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川勝平太・静岡県知事に聞く(全文1)日本の人口停滞は平和な時代に起こる

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2017年03月21日 13:12  THE PAGE

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写真静岡県の人口減少について語る川勝平太知事=静岡県東京事務所(撮影:倉谷清文)
静岡県の人口減少について語る川勝平太知事=静岡県東京事務所(撮影:倉谷清文)

 人口減少期に入った日本。推計では2060年には、現在の約3割の人口を失い、総人口9000万人を割り込むと考えられています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。

 過去に経験のない規模と速さで進む人口減少を、各自治体の首長はどのようにとらえ、どのようなビジョンで舵取りしていくのか ── 。県内の人口減少対策で有識者会議をつくり、長期ビジョンを策定した静岡県の川勝平太知事に話を伺いました。(2017年3月取材)

動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=z4CWTAv2T5Y


日本の人口は平和な時代に停滞する

── きょうはよろしくお願いします。

お願いします。

── 日本が人口減少に入ったということで、まずは、静岡県の人口減少をどのように捉えているか教えてください。

そうですね、これは日本の人口減少と無縁ではありませんから、その一つの静岡県における現象ということ、日本の人口減少として捉えております。

── 静岡県ならではの側面で考えている部分は。

それはもちろんあります。そのために、現状分析をしなくちゃいけないわけですね。しかし、冒頭で申しましたように、人口減少というのは、日本全体で起こっているわけでしょう。そして、興味深いことがあるわけです。それは、鬼頭宏さんの本にもありますけれど、平安時代と江戸時代に人口が、減少はしていませんけれども、停滞しているわけですね。

どんな時代でしょうか。それは平和な時代なんですよ。それは彼は言っていないんです。弥生、それから奈良時代に入って、そして平安は、平和の時代なんですよ。平将門が東京に出たり、瀬戸内海に藤原純友が出て、そういう内乱がおさまりますと、清少納言だとか、源氏物語とか書かれる時代になりまして、源平の合戦が起こるのは、だいぶん後ですね。ですから、平安時代は平和の時代です。

それから徳川時代。江戸時代当初は、戦乱の時代から徳川に代わるわけですけれども、まだ、大坂冬の陣・夏の陣がありまして、それから島原の乱とかがあって、あと乱というほどのはないでしょう。赤穂浪士の討ち入りぐらいですよね。これはもう内乱というには余りにも小さなもので、徳川天下泰平なんです。天下泰平、すなわち平和な時代には、人口が停滞する、これが日本の人口動態の中で見られるわけですよ。そして平和な時代を喜ぶのは誰でしょうか。女性です。女性は、争いを好まないですよね。命を大切にする存在です。

ですから、女性が活躍するんです。女性の活躍の場ができるわけです。そういうわけで、蜻蛉日記だとか、更級日記だとか、そうした類いを書いて、それが日本の文学の頂点の一つを形づくっているわけでしょう。そして、江戸時代になりますと、武士の鑑として吉良上野介を討ったにもかかわらず全員切腹でしょう。だから、主君のかたき討ちをしてもお家の再興もならない。じゃあ、だめだということで、同じ年に、曽根崎心中、心中というのがはやり出すんですよ。心中って誰がやるんでしょうか。男女共同参画です。これは余りいい共同参画じゃありません。けれども、その道行を聞いていかれると、なかなか涙なしには聞けない、死ぬ以外に2人の幸せはない。大体、手を引っ張っているのは女性ですね。

【メモ】
・鬼頭宏氏……歴史人口学が専門。静岡県の「人口減少問題に関する有識者会議」座長を務めた。現在静岡県立大学長


それからもう一つ、離婚が増えるんです。江戸時代の後半にいわゆる三行半というのが乱発されるわけです。三行半というのは、夫何がしが妻何がしを離縁して、以後一切構わないと、そう書いてあります。だから何となく、主人が嫁さんを追い出したかのごとくに書かれているんですけれども、それは書式であって、その後どうなったかということを研究した人がいて、高木先生(※高木侃・群馬県太田市立縁切寺満徳寺資料館名誉館長)という方ですけど、大変興味深いことを発見されました。

「逃げた女房にゃ未練はないが、なぜか涙が流れてやまぬ、男心は男でなけりゃわかるものかと諦めた」なんて「人生劇場」の歌にありますけれども、要するに、男は未練がましく全然だめなんですよ。ところが女性は、つまり前夫は一切構ってはいけないということですから、あと自由に再婚したりして、自由奔放に生きているわけです。だから、この離縁状というのは再婚証明書だと、再婚許可証だというふうにとられていると。

