山下智久は『コード・ブルー』の精神的支柱だーー約10年間のキャリアに見る、俳優としての成長

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2017年09月14日 06:03  リアルサウンド

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 現在放送中のフジテレビ系月9ドラマ『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』(以下、3rd season)で、引き続き主人公の藍沢耕作を演じている山下智久。救命ヘリのフライトドクター候補生として活躍したこれまでのシリーズから成長を遂げ、救命センターのドクターとしてその手腕を発揮している。そんな役柄と同様い、山下自身もこの約10年の間で俳優として急成長している印象だ。


参考:山下智久、再びエースに戻れるか? 『コード・ブルー』第9話で描かれた“運命の1時間”


 96年にジャニーズ事務所に入所した山下は、入所2年目の早い段階からドラマで引っ張りだこに。初期の頃の代表作といえば、事務所の先輩であるTOKIOの長瀬智也が主演したカルト的人気ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)だろう。内気な少年を演じ、物語の終盤の抗争の引き金となる重要な役柄を務めた。ほかにも、『カバチタレ!』(フジテレビ系)や『ロング・ラブレター〜漂流教室〜』(フジテレビ系)、『ランチの女王』(フジテレビ系)などでは少し軽いノリの高校生を演じきり、ジャニーズきっての人気者として、同世代の憧れの的となったことはいうまでもない。


 その後『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でKAT-TUNの亀梨和也とともにW主演を果たしてからの彼のキャリアは、ほとんどすべての作品で主演を務めるスター街道まっしぐらとなった。(主演としてクレジットされていない『MONSTER』(日本テレビ系)では事務所の先輩だった香取慎吾を立てる相棒に徹し、『5→9 〜私に恋したお坊さん〜』(フジテレビ系)では主人公の相手役という、いずれも主演級のポジションは揺るがない。)


 そんな彼のひとつの転機になったのは、昨年4月に公開された三池崇史監督の映画『テラフォーマーズ』であろう。それまでに出演した映画3本はもちろん主役。そんな彼が未知の生命体と死闘を繰り広げる隊員のひとりを演じ、初めて本格的に助演に回ったのである。助演というポジションは、主演を立てながらも脇役になってはいけない、それ相応の存在感を作品中で見せつけなければならないからこそ、俳優としての力量が問われるのだ。


 豪華な俳優陣が顔を揃える大作で、ジャニーズを代表する俳優としても、山下智久という一人の俳優としても、その真価を発揮した彼は、4月クールに放送されたドラマ『ボク、運命の人です。』で再び亀梨と共演し、軽やかな台詞回しが独特の、未来からやってきた男・一郎を演じ切った。たしかに、主演級のキャラクターであるとはいえ、物語の要となる亀梨と木村文乃ふたりのラブストーリーをサポートする役柄は、助演俳優のスキルが必要とされる。


 このたった2作での経験だけで俳優らしい顔を手に入れ、自らの主演作に活かしてくるあたり、やはりそのポテンシャルの高さはジャニーズ随一である。今回の3rd seasonでは、主人公という立ち位置ではあるが、作中で彼が占める割合は決して多くない。これまで共にドクターとしての経験を積んできた仲間たちのドラマを支えながら、新たに登場したキャラクターたちを見守る。いわば、登場人物の精神的支柱になったというわけだ。


 間違いなくここ10年を代表する人気ドラマであった『コード・ブルー』は、3rd seasonでも今クールの民放連ドラで視聴率トップを独走。まだまだ続編が作られることに大いに期待が持てる。その度に、毎回進化しつづける山下の姿を見ることができるに違いない。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。


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