欅坂46・長濱ねるは何を隠す? 『残酷な観客達』と『徳山大五郎を誰が殺したか?』の相違点

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2017年05月25日 13:03  リアルサウンド

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『残酷な観客達』(c)「残酷な観客達」製作委員会

 第1話の時点でほぼ半分の10人が目標の「いいね!」を獲得して教室から出ることができた。教室に残されたのは石森虹花、今泉佑唯、小林由依、菅井友香、鈴本美愉、守屋茜、米谷奈々未、渡辺梨加、渡邉理佐、そして平手友梨奈と長濱ねるの11人。比較的人気メンバーに偏っているような気がするのはさておき、この顔ぶれは、前回の『徳山大五郎を誰が殺したか?』(テレビ東京系)でも重要なポジションを与えられた面々だ。


参考:欅坂46、新ドラマ『残酷な観客達』の狙いは? SNS社会への風刺に込められたもの


 さらにこの第2話の序盤で、7人が教室から出ることを許され、平手と長濱に加え、石森と菅井が残る。『徳山大五郎〜』における石森といえば、渡邉理佐グループに所属し、理佐がかばい続ける長濱へ嫉妬心を燃やしてカッターで襲いかかろうとした場面が印象に残る。また、現在ではキャプテンに就任した菅井も、定番のお嬢様キャラを活かして、裏口入学の嫌疑をかけられる役柄を演じ、感傷的な芝居を見せつけたのだ。


 結成からまもなく2年が経ち、渡邉がnon-noの専属モデルを務めるなど、徐々にソロでの活動が増える兆しを見せている欅坂46での、「女優枠」に収まるのは石森と菅井のふたりになるのだろうか。(たしかに石森は昨年グループ内では最も早く映画デビューを飾っているのだ。)


 それにしても、この『残酷な観客達』(日本テレビ系)はなかなかシュールな作りをしたドラマだ。第2話を見て、もう一度第1話を見返してみたところで、何が起きているのかがさっぱりわからないのである。教室に置かれた担任教師の死体を巡る犯人探しを中心にした『徳山大五郎〜』はオーソドックスなYAミステリーの形式を辿り、その解決の糸口として様々な謎が伏線として張り巡らされていたが、今回は一筋縄では行かない。


 すでに第2話までの時点で、多くの謎がバラバラに散りばめられているのである。まず「なぜ彼女たちは閉じ込められたのか」と「誰が犯人なのか」、このふたつが中心となるところに、「なぜ監視されているのか」と、「第1話の最後で落ちてきた生徒は誰なのか」、「長濱ねる演じる永峰みこ(出席番号14番)は何を知っているのか」が加わる。もはやひとつ解決したところで、大きな謎に辿り着く雰囲気は今のところない。何せ、今回は欅坂メンバー以外のキャストは皆、タブレット端末の向こう側にいるのだから。


 それにしても、教室が監視されているというシチュエーションは、『徳山大五郎〜』とシンクロする。画面の中にいるアイドルたちが、さらにその中で画面の中にいるという二重のシールドが張られているようなこの構図は、ドラマのミステリー要素さえもより客観視させられているようで、いち視聴者としては推理しながら見るところまで何だか踏み込みづらい。


 それでも、あの「落ちてきた生徒」の存在は気になって仕方がない。それを目撃した教室内の11人以外の誰かであることは間違いないのだが、今回の終盤(と次回の予告)で、先に教室から抜け出した10人全員の姿が確認できた。そうなると、また別の誰かということになるだろう。(まさか“ひらがなけやき”か! と勝手に期待してしまったわけだが。)


 また、長濱ねるが今回もまたミステリアスな役柄に挑んでいるのが実に楽しい。平手とふたりの場面で、平手が感じる妙な違和感や、何かを知っているかのように語る様々な台詞。(まったくの余談ではあるが、現在公開中の映画『メッセージ』を見たせいで、バスでのふたりのインサートが単なる回想に思えなくなっているのだが……。)


 終盤で教室から出た平手と長濱(なぜかふたりともカバンを持っていないのが気になったが)は、長濱に先導されるようにほかのメンバーがいる音楽室に向かっていったのだ。ますます何か秘密が隠されている予感が漂う。これは細部まで見逃すことはできないだろう。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。


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