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妻をがんで亡くし自身も… 元国立がんセンター総長が患者を支援する理由

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2017年09月14日 07:02  AERA dot.

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写真がん患者・経験者の就労問題
がん患者・経験者の就労問題
 がんにかかった患者やその家族などへの支援を目的とした「がんサバイバー・クラブ(日本対がん協会)」が、2017年6月1日に発足した。好評発売中の週刊朝日ムック「胃がんと診断されました」では、設立の趣旨や支援内容、今後の展開など、具体的な取り組みを取材した。

*  *  *
 日本対がん協会では、一度でもがんを経験した人のことを「がんサバイバー」と定義している。厳密に言えば英語のサバイバー(survivor)とは少し意味を異にするが、がんと診断された人、現在治療中の人、治療が終わって年月が経過した人などをすべて含む。

 がんサバイバー・クラブ発足に尽力してきた、元国立がんセンター(当時)総長で日本対がん協会会長の垣添忠生氏は言う。

「がんと診断された患者さんは、非常に強い疎外感、孤立感を味わいます。また、診断のあとにはつらい治療があり、いつ再発するかという不安にも苛まれ、精神的にとても不安定な状況に置かれる。がんサバイバー・クラブでは、こうした患者さんたちを孤立させず、強く支援していくことを第一の目標にしています」

垣添氏は妻をがんで亡くし、自身も腎臓がんのサバイバーである。

年間のがん罹患(りかん)者数は、2016年に初めて100万人を超えた。生産年齢(15〜64歳)での罹患も多く、診断された時点で依願退職や廃業を余儀なくされたり解雇されたりするなど、仕事との両立が大きな社会問題となっている。また、70歳以上の罹患率も急増しており、独居や高齢者のみの世帯への支援も喫緊の課題だ。

 そのような状況のなか、同クラブでは、がん患者の「治りたいという意思」、がんになっても「普通の生活をしたいという希望」、家族や友人の「支えたいという気持ち」の三つを取り込み、十分に信頼が置け、かつ患者に必要とされる「正しく的確な情報」を提供する。

 情報提供は、現在、おもにホームページでおこなわれている。内容は、がんの種類や地域、専門医など、さまざまな条件での検索が可能ながん診療連携拠点病院の一覧、がん相談窓口の紹介、治験や臨床試験に関する情報、国立がん研究センターや日本対がん協会などが実施するサバイバーイベント情報のほか、がん患者の語りや、サバイバーである著名人と垣添氏の対談動画(YouTube)もある。電話による社会保険労務士の就労相談も受け付けている(予約制)。

「今後は、情報の数や種類だけでなく、内容もさらに吟味を重ね、充実させていく予定です。例えば、自分と同じような病態の人が受ける治療とその経過・結果などがわかる病歴情報の発信や、抗がん剤治療を受けている人が、効果や副作用、こうすれば少し楽だといった情報を、皆で共有できるような交流サイトなども作りたいと考えています」(垣添氏)

 同クラブの運営は、基本的に企業と個人の寄付で賄う。国立がん研究センターをはじめ、がん診療連携拠点病院には、協力を募るパンフレットなども用意されている。

趣旨を同じくするNPOや国などとも緩やかに連携し、がん患者への支援を国民運動のような大きなうねりに、という同クラブの発足は、がんサバイバーやその家族への温かい追い風となりそうだ。

(取材・文/梶葉子)

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