途端に、それまで江戸時代の初めは大体人口が、鬼頭先生によれば千数百万ぐらいですね、それが3000万になる。1600年から1700年の間に、一気に3倍弱増えるわけですね。その後、長い天下泰平の時代が続きます。女の人が歌舞、音楽とか花見に行って、平和なんです。人口増えないんです。明治時代まで3000万ぐらいです。つまり人口停滞の時代は、女性が思いっきり生を、生活を楽しんでいる時代だということが、少なくとも平安時代と江戸時代で出てくる。ここのところは鬼頭先生おっしゃってないわけですけれども。

私は、そういう時代を念頭に置きながら現代を見ると、明治維新以降、日本の国是は富国強兵になるでしょう。一生懸命、国力を上げて五大列強に対峙しようと、五大列強の一つになろうということで、英米仏独とかと対抗してやっていこうと。そうすると、どんどん人口増えていって、「産めよ増やせよ」というわけで、女性の活躍の場というのは、余り感じられない。むしろ女性の人権はどうなったと、古代の女性は太陽だったのに、一生懸命、男性中心の社会に対して闘わなくちゃいけなくなって。

戦後はもう戦争はこりごりだ。ということで経済。経済では企業戦士といわれて、家には寝に帰ってくるだけだ、となったわけでしょう、しかし、戦後が終わった、といわれて、だんだんと世の中は、「日本は平和だ」、「平和憲法に守られている」という意識が広がりまして、そうしているうちに、「娘は適当なときに嫁に行くのがよろしい」、と。私なんか団塊の世代で、そのころ優秀な女子学生が男女共学で育っていましたけれども、大体、中卒ないし高卒で、4年制の大学に行くなんてとんでもない。「嫁に行けない」というのが殺し文句ですよ。


「今、女性のルネッサンス」 仕事と家庭の両立問題に

そして泣く泣く、自分の弟よりも自分ができるにもかかわらず、就職したり、あるいは花嫁修業に入るということになったわけですが、それが、だんだん昭和40年代、50年代、60年代になっていくにつれまして、「お兄ちゃんが大学に行くなら私も行かせて。お兄ちゃんなんて全然勉強できないのに、どうして行かせてくれないの」なんて、そういうことになって。

知らぬうちに、短大から4年制大学に行く人も増えてきて、そして平成元年、1989年、その年に、女性の大学進学率が男性を抜くんですね。これは静かな革命で誰も知らないうちに進行しました。そして今、平成29年でしょう。だからあのときに18歳だったお嬢さんは、29年たっていますから、今47ぐらいになっているわけですよ。ですから47歳以下の女性は、学歴において男性と変わらないので、自分が男性よりも劣っているとは思っていないはずです。

しかし、男女共学で一緒にやっているけれども、「あの子頑張っているわね」といったときに、それは男の子であって、学歴社会。これは男中心の社会をつくるための企業戦士が、どういうふうに企業戦士として活躍するか。いい学校に行って、いい企業に入って、そこで一生懸命働くというイメージで、そこに女性のイメージはありません。

しかし、女性が卒業して、例えば小学校の先生になる、中学校の先生になる、あるいは出版社にでも行きましょう、あるいは新聞社にも行きましょうか、マスコミに行きましょうか、と。行ったところでは、女性が確実に男の職場を奪っていっています。

47歳以下の人は男女学歴変わらない。ただ、どこに行くかは、わからないです。役所に来ると、例えば、仕事が安定するとか、家から通えるとか、いろんな事情があって通う。今、半数ぐらいは女性が受けにきます。試験で点数が高い人が入るわけですから、もう男女半々といっていいです。そのように、女性が活躍する時代になっているということと、今の停滞が行き過ぎた人口減少。江戸時代と平安時代に比べても、今の女性の方が、力が強いです。

したがって、女性優位の社会におきましては、人口は増えないということ、平和だからです。平和だから、自分たちの言うことが通じるわけです。「女、子供はもう黙ってなさい」と、男が一生懸命、国のために働かなくちゃいけないというときには、言いたいことも言わずに「じっと我慢の大五郎」だったわけですね。それが今言えるようになっている、と。

ですから、日本の歴史が語っているのは、今、女性のルネッサンスが本格的に起こっている。私はこう見ているわけです。静岡県でも、例えば、民放、あるいは、NHK。6時からのニュースは、時々見ることがありますけれども、断然女性がリードしています。キャスター、昔からじゃないけれども、全体を仕切っているのは女性ですよ。そうすると、仕事をしていると、生活をどうするか、両立の問題が当然出てきます。ワーク・アンド・ライフバランスが、当然の課題になってきているのは、日本全国、今申し上げたことが起きているわけで、それが静岡県でも起きていると、見ています。


