保育園内“ウェブカメラ”はトラブルの元!? 「うちの子をアップに」とママの不安煽ることも

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2018年04月24日 20:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by Tatsuo Yamashita from Flickr

 子どもが、保育園や幼稚園に通うようになると、誕生日会や遠足といった園行事に参加するようになる。保護者の見学が可能な「発表会」や「運動会」とは違い、普段の生活や幼児主体の行事はクローズドなものがほとんどだ。最近では、そのような行事をウェブなどで見ることができるサービスが園などで取り入れられている。例えば、園内で撮られた写真をネット上で公開し、選んで購入できるサービスや、園に固定カメラを設置し、ネットで子どもの姿を見ることができるウェブカメラと呼ばれるサービスなどが有名だ。保育ではなくあくまでサービスの一環として提供されている行為なのだが、これらが保育士たちを悩ませているという。都内にある小規模保育園で働いて2年目になる保育士の絵美さん(仮名)は、こう語る。

ストレスは給食の時間

「私が勤務している園では、ウェブカメラが、0歳や1歳のいる部屋についています。補助的なものなので、ネットで一度に見られる人数や時間も制限されているんですが、ただ、この監視カメラがあるから、ここの園を選んだというママさんもいるくらい、よく利用されているんです」

 絵美さんが受け持っていた1歳児クラスには、毎朝、登園時のぐずりがひどい男児がいた。常に泣いている状態で男児を渡され、絵美さんが抱っこしてあやしている間に、ママは急いで出ていく。

「子どものことが心配なのはわかるんですが、ある時、“ウェブカメラの映像で写るのは鮮明ではないので、子どもの様子を見るためにうちの子にズームしてください”って言われたんです。“それは無理です”と伝えると、今度はウェブカメラのキャプチャー画面をスマホで見せてきて“これじゃ、どんな様子かわからないでしょ”って言ってきて……」

 この男児のママは、仕事中もウェブカメラの画像が見られるブラウザを立ち上げたままにし、小さな画面にしてチェックできるようにしていたという。通常、回線が集中しないように5〜10分程度で動画への接続が切れる仕組みになっているが、常に再読み込みをしてつないでいたというから、心配性のママの不安をカメラは逆に増長させてしまったのかもしれない。

 このケース以外にも、「自由保育の時間に、自分の子どもが1人でいるのは、保育士の目が行き届いていないからだ」という指摘、「保育士がカメラに背を向けているせいで映像が見えない」という要望も、連絡帳などに定期的に書かれるらしい。絵美さんは、特にストレスなのが食事の時間だという。

「1歳児はまだ食べこぼしなども多くて、食事中のサポートが大変なんです。終始カメラに映し出されて、うるさいママさんに“見られているのではないか”と思うと、ひやひやするようになりました。音声などは出ない仕組みになっているのですが、カメラの精度がもっと上がったら園を変えようかと思っています」

 本来なら、小さい子どもを預けているママを安心させるためのサービスが、思わぬ弊害を生んでいるのかもしれない。

 ウェブカメラ同様、導入されている園が多いのが、行事などの写真をネット上で販売するサービス。事前に与えられたIDとパスでログインし、自分の子どものクラスの写真を閲覧できるようになっている。金額などは運営会社や園などによってまちまちだが、まるでアイドルの写真を買うように何十枚も買う親もいるらしい。

 しかし、子どもの性格によっては写真嫌いな子も存在し、不平等を生んでしまうケースもある。年長の男児を育児している加奈子さん(仮名)は、写真サービスに不満を感じている。

「うちの子はもともと人見知りで、前に行くタイプではありません。七夕や、クリスマス会という行事でも全部後ろの方にいて写っていないんです。親が参加できる運動会でも、幼稚園が頼んでいるカメラマンが前の方を陣取っているので、すごい望遠レンズがないと息子の顔が撮れないような場所から撮影するしかない。それなのに、公式写真を販売しているサービスに、うちの子がほとんど写っていなかったんです」

 加奈子さんは、写真サービス以外には園に不満がなかったため我慢をしていたが、同じクラスの子たちの個人写真がアップされている中、加奈子さんの子どもの個人写真がなかったために、担任を通して苦情を伝えた。

「『全体写真は座る位置の問題なので、写っていない子もいます』という回答でした。『写真が嫌いでカメラを向けると顔を背けるので、個人写真がない』ともいわれたのですが、『私がスマホで撮る時はきちんとカメラの方を向いているので、今度はちゃんと写るまで撮ってください』と伝えました」

 大型保育園で保育士をしている晴香さん(仮名)は、写真サービスがさらなる作業を増やしていると語る。

「うちの園は園児が多いので、入園する時に写真掲載の同意書を保護者からもらっているんです。写真サービス以外にも、園のホームページや、求人サイトにも園児の顔が載ることがあるので事前に了承を得ています。だいたいの親が何も言わずに同意書を出してくれるのですが、防犯上の理由で“絶対にネットで顔を出さないでください”と厳しく言ってくる親もいます」

 同じクラスに顔出しNGの園児がいると、その子の顔にぼかしをかけたり、写っている写真は全て使えなくなってしまうために大変だという。

「正直、そういう子どもはカメラに写りこまないでもらいたいのですが、写真に写るなとも言えず……。一度、後姿が写っている画像をブログに載せてしまったことがあり、すぐにクレームが入って画像を削除しました」

 ウェブカメラや、ネット上での写真の公開に関しては、まだサービスを取り入れてから日が浅い園も多く、トラブルへの対処法がまちまち。そのため、ママたちが不満を抱きやすいのかもしれない。全てのママたちが納得できるサービスは難しいが、一方的に主張だけを通そうとするとクレーマーになってしまう。どこで妥協するかを見極める力が必要なのかもしれない。
(池守りぜね)

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