コブクロ、JUJU、flumpool……楽曲を漫画にするコラボが続々 “新たな表現手法”に注目

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2018年04月20日 18:31  リアルサウンド

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 コブクロが、4月11日にリリースしたシングル『ONE TIMES ONE』の収録曲「君になれ」にて漫画家・高野苺とコラボレーションしている。同曲からインスピレーションを受けた同名漫画が、4月25日発売の『月刊アクション6月号』より連載を開始するというのだ。高野苺は『夢みる太陽』や『orange』などの作品で知られる人気作家で、コブクロから高野に“楽曲をモチーフにしたマンガ制作”を依頼したことからこの取り組みが始まった。YouTubeにアップされたティザーMVでは連載スタートに先駆け、音楽と漫画により表現された「君になれ」の世界観を楽しむことができる。


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 この映像では、ミュージシャンになるという夢を持ち、“空想と現実”のギャップに苛まれながらも前へ進もうとする主人公・足永太陽が、謎の人物から手渡された“ギター”を使い、仲間とともに夢を追いかけていくというストーリーの一部を知ることができた。男女問わず、友情や青春を描いてきた高野らしい作風だ。キャラクターたちの豊かな表情とコブクロが歌う疾走感溢れるメッセージソングが重なることで、「君になれ」に立体的な響きをもたらしている。漫画の第1話は高野が楽曲を繰り返し聴き、コブクロの二人とも意見交換しながら完成させたとのこと。新たなストーリーを通して「君になれ」というメッセージがどのような広がりを見せるのか楽しみである。


 このように、近年、ミュージシャンと漫画家がコラボレーションし、音楽からインスピレーションを受けた漫画やイラストが生み出される例が少しずつ目立つようになってきた。その中の一つに、JUJUが昨年11月に発表した楽曲「いいわけ」の“漫画ムービー”がある。1985年のデビュー以来、『天使なんかじゃない』『ご近所物語』などのヒット作を世に送り出してきた矢沢あいが同曲を聞いて描き下ろしたイラストを使用。「いいわけ」の歌詞が矢沢の原画とともに漫画のセリフのように映し出され、一つの物語を作り上げている。せつなさを内包したイラストのタッチとJUJUの楽曲の雰囲気もぴったりだ。また、JUJUの歌詞がいかにストーリー的なものであるのかがよく分かる映像に仕上がっている。


 矢沢あいは『NANA』以降休載中で、映像で使用された23枚のイラストはファンにとっても貴重なもの。“楽曲の世界観を歌詞や音楽だけでない表現で伝えたい”というJUJUの強い思いが実らせた珠玉のコラボレーションによる「JUJU 『いいわけ』×矢沢あいインスパイアードムービー」は現在、300万回に迫る勢いで再生回数を更新し続けている。


 さらにflumpoolの音楽からも一つの漫画作品が誕生している。12月26日にリリースされたシングル曲「とうとい」からインスパイアを受けた『とうといとき』である。LINEマンガで公開されたこの漫画は、歌詞をテーマにしたオムニバス形式のストーリーを全8話で展開。例えば「#1」では、冒頭の歌詞〈君に何から伝えるべきだろう?〉の一節を表現する複数のイラストに、詩的な短い言葉がいくつか添えられている。セリフでストーリーを展開するというよりは、イラストやその言葉から読み手がメッセージを受け取るという趣だ。さらに「とうとい」のMVでは、早見あかりが漫画家に扮し、『とうといとき』を作り上げていく姿を表現。MVの中で現実と仮想、音楽と漫画がリンクしていくという面白い手法が取り入れられている。


 漫画、アニメ、小説、ドラマ、映画……歌詞の中に一つのストーリーが存在するJ-POPとそれらのコンテンツはもともと相性がよい。作品の世界観を彩る主題歌としての役割を果たしてきた音楽だったが、ここに来て、音楽の世界観を軸として漫画やアニメが作られる文化が新たに構築されつつある。作品を生み出す手法の広がりが各コンテンツ発展の一助となり、相互のファンに作品を届ける機会を生むことにもなりそうだ。(久蔵千恵)


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