森達也監督、石川慶監督ら著名人がアンジェイ・ワイダ監督遺作『残像』に絶賛コメント

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2017年05月25日 14:03  リアルサウンド

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リアルサウンド

『残像』

 6月10日に公開される映画『残像』に、森達也監督や石川慶監督らがコメントを寄せた。


 本作は、『灰とダイヤモンド』『カティンの森』などの作品で知られ、2016年10月に亡くなったアンジェイ・ワイダ監督の遺作。第二次世界大戦下のスターリンによる全体主義に脅かされながらも、情熱的に創作と美術教育に打ち込んだ前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの晩年の4年間に焦点を当て、政治体制に屈することのない芸術家の姿や芸術の役割を描く。


 コメントを寄せたのは、ワイダ監督を輩出したポーランド国立映画大学で学んだ、『愚行録』の石川慶監督をはじめ、『FAKE』の森達也監督、ジャーナリストの鳥越俊太郎、ブロードキャスターのピーター・バラカンなど各界で活躍する著名人。一足先に鑑賞した作品について、思い思いのコメントが寄せられている。


【著名人コメント一覧】


■鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
アンジェイ・ワイダはスターリン主義の非人間性を暴きたかったのか? 暴力的な社会主義に静かに抵抗する前衛芸術家の気高さを描きたかったのか? この映画を見終わった率直な印象は、両方だ!に尽きる。


■上野千鶴子(学者)
「暗い時代」を生きたワイダ生涯最後のメッセージ。わたしたちは再び「暗い時代」へと向かうのだろうか…。


■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
国家体制によって潰される一人の芸術家。
その抑制された素晴らしい演技をはじめ、脚本、撮影、時代考証などの面でも力作です。


■安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
抗うほどに孤立を深めた、一人の芸術家の魂の軌跡。消え入るような闘いの灯は時を超え、鮮烈な光としてここに蘇っていた。


■佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
どんなイデオロギーであろうが、過度な正義はつねに危険であり、政治にすべてを集約させようとすることは多様性を殺す。本作の問いかけは、いまの日本社会にも強い警鐘を鳴らしている。


■大谷昭宏(ジャーナリスト)
ワイダ監督最期のメッセージは、かつて世界が歩んだ道の残像なのか。
それとも、この先に待ち構えている世界の投影なのか。


■増田ユリヤ(ジャーナリスト)
「歴史の中で風が吹いてもやがて収まる」ならば、止まない風の中で逝った人々の思いを、私たちが受け止めよう


■石川慶(映画監督)
ワイダ監督は最後まで闘う人を描き切った。その偉大な残像を、僕はずっと忘れないだろう。


■森達也(映画監督)
決して絵空事ではない。時代に抗する。組織に同化しない。その意味をワイダは今の世界に突き付ける。


■池内紀(文学者)
国家権力が一寸刻みに芸術家の、そして人間としての存在を消していく。一度メカニズムが成立すると、誰にもどうにもできない。


■森村泰昌(美術家)
残像とは、憶い出された過去の懐かしい映像のことではない。それは、かつてあった不幸な歴史が、形を変えて現代に再び悪霊のように浮かび上がってくる様を指す。そういう意味で、アンジェイ・ワイダの最後の映画は、まぎれもなく、現代に焼きつく鮮明な残像だと言えるだろう。


■ろくでなし子(マン画家・造形作家)
芸術が国に規制されることの愚かしさと残酷さ。
わたしがお世話になった警察、検察、裁判官に是非観てほしいマン題作(問題作)です。


■宇都宮健児(弁護士、元日本弁護士連合会会長)
社会全体が一定の方向になびき国家による迫害が強まる絶望的状況の中で、人間としての誇りと尊厳を失わない主人公の生き方に感動。


(リアルサウンド編集部)


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