■感情的な妻についていけない
「何でも話し合って決めていこう」と言ったはずなのに、子どもの教育、特に「お受験」になるとそんな約束はどこへやら……となるのが妻というものだ。そう愚痴るように話してくれたコウヘイさん(42歳)。
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「上の息子が3歳くらいのときから、妻が急に『お受験病』にかかったんです。いろいろな英才教育の教室に通わせたりするのを、何度もやめさせようとしたけど妻は一直線で。小学校受験に失敗したときは、思わず息子に『よかったな』と言っちゃいました。近くの小学校に通って思う存分、遊んでほしかった。すると、妻は今度は下の息子を受験勉強漬けにしはじめて。毎日、夫婦ゲンカが勃発していました。しまいには『いいかげんにしろ』と僕が怒鳴ったことも」
それでも妻はこっそり受験に照準を定めていた。試験を受けさせ、面接が近づいたとき、コウヘイさんは行かないと言い張った。
「そうしたら下の息子が泣いたんですよ。僕はあの小学校に行きたいって。完全に洗脳されていますよね、妻に。だけど、泣く子には勝てなかった」
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しかたなく面接に行ったら、なんと合格してしまう。このときから上の息子は父親と、下の息子は母親と、家の中がなんとなく二分されるようになった。
■このままでいいとは思えない
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現在、上の子は小学校6年生、下の子は小学校2年生だ。妻は上の子に中学受験をさせるつもりはないらしい。最近は、弟が兄を小バカにするような発言が目立つようになってきている。
「上の息子に中学受験したかったらしていいんだぞと言ったら、地元の友達と同じ中学に行く、と。妻は知らん顔ですね。そうやって差別しながら育てるのはよくないと言うんですが、『あの子にはあなたがいるから大丈夫でしょ』って。このままだと家族が崩壊するだろうと思うんです」
とはいえ、妻の態度が変わらない限り、どうにもならないと彼は嘆く。
「上の息子のケアは僕が必死にやっていますが、そうすればするほど妻と下の子、2人と気持ちが離れていく。上の子も下の子もかわいそうです。一度、兄弟だけでキャンプかなんかに参加させようと考えています。親から離れて兄弟の心をつなげてほしい。その間に、僕はなんとか妻と話し合いたいと思っています」
完璧な親はいない。だが、コウヘイさんが言うように、こういう母親の態度は、今後2人の人生に大きな影響を及ぼすだろう。
「夫婦の難しさを改めて痛感しますね。お互いに柔軟でないと家族はうまくやっていけない」
コウヘイさんは少しやつれたような表情でそう言った。