もし、ミサイルが飛んできたら。 ――弱者の心構えについて

7

2017年09月13日 10:33  MAMApicks

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

MAMApicks

写真
最近お隣の隣の国が、頻繁にミサイルを飛ばしている。
前々から世界の反発を買ってきた行動だが、いよいよ射程距離に入ってきたと思われる国が続出、他人事ではなくなっている。
こういうときの外交力学がどうなるか見ものだが、そんな悠長な姿勢でいいのだろうか。



■子どもの話にたとえてみると
諸外国をざっくり子どもたちの話に置き換えてみるとする。
公園で何人かが一見仲良く遊んでいるなかに、突然石を飛ばすやつがあらわれる。最初はみながいる場所に届かないから注意ですんだものの、いよいよ上空を横切ると、「危ないからやめろ」というリーダー的存在の子を筆頭に、抗議がおこる。でも、石を投げているヤツはやめる気配はなく、ますます石を投げてくる。リーダーは、「こっちもでっかい石を持ってるんだぞ、あともうおまえにお菓子をあげないからな!」と仲間をつくっていく。

一方で、石を投げるやつと仲良しのヤツやリーダーが嫌いなヤツは、最初はのらくらしていたが、とりあえず「やめろよ〜」と言い出した。お菓子はあげてもいいけど、やめてもいいや。でもおまえって、そんなことをされたらますます投げるヤツだよね、と認識している。

こうなると、石を投げるやつが孤立して、最終的にはごめんなさい、となりそうなものだが、石を投げるヤツはこちらの常識が通じず、自信たっぷりだから困る。「コラ、やめなさい!」という肝っ玉母ちゃんもいない。そんなわけで実際の、国を超えての対話は、ますます複雑そうである。

■私たちができることはあるのか
では私たちはどうしたらいいのか。ここはドラえもんに代表される「ふだんはジャイアンが敵だけど、本当の悪い奴が現れると一番の味方になる」の法則で、宇宙から何者かが襲来すれば、地球のみんなは協力して、石を投げるヤツは標的を宇宙にするかもしれない。だが、それもフィクションである(そして宇宙からの悪者がいなくなったらまたいがみ合うのかもしれない)。

では、実際のところ、どうしたらいいのか。地下に穴をほって、Jアラート発動から4秒以内に核シェルターまたは地下鉄に避難する……? 困った、私はマンション住まいであり、地下鉄まで電車で1時間の距離である。

■今日が最後の日だと思って生きる
ちょっと、どうしたらいいのよ!?と脳内を検索したあげく出した結論が、「『武士道』の精神で生きろ」だった。突飛なように思えるが、弱者たるもの心を決めておくことが最大限にできることだろう。

この武士道は、映画などで「死ぬことと見つけたり!」などと侍が斬られて死ぬシーンが多いので、「武士道=死んじゃうこと」と思っている方々も多かろう。しかし、かつて読んだ新渡戸稲造著の『武士道』の解釈は違った。「今日が最後の日だと思って生きろ」、つまり「一日、一日を死ぬ気になって生きろ」である。

私は歴史が好きなのだが、現代は一番「死」に縁遠い時代だと思う。医療が発達していない時代では、子どもは生まれる前、生まれた直後によく死ぬ。私の祖母の兄弟は、2歳や19歳で亡くなっていたりして、夭逝もよくあることだったらしい。

となると、私や子どもたちがその時代の人だったならば、つわりで食べられなかった私、生まれた直後にNICUに入った上の子や、切迫流産で入院して命をつないだ下の子の状態からして、あっけなく死んでいたかもしれない。

そう考えていくと、私や子どもたちが「まだ生き続けている」ことが相当ラッキーな気がしてくる。今日も髪型がキマらないとか、子どもがおねしょをしてシーツが乾かないとか、どうでもいい。生を精いっぱい生きる心意気にもっとフォーカスしてしまおう。やった、生きてる。人はいつか死ぬからこそ、死に方より生き方が大事じゃないか。

ちなみに着物をシワなく美しくピシッと着るというのも、有限の生を精いっぱい生きようという心意気の表れだそうだ。ということは、現代では髪型をはじめ、身だしなみはキチッとしておくべきなのかもしれません……。

■……だが、納得できなかった
と、書いてきたけれど、ミサイルは天災ではなく人災である。
現代では縁遠くなった死、つまり有限を意識することで毎日を充実させるテクニックはアリだが、ミサイルのために採用するとなると、なんだか釈然としない部分もある。ミサイルなんてものは、発射される前にぜひとも食い止めてほしい。

石を投げ続ける「わからずや」をどう止めさせるのか。「石を投げあったら地上に住むところが無くなって、相互全滅なのだから、やめておこうぜ?」と迫るやり方が効くのか(実際には他国を標的に発射しないという見方が濃厚ではある)。お菓子やおもちゃはあげない方がいいのか、どうか。

結論は出ない。だが、子どもたちが石を投げるようなヤツになってほしくないし、あまつさえ人生を勝手に終わらせられてたまるか、とままならない頭で思っている。

斎藤貴美子
コピーライター。得意分野は美容・ファッション。日本酒にハマり、Instagramの#SAKEISAWESOMEkimikoで日本酒の新しい切り口とコピーを思案中(日本語&つたない英語)。これからの家族旅行は酒蔵見学。二児の母。

このニュースに関するつぶやき

  • 例えが面白いですね。
    • イイネ!13
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定