乾癬治療が目指す「病気を忘れることができる」という患者さんのQOLとは

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2015年12月07日 18:00  QLife(キューライフ)

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乾癬の基礎知識と患者QOLを学ぶ勉強会を開催

東京医科大学皮膚科教授 大久保ゆかり先生

 乾癬は、皮膚病の約2%、国内の患者数は約20万といわれています。女性1人に対して男性は1.5人と男性に多い疾患で、発症のピークも男性は60代が多く、女性は、30代と50代がピークです。乾癬は外見上目立つため、仕事や対人関係に影響が大きく、身体的負担はもちろん、精神的なストレスを抱えています。

 日本イーライリリー株式会社は12月2日に「乾癬、最新の治療動向と患者さんのQOL」と題したプレスセミナーを開催。乾癬領域の第一人者である東京医科大学皮膚科教授の大久保ゆかり先生を招き、乾癬患者さんの身体的、精神的影響によるQOL(生活の質)の低下や治療法の進歩によるQOLの変化について、患者さんの実態を交えた講演が行われました。

乾癬は治らない病気ではなく、コントロールできる病気へ

 乾癬は皮疹を伴う慢性の皮膚疾患で、皮膚の表面が赤く盛り上げり、乾燥した角質が白くふけのようになりぽろぽろとはがれ落ちる皮膚症状が特徴です。また、乾癬(かんせん)という病名が「感染」を連想させることもあり、うつる病気だという誤解もうまれているため、病名変更も検討されるべきという意見もあります。

 大久保先生らの論文「SKindex-16/GHQ-28を用いた乾癬患者に対するQOL評価と治療満足度調査」では「乾癬患者さんは、軽症でも現在の治療に満足しているとはかぎらない。治療の選択は、皮疹の重症度だけではなく、QOLや精神的健康状態を把握するために具体的な質問を行い、個々の患者さんのニーズにあった治療提案が重要である」としています。

 また、治療に対するストレスもあります。外用薬を塗るだけで平均15分を要します。10分以上かかるとストレスが増加するため、薬物療法や光線療法などの全身療法を積極的に取り入れ、外用薬を塗る面積を少しでも少なくすることがQOLの改善につながります。

 「当たり前の生活が今まで乾癬の患者さんはできませんでした。生物学的製剤の登場による新たな治療法によって、多くの患者さんが救われています。乾癬は、早期診断早期治療が重要です。重症化してしまってからでは、薬の効果もぜんぜん違います。乾癬は治らない病気ではなくなりました。適切な治療でコントロールできます」と大久保先生はいいます。

 患者さんの一番の望みである「病気を忘れることができるようになった」という患者さんもいます。乾癬はQOLに影響が大きい病気です。患者さんのQOL向上のためにも、さらなる治療法と薬の開発が期待されますが、周囲の人たちや社会の乾癬に対する理解も大切です。(QLife編集部)

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  • なんだこりゃ。大久保先生も大変だなあ。。
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