ONIGAWARAがオマージュの先で手にした良質なポップミュージック ツアー最終公演レポート

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2017年06月27日 17:22  リアルサウンド

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 ONIGAWARAが6月3日に東京・渋谷WWW Xで『1st full album「ヒットチャートをねらえ!」リリースツアー2017〜ベストヒットO・N・I〜』のツアーファイナルを迎えた。


 ONIGAWARAのワンマンライブ史上最大キャパとなった当日。会場いっぱいに集まったガワラー(ファンの総称)の前で、ONIGAWARAはアルバム『ヒットチャートをねらえ!』の収録曲や、新曲「ホップステップLOVE」を披露した。


 ライブは「Shake it!」からスタート。<ダンス!ダンス!ダンス!ダンス!踊ろう?さぁ素敵なミュージック>という、ONIGAWARAのあり方を象徴するような自己紹介ソングで、冒頭から一気に独自のワールドに誘い込む。ディスコクラシックな「タンクトップは似合わない」では竹内サティフォ (Vocal,Guitar,Programming)と斉藤伸也(Vocal,GAYA,Programming)の二人のタイプの違うボーカルの掛け合いが炸裂。さらに「GATTEN承知之助〜We can do it!!〜」では、キッズダンサー3人組によるオニーズJr.もステージに登場し、サティフォと斉藤の二人もアイドル然とした軽やかなステップを披露した。


 続く「僕の恋人」は切ないラブソングだ。サティフォの甘いボーカルと歌詞の世界観で会場はロマンチックな空気に。男女のすれ違いという恋愛の普遍的なテーマが表現されており、ONIGAWARAの楽曲はJ-POPのフィールドで十分勝負できることを証明しているようにも感じられた。続く、「I don’t wanna die」では、サイケデリックな映像をバッグに歌唱。『ヒットチャートをねらえ!』のラストナンバーでもあるこの曲は<ノスタルジックのその先へ>と、1980〜90年代の音楽をただオマージュするだけではなく、ヒット曲への愛情をもとに生まれる良質なポップミュージックで、何かを変えてみせようとするONIGAWARAというユニットの奥深さが浮き彫りになっていた。


 前半戦が終わると、2人はステージから一度退場。スクリーンでは、昔の通販番組風の映像が流れ、笑いの渦を巻き起こしながらグッズを紹介。さらに、サティフォ演じる芸能記者“中村ひとし”が斉藤に突撃生インタビューする映像も。歌って踊るだけではない、コミカルな演技にも挑戦できるのがONIGAWARAなのだ。


 サティフォのギターソロにも耳を奪われる、斉藤のソロ曲「目立ってます」では、斉藤がマイクスタンドを客席に向け、ガワラーにも<目立ってます>のコールを求めながらさらなる盛り上がりを作っていく。「シャッターチャンス’93」は、90年代のフレイバーが香るギターロック。終盤には撮影OKの“スーパーシャッターチャンスタイム”があり、ONIGAWARAがさまざまなポーズを取っていく。その間にもガワラーはスマホでふたりを連写。アイドルとしてのファンサービスも欠かさない。さらに、「青春のきらめきを出せた」(サティフォ)、「アレンジしててグッときた」(斉藤)と紹介し、新曲「ホップステップLOVE」も披露した。


 そこから終盤にかけて、会場は一気にヒートアップ。スウィンギンなダンスナンバー「ダバダバ」、さらに「ヒットチャートをねらえ!」はディスコ風のソウルナンバーで、オニーズJr.が再登場した。その後再びONIGAWARAがステージをあとにすると、スクリーンでは楽屋の模様を生中継。ライブを終えて、一休憩するサティフォと斉藤、オニーズJr.の姿が映し出される。その後、会場内に「それでは、ONIアワード最優秀賞の発表です」のアナウンスが流れると、斉藤とサティフォはあわてたように楽屋を飛び出し、会場後方の入り口からフロアの中を通り、お客さんとハイタッチしながらステージに戻ってきた。


 そこからは、このツアーのために組まれたメドレーを披露。まさにヒット曲のメドレーのような趣で、「ONIGAWARA SUPER STAR」「ボーイフレンドになりたいっ!」「ポップミュージックは僕のもの」「恋のメリーゴーランド」などの人気曲のキャッチーなサビをノンストップで繰り出す。まさにONIGAWARAにしかできない試みで、この日一番の熱狂を生み出し本編は終了した。


 アンコールでは、8月に東京・新代田で夜の本気ダンス、Awesome City Clubを招いた自主企画イベント『夏フェスなんて大嫌い!!なんちゃって〜鬼ヶ島リゾート2MAN2DAYS〜』を開催することを発表。通常のチケットだけではなく、音源2曲のダウンロードコードが付いた“1stチケット・シングル”も発売される。ペンライト、インスタント・カメラ、写真集と、ユニークなアイデアでリリースを続けてきた恒例の“ファーストシリーズ”が再び復活する。そして、ステージにもどってきたONIGAWARAは最後に「Eじゃん」を歌唱。場内一斉にジャンプ、コール&レスポンスも挟み、決めポーズまでバッチリ決まった。


 ONIGAWARAのライブに難解さは皆無だ。「Shake it!」の曲中のトーク部分では、ライブの楽しみ方までレクチャーしてくれる。楽曲や演出、そしてMCや映像においても、誰もが等しく楽しめる環境を作り出すONIGAWARAのライブには、他では味わえない心地よさがあり、ライブの新たな楽しみ方を提案しているようにも思える。しかし、あくまでその真ん中にあるのは、抜群のメロディセンスが光るポップミュージック。もちろん笑えるネタの要素も強いけれど、音楽自体はハイクオリティ。バンドでもないアイドルでもない独自の道を突き進んだ先で、さらなる大きなステージで熱く歌い、颯爽と踊るONIGAWARAの姿を期待したくなる、充実のライブだった。(取材・文=若田悠希)


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