卵子の受精能力が低い場合は人工的卵子活性化を併用すると顕微授精の受精率が改善する

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2018年01月15日 22:02  妊活・卵活ニュース

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卵母細胞内カルシウム量と卵子活性化
ゲント大学病院(ベルギー)の研究チームは、「Human reproduction」にて、カルシウムイオン異常を理由に卵子活性化が不十分であり、顕微授精(ICSI)による受精が成立しなかった場合、人工的卵子活性化(AOA)の併用より、顕微授精(ICSI)の受精率が改善されると発表した。

人工的卵子活性化(AOA)は顕微授精の補助技術であり、カルシウムを添加した培養液に卵子を浸し、人為的に卵子の活性化を促す。精子と卵子の受精において、卵母細胞の活性化が不十分であると受精は成立しない。

人工的卵子活性化の効果
研究チームは、マウスの卵母細胞255個を用いて精子機能検査「MOAT(マウス卵活性化試験)」を実施したうえで、ヒトの卵母細胞122個にて卵母細胞内のカルシウムイオン量と顕微授精の受精率における関係性を考察した。

卵子と精子が受精すると、精子の刺激を受けて卵子のカルシウムイオン量が一時的に上昇し、受精成立に備えて活性化が促される。それゆえ、卵母細胞の活性化は、カルシウムイオン量にて測定できるという。

研究チームは、まず、「MOAT」にてマウスの卵子に男性の精子を注入して精子の受精能力を測定したところ、精子16個に卵子の活性化を促して受精を成立させる能力があると確認できた。

その後、顕微授精により妊娠に至らなかった女性11人に対して、人工的卵子活性化と顕微授精を行ったところ、8人(73%)に受精成立が認められた。

研究チームは、今回の臨床試験は小規模であるが、卵子の受精能力を理由に顕微授精(ICSI)が失敗に終わった場合、人工的卵子活性化(AOA)を併用することで顕微授精(ICSI)の受精率が改善されると結論付けている。

(画像はPixabayより)

Human reproduction

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