Sexy Zone菊池風磨、ひとり芝居で新たなステージへ 『吾輩の部屋である』地味な役をどう演じる?

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2017年09月25日 06:03  リアルサウンド

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 「ゲッサン」で連載中の哲学系コメディ漫画を原作にした、日テレ系月曜深夜の「シンドラ」枠『吾輩の部屋である』が、18日深夜(19日)からスタートした。これは想像以上にすごいドラマではないだろうか。大学院生の主人公が、1Kの狭い家の中で、様々なことに疑問を持ちながら、それを熟考し解決させていくプロセスを、淡々とした流れで30分間描いていく。


参考:中島健人、菊池風磨、マリウス葉……Sexy Zoneは今、俳優として着実に成長している


 プライムタイムで放送するには地味すぎる内容だが、深夜帯のドラマとしてはちょうどいいテイストといったところか。前クールにこの枠で放送されていた『孤食ロボット』は、Hey! Say! JUMPの有岡大貴と高木雄也、八乙女光の三人が小型アンドロイドになるという、コミカルで挑戦的な作品だった。それに対して、今回はSexy Zoneの菊池風磨がたったひとりで、やたらと現実的な話を大げさに描き出す不思議な作品だ。


 以前日本テレビ系深夜のジャニーズドラマ枠といえば日曜深夜に放送されていて、菊池が出演していた『仮面ティーチャー』をはじめ、同じSexy Zoneの佐藤勝利の『49』や中島健人の『BAD BOYS J』など、“ジャニーズアイドル”としての彼らを楽しむための作品が目立ったが、月曜深夜に移ったこの枠は、ずいぶんと凝った使い方で“俳優”としての一面を引き出そうとしている印象を受ける。


 第1話では、菊池演じる主人公の鍵山哲郎が同じ研究室の気になる女子をデートに誘ったメールの返事を待ちながら、「吸盤の低下した吸引力」「棚の埃の発生原因」、そして「カーペットの隅の反り返り」に頭をひねり、彼女から返された意味不明なメールの解釈に苦労するというもの。


 劇中では、家庭でも使えそうな小ネタがここぞとばかりに登場していく。吸盤の吸引力を戻すために熱湯に浸したり、カーペットの隅が反り返るのをダンボールを使って修復したり、タオルの干し方であったりと。家庭で発生するちょっとした問題を、実際に家庭的な空間で解決させる画面からは、かつて日本テレビ系で人気を博したバラエティ番組『伊東家の食卓』の裏ワザを彷彿とさせるものがある。


 それはそうと、Sexy Zoneの中では中島に次ぐ演技経験を持っている菊池は、『時をかける少女』(日本テレビ系)や『嘘の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)など、このところ連ドラへの出演が目立っていた。過去には、テレビドラマ界の重鎮的存在である長寿シリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の最終シリーズに準レギュラー出演した経歴も持っており、ジャニーズ若手の中で最も演技が期待されているひとりと考えていいだろう。


 林家木久扇や山寺宏一といった豪華ゲスト陣が家具や雑貨の声を務めているとはいえ、登場人物は菊池ただひとり。おそらく後にも先にもジャニーズ俳優がひとり芝居を試みるドラマというのはそう簡単に登場しないだろう。何を発しても独り言になるという異様な芝居という難しい挑戦であると同時に、ある意味では、常に菊池の姿しか出ていないという、菊池担のセクガルにとっては永久保存版のドラマということでもある。


 いつも髪の毛の色が明るく、見るたびにその色が変わっている菊池だが(最近だとピンク色の髪をしていたイメージが強い)、このドラマでは黒髪に染めていかにも冴えない理系大学院生を演じている。ジャニーズ内のほかのグループと比較しても、背伸びをしている雰囲気が強かったSexy Zoneではあるが、今年5周年を迎えてすっかり大人になった彼ら。グループのテーマに徐々に近づいてきたのだ。


 そんなタイミングで、グループ内でとくに背伸びをした少年らしさがあった菊池が、控えめで純朴な姿を見せるというギャップはなかなか面白い。占いの結果に一喜一憂してみたり、ところどころでフィジカルな能力の高さを発揮するポーズ(カーペットのそこ面を覗き込む時の姿勢)を決めてみせたり、神経質そうなキャラクターは、菊池を新たなステージに引き上げるための鍵になるのかもしれない。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。


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