神木隆之介、なぜ漫画原作キャラで高評価? 原作ファンからも支持される演技に迫る

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2017年03月20日 11:33  リアルサウンド

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(c)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

 映画『3月のライオン』で主人公・桐山零を演じている俳優・神木隆之介。人気子役としてブレイク後、成長と共に、ピュアな可愛らしさを残しつつ、本作でみせるようなナイーブな青年から、サイコ的な狂乱者、最強の剣士など、幅広い役柄を演じられる若手実力派俳優という評価を得てきた。中でも、非常に評価を得ることが難しい人気漫画の実写化作品においての神木の支持率の高さは特筆できる。なぜ、難易度が高い実写化作品で、彼は多くの人の共感を得るのだろうか。


参考:阿部サダヲ、『直虎』徳川家康役で好評価の理由 少年時代演じきる怪優ぶりも


 人気漫画の実写化といっても、その種類はさまざまで一概に語ることはできない。例えば、少年漫画に多い、設定から特殊で、登場するキャラクターも異次元な作品と、高校や大学、会社など実生活が舞台となる等身大のシチュエーションを実写化した作品とでは、見せ所や、役へのアプローチ方法は全く違うだろう。


 神木がこれまで演じてきた人気漫画の実写化キャラクターを列記していくと、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』では、見た目はあどけない少年ながら、志々雄真実の懐刀として最強の剣の腕を持つ瀬田宗次郎、『神さまの言うとおり』では、暴力で他人を傷つけることに快感を覚えるサイコパス的な天谷武という役柄を演じた。『バクマン。』では、学年トップの成績という頭脳明晰な高校生が、クラスメイトの画力に惚れ込み、漫画家になろうと悪戦苦闘する高木秋人にふんした。そして『3月のライオン』では、幼いころに事故で家族を失い、喪失感に苛まれるなか、自分の存在価値は将棋で強くなることだけとプロ棋士としてまい進する桐山零を演じている。


 前述した分類で考えると、神木はどちらのタイプの作品も経験していることになる。そんななか、どの作品でも、神木が演じたキャラクターはおおむね好評価を得ており、逆風吹き荒れる人気漫画の実写化のなかでは、希望の星となっている。実際、神木は漫画を実写化する際の心持ちとして「形とか外見を重視するものもあれば、人物に深く向き合う作品もある」と語っている。


 本作では「人物にしっかりと向き合う」ということで活路を見出した。原作漫画があるということは、そこに答えが書かれていると解釈することもできる。しかし「向き合う=コピーすること」ではない。一つ一つの行動に対して、真似をするのではなく、その理由と向き合うことにより、自然とその人物とシンクロする。「回り回って原作に沿っていければ」という大友啓史監督の意図を、神木は明確に感じとった。


 桐山零という原作漫画にある人物を模倣しているのではなく、零が経験してきたものを自身に取り込んで、染み込ませる。内に染み込ませたものは、ことあるごとに自然とあふれ出てくるので違和感がない。そこまでキャラクターを理解しようとする姿勢が、多くの人から支持される理由なのだろう。


 とは言いつつも、内面的にキャラクターをキャッチし自身に染み込ませることにより、ビジュアル面にもそれを反映させるのが神木のこだわりでもある。本作では、自分で髪の毛を切ったという。その理由も「零なら床屋とかに行かず、自分で切ってしまうのではないか」という解釈からだ。さらに佇まいや座り方、歩き方なども「この人物ならこういう仕草だろう」という理解により、自身に癖としてつけておくというのだ。


 こうして作り上げた桐山零。SNSや口コミのレビュー等でも非常に評判がいい。とにかく多いのが「とてもマッチしている」という評価だ。漫画やアニメの実写化に対しては、視点によっては見方が大きく変わる。“別物”と考えオリジナリティを求める者もいれば、忠実に再現すること正義とする人もいる。そんななか、神木は“キャラクターを理解する”ことにブレがないので、観ている側にも安心感があるのではないだろうか。(磯部正和)


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  • バクマンだけは配役ミスしてると思うよ。
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