小沢健二がceroに繋いだ“バトン” 『Love Music』で語った新たな音楽への思い

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2017年04月24日 18:32  リアルサウンド

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小沢健二『流動体について』

 1993年、シングル『天気読み』でソロデビューを果たした小沢健二。スチャダラパーとコラボした「今夜はブギー・バック」や2ndアルバム『LIFE』などで一世を風靡するも、人気絶頂の1998年、突然ニューヨークへ渡米した。渡米後は新曲をリリースしなかった小沢だが、2017年2月22日、19年ぶりのシングル『流動体について』を発売。その後、2月24日には約20年ぶりに『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演するなど、小沢は再び表舞台に姿を現し始めた。


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 そんな中、昨日4月23日放送の『Love Music』(フジテレビ系)では小沢のロングインタビューがオンエアされた。番組では本人のほか、彼のファンである三谷幸喜、二階堂ふみ、山内総一郎(フジファブリック)、cero、Bose(スチャダラパー)もVTRで登場し、熱い思いを語った。


 三谷幸喜は小沢の「流星ビバップ」の歌詞を書き出すと、“言葉の洪水”と表現。そして、“全部サビ”という構成が石川さゆりの「天城越え」に似ていると解説した。小沢は「“言葉”を三谷さんはよく知っているから、他人(小沢)の言葉の中に僕の動作っていうか、どうしてこうしたかみたいなことが見えるんだと思う」と納得した。


 このほかにも番組中、ゲストたちが小沢の好きな曲への思いを明かし、各々の分析を披露していたのが印象的だった。三谷が挙げていた<真夏の果実をもぎとるように/僕らは何度もキスをした>(「流星ビバップ」)のように、小沢の作品は深読みしたくなる歌詞も多く、“語りたくなる”アーティストだと言える。

 さらに山内総一郎が小沢に歌い方で気を使っていることについて質問すると、「歌詞とかに合ったことをすればいいかな」「(歌が)うまいとか下手とかっていうのは本当にわかんなくて」「言葉、心情を届けるのが歌の目的だと思うんで」と語った。


 そんな小沢の音楽は、若い世代にも確実に受け継がれている。cero・橋本翼(Gt/Cho)は小沢を「ぱっと聴いてキャッチーだから、オザケン、オザケンってみんな楽しめるんですけど、ちゃんと背景というか元ネタだったり、そこ(小沢の音楽)で終わらないでルーツも聴いて、いいなって思ってそこから本当に好きなものを探すみたいな。バトンを繋いでくれるような(存在)」と表現した。また小沢と面識があるという二階堂ふみは、小沢から「人生は一度きりだから色んなことを見て、感じて、知ることの大切さを学んだ」と発言。音楽のみならず、音楽と向き合う小沢の姿勢も下の世代に影響を与えているようだった。


 一方で橋本翼が「なんでまたポップスをやりだしたのか」と尋ねると、小沢は「このceroの3人みたいな人がいるので。本当にそれが全てです」と語った。小沢からバトンを受け取ったceroや二階堂の世代が作り出したものが、小沢の創作意欲を掻き立てていることを感じさせる言葉だった。


 小沢はこれからの活動について「きちんと“生活”しながらやろうと思います」と言うと、高級ホテルとテレビ番組の収録スタジオを行き来していた26歳ころを振り返り、「華やかなことかもしれないけど、無茶苦茶なことなので」とコメント。若い世代と互いに影響し合いながら新しい音楽を生み出していく未来への期待をのぞかせた小沢の表情は、どこか晴れやかだった。小沢が新たなポップスを生み出す日は、そう遠くないかもしれない。(宮澤紀)


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