少子化のデータの背景にある人の心を見るべき

── 日本の人口減少の節目が、何回かあったことは鬼頭先生も書いています。そしてそれは女性が活躍する平和な時代。

そうです。

── 女性が活躍していると人口停滞がどうしても起こってしまう。現在は、知事の言う「女性ルネッサンス」で、停滞の行き過ぎたことで少子化の進行、というところですか。

そうです。人口減少は統計で出てきますよね。人口の動態も、「ことしは何人子供が生まれたか」とか、日本の今の人口が1億2000万、とか出てくるでしょう。数字やグラフが出てくると、無機質に見えるじゃないですか。

── そうですね。

けれども、その統計の後ろには、一人ひとりの家族計画があるわけですね。ですから、「1人しか産めないじゃないの」、「2人欲しいわ」とか、いろんな家族が、夫婦で考える。そこには人間の意思が働いているわけです。丙午ってご存じですか。1966年ですよね。丙午のときには、ガタッと女性の人口が落ちるでしょう。

── ミレニアムのときは、逆に子どもがたくさん生まれましたね。

そういうことなんです。これは算数ではないから、1足す1は2ではありませんので、すべての統計の数字の後ろに人間の意思が働いている。日本人の男女の意思が表れた結果があの数字だと。日本は、1970年代にいわゆる人口置換水準(※日本における人口が増加も減少もしない均衡した状態の出生率)の2.07を切りますね。そして、人口のピークが、21世紀に入りまして、静岡県は平成18年か19年ぐらいにくるのですが、日本もほとんど同じ時期に人口のピークが来て下がっていっていますけれども、その後ろには、人間の意思が働いているのです。

ですから、日本の人口は、合計特殊出生率、すなわち女性が一生の間に子どもを産む数ですが、それが最低のときに国が1.2幾つになった(※2005年合計特殊出生率1.26)、このままいけばと、日本の人口は100年後にはゼロになってしまうということが言われ、私はそういう人たちに対して関西弁の「アホか」と。本当にもう、全然人間のこと知らない人がいる。

温度だとか、光の屈折だとか、そうした物理現象と、人間の行動の帰結としての数字は全く違う。ですから、心ひとつで変わるということをまず心得なくてはいけないというふうに思っているわけです。


いわゆる社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の前提がありますね。仮に合計特殊出生率が1.3であればとか、1.5に回復すれば、とか言っているでしょう。人間を即物的、産む機械じゃありませんから。一人ひとり個人の家庭や子どもに対する考え全体としての集約です。その後ろに、静岡県ですと、今370万ほどいますけれども、その心がどういうふうに動いているかということを常に考えなくてはいけません。

私も大学で教鞭とったことがあります。あちこちの大学に行くと若い青年たちに最後に「皆さん、いずれいいパートナーを見つけて幸せになってほしいと思うのだけれども、何人くらい子供欲しいですか。1人から5人まで言うから、自分が将来何人子供が欲しいか、で手を挙げてください」と。「1人という人」と言ったらほんのわずかです。「2人」といったら半分ぐらい手を挙げる、「3人」、「はい、4人」、「5人」でがたっと落ちます。要するに、理想的な子供の数は2、3人だといっているんです、青年たちが。

おそらく明治の時代だと「産めよ増やせよ」。だから、おじいちゃん、おばあちゃんのときは、たくさん子供がいる。そのときと違うと思いますよ。しかし今は「やっぱり一人っ子よりも、お兄ちゃんがあったほうがよかった」とか、「妹が欲しかった」とか、「お姉ちゃんが欲しかった」とか、あるいは姉妹2人だった子は、「お兄ちゃんか弟が欲しかった」とか、男の子2人だと「お姉ちゃんか妹が欲しかった」というふうな、本当に自然な気持ちがあらわれている。

これが実は大切。経済的なことも何も考えなくていい。しかし、将来の幸せを考えられるような10代後半ぐらいになって「理想の家庭は」といったときに、その気持ちが働いているということを見失ってはならないと、思っています。

※川勝平太・静岡県知事に聞く(全文2)に続く(https://thepage.jp/detail/20170314-00000008-wordleaf)

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このニュースに関するつぶやき

  • 戦争は最大の媚薬である。 と言うのを何かで読んだな。
    • イイネ!0
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  • 戦争時には、人口が増減が大きいし人の本能として子供を作ろうとして子供は、増えるということだろうけどそれが日本特有のことだとでも言いたいのそれもとまた安倍が悪いというの?
    • イイネ!1
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