４月25日売りのデイリースポーツ・芸能欄の端っこのほうにひっそりと掲載されていたニュースである。
中井貴一・芸能界のウソ「楽しんで」
番組会見で表現の自由度下がる現状嘆く
というタイトルの記事があった。
俳優の中井貴一（55）が４月24日、BS-TBSの特別企画番組『中井貴一ヨーロッパ大紀行��?世界を創った天才たちの素顔 ダ・ヴィンチVSミケランジェロ』（６月13日・20日。21:00〜）の発表会見を、都内の同局で行った。
……といった、まさに「穴埋め」と呼んで相応しい、どーだっていい“事後報告”なんだが、そこで中井が語った「芸能界を覆う閉塞感を憂いでのコメント」が、なかなかに秀逸だったので、賢明なるcitrus読者の皆さまとも共有してみたい。
「世の中全部がコンプライアンス重視の流れになっている」
「（芸能の世界は）『ウソをやってるんですよ』っていう前提に、いつの間にか現実を重ねる幅が大きくなりすぎた」
「もっとウソを楽しんでくれればいいのに。芸能界が異常な市民権を得てしまうと、束縛しかなくなっていって…」
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番組のメインコンセプトとなる「ルネッサンス期の自由さ」に掛けた発言で、多少の無理矢理感、強引さは否めないが、昨今の芸能界、いや、ネットを中心とするメディア社会の根元的な問題点を突いた、じつに鋭い指摘である。おそらく中井はこういうことを言いたいのではないか？
たとえば、去年の頭に世間を騒がせたベッキー＆ゲス川谷カップルが皮切りとなり芸能界を席巻した一連の不倫騒動。「結婚してるくせに相手の実家まで遊びに行くなんてとんでもねえ野郎だな！」「親友の嫁とＷ不倫、オマケに相手を妊ませるなんてファンキーすぎだろ！」……と、我々一般人が仕事中の息抜きや酒の席の肴にするのは別にかまわない。スキャンダルを起こしたら最後、骨の髄までしゃぶり尽くされるのも、また芸能人としての一つの“冥利”なのだから、そうやって「楽しんでもらうこと」が正しい使用法なのだ。
でも、そこから「不倫＝薬物使用や殺人にも匹敵する絶対悪！」といった過剰な道徳観念までを形成していってしまうのはいかがなものだろう。しょせんは、狭い世界内で繰り広げられる男女の四方山話でしかなく、もっと言うなら、これくらいの不倫ケースはサラリーマン社会でも“日常茶飯事”だったりする。
そして、たとえば、SMAP解散。「SMAPが解散しちゃうなんて悲しいよ〜！」と「楽しむ」のはいい。けれど、「誰と誰が不仲で〜」だとか「ジャニーズ事務所の誰々が諸悪の根元で〜」だとか……と、必要以上に内部事情を詮索し、そこを躍起となって糾弾にまで到るのは「やりすぎ＝余計なお世話」でしかない。
ちなみに、私は人から「好きなタイプの芸能人は？」と問われると、いつも困ってしまう。芸能人がメディア上に露出している部分は、あくまで外見と外向きに計算された立ち振る舞いと（「声質」も含む）発言だけゆえ、たったそれだけの情報から「好みのタイプ」を特定するのは非常に困難なのである。
先週くらいに、とある２時間ドラマの再放送をたまたま観たとき、「ボクって、菊川怜の顔が案外好みかも…」って事実が判明した。ただ、好みなのはあくまで「顔」と「細長い手足」だけであって、菊川が持つ人格やバックボーン（もちろん彼女が東大卒だろうが中卒だろうが関係はない）までは、実際に会ったことがない以上、私の「どんぴしゃタイプ」なのか、どうなのかはわかろうはずもない。
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