B’z楽曲の“らしさ”を構成する2つのポイントは? 『声明 / Still Alive』から分析

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2017年06月24日 11:13  リアルサウンド

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【参考:2017年6月12日〜2017年6月18日のCDシングル週間ランキング(2017年6月26日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2017-06-26/)


 2017年6月26日付の週間CDシングルランキング。1位となったのは、B’zの『声明 / Still Alive』だ。前作『RED』から約2年ぶり、通算53枚目の本作は初週12.1万枚を売り上げ、他の追随を許さないセールスを実現。今年12月から来年にかけては2年ぶりのドームツアーを行うことも発表された。揺るがない人気を証明した形である。


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 というわけで、今回はこの『声明 / Still Alive』を分析していきたい。


 シングルの収録曲は4曲。「UCC BLACK 無糖」CMソングの「声明」、ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』(TBS系)主題歌の「Still Alive」2曲が両A面。カップリングには映画『名探偵コナン 純黒の悪夢』主題歌「世界はあなたの色になる」、映画『疾風ロンド』主題歌「フキアレナサイ」の2曲が収録されている。


 どの曲も聴いた瞬間にそれとわかるような「B’zらしさ」を持っている。まずはボーカリスト稲葉浩志の声が持つイアーキャッチの力がとても強いことがその一因だろう。松本孝弘のギターも記名性が高い。


 キャリアの長いグループは時代にあわせてサウンドを乗り換えていくようなタイプも多いが、彼らは基本的にハードロックのスタイルを守り続けている。ソリッドなギターリフが曲を引っ張る70sアメリカン・ロックのスタイルが根っこにある。「声明」や「Still Alive」でも歌メロとギターのユニゾンがキーになっている。


 なかでも「B’z節」が強く展開されているのが「声明」だろう。


 「◯◯節」というのは何か。それをとても音楽的に説明しているのがMr.Childrenの桜井和寿だ。実はミュージシャン本人も自分では気付きづらいようなメロディラインの癖がその由来になっているのだという。そのことが、スガシカオの単行本『愛と幻想のレスポール』に書いてある。以下引用しよう。


「自分の癖というものは、どんな人にもあるんですよ。例えばコードの展開の仕方も、メロディのラインの取り方も、癖がある。特にメロディの癖というのは自覚的に気付くのが難しい。テンポと歌詞の言葉が変わっちゃうと、歌ってる人や作ってる人には同じメロディということが気付けないんです。譜面でちゃんと分析している人にしかわからない。


 音楽的な話になっちゃうんですけど、コードが展開していく中で、ルートの音に対して何度の音が好きか、何度の音を気持ちよく聴かせるかという自分の好みがあるんですね。それがメロディを決定するんです。例えば、メジャーの6度の音が好きだったら、無意識の内に6度の音が一番気持ちよく聞こえるメロディを組むんですよ。それがメロディの癖になっていく。例えば何度の音でロングトーンを使うか、とか。それもいつも同じだったりする。


 この話は桜井(和寿)くんに聞いたんだよね。彼はものすごく音楽的にモノを考える人だから。」


 この話は筆者にとっても目から鱗のものだった。そしてこれ、B’zにも当てはまるのではないかと思う。


 B’zの代表曲「ウルトラソウル」の<そして輝くウルトラソウル>の部分のコード進行は「B→F#m→G#m→C#m」。「♪ウルトラソウル」のメロディは「ウ(C#)→ル(E)→ト(F#)ラ(G#)→ソウル(C#)」、つまりマイナーペンタトニックのメロディになっている。そしてこの曲で「気持ちよく聴かせる」トーンは「ソウル!」のところで、そこはC#、つまりコードのルート音になっている。


 この曲の松本孝弘のソングライティングと稲葉浩志の歌い方には「マイナーペンタトニックのスケールを使ったメロディ」と「一番気持ちよく聴かせる部分はコードのルート音」という特徴がある。


 これは「声明」にもあてはまる。Aメロの<望まない結末に>は「E→D→E→G→E」というメロディライン。サビの最後<燃え尽きてこそ始まる>の「も」はA、最高音となっている「ま」はB。つまりここでもコードのルート音が一番気持ちよく聴かせる部分となっている。


 僕はB’zのコアなリスナーではないので彼らのシングル曲、アルバム曲をつぶさに聴いて分析できてはいないのだが、一つの仮説として「ここぞというところでマイナーペンタトニックのスケールを使ったメロディを用いる」と「一番気持ちよく聴かせる部分はコードのルート音」という二つのポイントが「B’z節」の要素になっていると言えるのではないだろうか。(柴 那典)


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