自律走行車と人工知能。切っても切れないこの2つの関係は、たったひとつのブレイクスルーで結実する。それはなにか。
車載可能な小型スーパーコンピュータの登場である。誰もが分かっていたことだが、これを現実にするのは困難を伴う。
その困難を実現してしまったのは、グラフィック・プロセッサで名をはせたNVIDIAであった。
MacBook Pro 150台分のディープラーニング演算可能
NVIDIAが『CES 2016』で発表した車載人工知能エンジン『NVIDIA DRIVE(TM) PX 2』は1秒間に24兆回ものディープラーニング演算能力をもち、これは 150台分のMac Book Proに相当する。
自律走行車では高解像度化、複数化するカメラ、レーダー、LIDAR、超音波センサーなどの複数のセンサーからの情報を解析、刻々と変わる状況に応じて適切な判断をするために人工知能技術は欠かせない存在だ。
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その人工知能のコアとなるのがディープラーニングであり、処理能力はすなわちCPUとGPUの能力に依存する。
NVIDIA DRIVE PX 2は12個ものカメラ画像、その他センサー情報を同時に処理することが可能で、その結果障害物を検知し、適切な操作を行うことができるようになる。
スーパーコンピュータに匹敵するCPU/GPUを提供するだけではなく、『NVIDIA DriveWorks』と呼ぶソフトウェア・ツール、モジュール、ライブラリを提供、アプリケーション作成をサポートする。
物体の検出、分類、分割から位置のマッピング、経路探索といった機能が予め用意されるため、各自動車メーカーは自律走行車自身の開発に専念することができる。
拡がる人工知能応用分野
コンピュータの性能向上は止まることがない。一方でその処理能力を一体何に使えばいいのか、CPUメーカーは産業分野にひとつの指標を与え続ける必要がある。
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昨今ムーブメントとなっている人工知能、ディープラーニングはその中にあって処理が重く、高性能CPUが必要とされる非常によい応用のひとつだ。
そして自律走行車は人間並み、いや人間以上の処理能力を要求されるため、人工知能の活躍の場であることは間違いない。
自動車メーカーだけではなく、CPUメーカーが本気になったことで、ますます自律走行車の開発は加速していくだろう。
【参考・画像】
※ NVIDIA、世界初の車載人工知能スーパーコンピュータで自律走行自動車のIQをパワーアップ – PR TIMES
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※ Syda Productions / Shutterstock