親の生前にやっておいたほうがいいことがあります。それは預貯金、不動産、株や投資信託、保険、借金の有無などの財産状況を把握しておくことです。できれば親の同意のもと、相続人全員で情報を共有し、事前に相続の方針を決めておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます」



こう語るのは、相続問題に詳しい、司法書士法人さくら事務所の坂本孝文さん。



本誌は、坂本さんのアドバイスをもとに、相続で損をしないために、「親の生前にやるべき手続き6」「親の没後にやるべき手続き15」を“やるべき順”にチェックリストにまとめた。さらに、「確認すべき親の財産8」もまとめたので、チェックしてみよう。





■亡くなった親の預金を引き出せる制度も



まず、親の生前にやっておくべきことは、財産状況と相続人の名前と所在をどれだけ把握しているか。そして現時点で、遺言書の有無をチェックすることだ。



「親にとっても、相続発生後に相続人の間でもめることは望んでいないはず。遺言書が作成されていなければ、作成することを勧めてみましょう。ご本人の意思や希望が書かれていれば、没後に相続人の間でトラブルになる可能性は極めて少なくなります。できれば、公証役場で作成する公正証書遺言にするほうが、信頼性は高いでしょう」(坂本さん、以下同)



ちなみに、昨年の公正証書遺言作成件数は、11万8981件(日本公証人連合会)。証人不要で、本人の意思で自由に作成できる自筆証書遺言を含めると、毎年かなり多くの遺言書が作られている。



また、特別な貢献や援助をした相続人が、遺産分割で法定相続分よりも多く財産を相続できる“寄与分”という制度がある。



もしあなたが親の介護などを長年担っている場合、相続財産の割合が増加する可能性があるので、どのようなことを行っているか、記録し、親のために負担した費用の領収書なども残しておこう。寄与分を請求できる期限は、親が亡くなってから原則10年以内だ。



それでは、親が亡くなってしまってからの手続きはどうすればいいのだろうか。葬儀費用などを支払う手持ちのお金がない場合は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用するといい。



「急な出費でお金が必要な場合に対応するための制度です。まだ遺産分割協議が成立していなくても、相続人であれば、親の口座がある金融機関に自分の戸籍謄本を提出すれば、預貯金額の3分の1から法定相続分を、最大150万円まで払い戻しを受けることができます」



たとえば、亡くなった親の銀行預金が600万円で、あなたときょうだいの2人が相続人だった場合、預金の3分の1にあたる200万円から、2分の1にあたる100万円の払い戻しを受けることができる。



親の没後に、早めにやらなければいけないのが、年金の受給の停止や介護保険や国保の資格喪失手続き。親が住んでいた家を使わない場合、公共料金や固定電話などの解約手続きも迅速に。



相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行う。



「相続発生後、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。協議がまとまれば遺産分割協議書を作成し、協議がまとまらない場合は、家庭裁判所を介して話し合いを行います」



親の借金額が多い場合は、相続放棄をする選択肢もある。



「自分が相続人になったと知ってから、原則3カ月以内に裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。ただし、相続放棄をすると、プラスの財産もすべて相続できなくなり、後から撤回もできません」



親が所有していた売却、活用のめどが立たない不要な土地の場合、国に引き取ってもらうことも。



「毎年の固定資産税や管理コストのせいで、赤字が膨らむような土地の場合、所有権を手放して国庫に帰属させる『相続土地国庫帰属制度』を利用することもできます。これは相続放棄とは違い、必要な財産だけを相続して、不要な所有権を手放すというものです。



ただし、建物が建っている土地や境界線が不明確、土壌汚染、急勾配の崖の上にある土地などは申請しても却下されるので、利用できない可能性もあります」



この中で気になったチェック項目は、さらに自分で詳しく調べて、相続で損をしないための知識を身につけておこう!

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