ライブとテクノロジーの未来に欠かせないものとは? 『DAWN』トークセッションから考察

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2017年11月18日 10:02  リアルサウンド

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 11月13日、ライブエンターテインメント業界を担うプロデューサーらによるカンファレンス『DAWN Live Entertainment Summit 2017』が開催された。株式会社アカツキが主催する本イベントでは、ライブエンターテインメントの未来についてのトークセッションなどを実施。本稿では、放送作家の鈴木おさむ氏がモデレーターを務めた同イベントの第1部 Session 2「業界をリードするプロフェッショナルたちが語る、これからのライブエンターテインメント」の大田高彰氏(株式会社インターグルーヴプロダクションズ 代表取締役)、福田浩士氏(株式会社meleap CEO)、前田裕二氏(SHOWROOM株式会社 代表取締役社長)の言葉から、音楽とテクノロジーのこれからについて考えてみたい。


(関連:Perfumeはなぜ1万kmの距離を超えてパフォーマンスできたか? NTTドコモによる通信技術に注目


 ライブとテクノロジーのコラボレーションといえば、ライゾマティクスらが手がけるPerfumeのライブパフォーマンスが思い浮かぶ。11月8日に全世界生中継されたNTTドコモの通信技術を用いた『FUTURE-EXPERIMENT』のパフォーマンスも記憶に新しい。そんなPerfumeやSEKAI NO OWARIといった最新テクノロジーを駆使したパフォーマンスを行うアーティストのライブも手がける大田氏は、テクノロジーのみならず「アーティストが今、新しくなってきている」と語った。彼らは、自分たちの思いやパフォーマンスをより多くの人々にわかりやすく伝えるためにはどうするべきかを考え、斬新なアイデアを生み出し、実現しているという。最新テクノロジーを用いたパフォーマンスを行うアーティストたちの根底にあるのは、極めて現場的でシンプルな思いであると言える。


 ARテクノスポーツ・HADOを手がける福田氏が「HADOを思いついたきっかけはPerfumeのライブ」と明かし、根底には「かめはめ波を撃ちたい」という純粋な思いがあったと語っていたことからも、それを強く感じた。


 前田氏によるSHOWROOMは、ネット上にバーチャルなライブ空間を作り出している配信プラットフォームだ。ユーザーが生配信を行うアイドルやタレントに“投げ銭”をするというSHOWROOMの取り組みは、最先端のライブの形である。しかし“モノ”ではなく“人”に対してお金を払うという仕組みは「コミュニケーションがすごく大事」と前田氏が語っていたように、これもまた原始的なものである。


 トークセッションの後半、主にアイドルが活動する場となっているSHOWROOMに対し「バンドだったり、ロック(ミュージシャン)だったりがうまく入れられると良いのでは」(大田)、「スポーツ選手が練習だったり、頑張っている様子を配信してファンをつける」(福田)とそれぞれが提案する場面もあった。もちろんそう簡単なものではないだろうが、ジャンルの枠を越えてこうしたプラットフォームや技術を利用できるようになれば、よりエンターテインメントの楽しみ方は広がりそうだ。


 「入り口さえ越えてしまえば。(会場に)行ったら、あとは面白い」(大田)


 これはフェスに対しての言葉だったが、実はどんなエンターテインメントにも当てはまるのではないだろうか。ユーザーが参加しやすいフラットな“入り口”を作り、最先端技術によって“面白い”ものを生み出す。それは音楽に限らず、今のエンタメ全体に必要なことなのかもしれない。エンタメとテクノロジーについて熱く語る3人の姿からは、そんな未来への希望を感じた。(村上夏菜)


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