<パリ同時テロ>もし海外で「テロ」に遭ったら「旅行保険」は補償してくれるのか?

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2015年11月18日 11:41  弁護士ドットコム

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フランスの首都パリで11月13日夜(現地時間)、コンサートホールやレストランなどで、爆弾や銃撃による同時多発テロ事件が起きた。報道によれば、129人が死亡し、350人以上が負傷した。


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今回のテロ事件を受けて、海外で駐在や旅行をしている際に、テロに遭遇するかもしれないと不安に思った人も少なくないのではないか。外国での事故に備えて、海外旅行保険に加入する人が多いだろうが、どこまで補償されるのか、気になるところだ。



というのは、保険の約款の中には「免責条項」が定められていて、特定の事情で発生した損害について「保険会社は保険金を支払いません」と規定しているからだ。この中に「戦争やその他の変乱」といった文言が含まれていることは珍しくない。



もしテロが「戦争やその他の変乱」にあたるとすると、万が一、海外でテロに遭遇した場合に、保険金を払ってもらえない可能性がある。その点はどうなのだろうか。弁護士ドットコムニュースの記者が、ある大手損害保険会社に取材したところ、次のように説明した。



●テロでの被害は「旅行保険」で補償される?


そもそも、テロは海外旅行保険の対象になるのか。損保会社の広報担当者は「今回のように海外でテロに遭遇した場合には、弊社の海外旅行保険に加入している場合には、補償の対象となります」と回答した。



ただ、同社のウェブサイトでは、「保険金をお支払いできないケース」として、「戦争やその他の変乱」をあげている。テロは「戦争やその他の変乱」にあたらないのだろうか。



その点について、この損保会社のサイトは「テロ行為(政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行為)は除きます」と注釈をつけている。つまり、テロは「戦争やその他の変乱」にあたらないというわけだ。



なぜ、テロは戦争とは違い、免責条項に該当しないのか。これについて、広報担当者は「テロはその事象が突発的に発生し、戦争・内乱等と異なり、発生地域・場所が限定的かつ小規模で散発的なものであることから、補償の対象としています」と説明した。



●テロから「戦争」に至った場合は、どうなるのか?


では、今後「テロ」をきっかけに「戦争」に至った場合は、どうなるのだろうか? この質問への答えは少々、複雑だった。



「テロ行為が組織的かつ間断なく継続的に行われ、平面的な広さをもち、これを阻止しようとする勢力と交戦状態に至り、『戦争・内乱等』に該当する場合には、『戦争・内乱等』に至って以降、免責事由に該当することが想定されます。



免責事由に該当する、他国間の戦争・外国の武力行使などを起因に生じた傷害または疾病に対しては、保険金をお支払いしません」



つまり、テロをきっかけに「戦争」になった場合は、「免責事由」に該当するとして、保険金は支払われないのだ。



フランスのオランド大統領は11月16日、自国が「戦争状態にある」として、テロ直後に出した非常事態宣言の3カ月延長を議会に要請する方針を明らかにした。もし今後、フランスで大きな殺傷事件が起きた場合は、保険会社が「戦争」と判断して、保険金を支払わない可能性もありうるのかもしれない。



また、今回取材した損保会社では、先に紹介したような取り決めがなされていたが、会社によってルールが異なる場合もある。海外旅行保険に加入する際には、しっかり約款を確認したほうがいいだろう。



(弁護士ドットコムニュース)


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