最後まで異次元の速さ。GT500第3戦鈴鹿決勝はARTAとRAYBRIGでホンダNSXが1-2フィニッシュ達成

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2018年05月20日 18:21  AUTOSPORT web

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スーパーGT第3戦鈴鹿。見事ポール・トゥ・フィニッシュを果たしたARTA NSX-GTと2位RAYBRIG NSX-GT
直前に開催されたFIA-F4、そしてポルシェカップでそれぞれ大きなクラッシュが起こり、波乱模様の鈴鹿サーキット。前日の予選日からは風も収まり、晴天のもとスーパーGT第3戦300kmの戦いが行われ、ARTA NSX-GTがポール・トゥ・フィニッシュ。2位にRAYBRIG NSX-GTが入り、ホンダNSX-GTがワンツーを飾った。

 決勝スタートは気温は21度で路面温度は34度のコンディション。抜きどころが少ない鈴鹿、そして1000kmから300kmへとレース距離が短縮されたスプリントGT戦は、スタートからオープニングラップがいつも以上に重要な勝負どころとなる。

 特にオープニングラップで勝敗を分けるのが、タイヤのウォームアップ性だ。第1戦、第2戦とスタート直後に大きく順位が変わり、トップ争いにも影響したように、今回も選択したタイヤのコンパウンド、そしてメーカーごとのウォームアップ性が問われる。

 スタートは鈴鹿サーキットの計時システムのトラブルがあったため40分遅れで進行。ウォームアップ走行が13時45分から行われ、レーススタートは当初の14時40分から15時20分へと変更されて行われた。

 パレードラップ、そしてフォーメーションラップでは各車、大きくマシンを左右に振ってタイヤを温め、ついに52周のレースがスタート。スタートでは4番手のKeePer TOM'S LC500が1コーナーでアウトからKEIHIN NSX-GTをかわして3番手にアップ。また、オープニングラップを終えて5番手スタートのEpson Modulo NSX-GTが7番手に順位を下げることになった。

 2番手RAYBRIG NSX-GTはジェンソン・バトン、トップのARTA NSX-GTは伊沢拓也がステアリングを握って2台のホンダNSX-GTは快調に周回を重ねるも、ARTA伊沢のペースが速く、3周目には2番手に4.2秒のマージンを築く。3番手はKeePer TOM'S LC500、4番手にKEIHIN NSX-GTが続く。

 5周目、7番手Epsonの背後にau TOM’S LC500がぴったり付き、2台のバトルが始まるがEpsonが巧みにブロック。順位はそのまま変わらない。7周目からはGT300の周回遅れにGT500のトップが追いつき、混走状態に。

 7番手Epsonとauの戦いはその後も続き、GT300を利用してauがEpsonに並び掛かるもなかなか抜けず、ストレートではauはEpsonに離され、1コーナーでのオーバーテイクは難しそう。そのうち、9番手に上がったZENT CERUMO LC500がauに追いつき、トレイン状態に。

 10周目にはGT500の中団争いとGT300が20台近くひとつの固まりとなって入り乱れるシーンもあったが、接触はなく、その後、混走となったGT300とGT500の大集団がバラけていく。

 11周目、2番手RAYBRIG バトンの背後にKeePerのニック・キャシディがぴったり付く。直線ではバトンが離すも、コーナーでキャシディが追いつく展開。その間、トップARTA伊沢は2番手を7.6秒離して独走状態に持ち込んでいく。

 中団では予選最後尾のMOTUL AUTECH GT-Rがオープニングラップでふたつ順位を上げた後、序々に上位をオーバーテイクしていき、13周目には10番手の入賞圏内にアップ。

 14周目にはDENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンがデグナーカーブのふたつめ、立体交差の先でスピンしてガードレールにクラッシュしてコース上に横向きになってストップ。ここでセーフティカー(SC)が入る。

 トップのARTA伊沢が2番手に築いた約10秒のマージンはなくなり、17周目にはメインストレートにGT500、GT300がそれぞれ並び、改めてのSCランに。

 18周目にSCのライトが消灯して、19周目からレースが再開。すると、ミニマムの周回数でピットインするチームが続出。Epson、WedsSport ADVAN LC500がピットインを行う。再スタートでは1コーナーで3番手KeePerが2番手RAYBRIGのインに入り、2番手が交替。

 20周目には3番手となったRAYBRIGと4番手KEIHINが揃ってピットイン。さらにCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rもピットに入り、ドライバーを交替。その間、auがMOTUL GT-Rと接触があったか、ダンロップコーナーで飛び出してしまったようで、大きく後退。GT500クラスの順位はピットインと再スタート時のバトルで順位が目まぐるしく入れ替わる。

 22周目にはZENT CERUMO LC500がピットイン。トップの伊沢は順調にトップをキープして2番手のKeePerに2.7秒のギャップを築いて23周目へ。この時点で気温が26度、路面温度38度と、スタートより温かいコンディションとなってきた。

 24周目には6番手まで順位を上げたWAKO'S 4CR LC500、そして7番手のフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがピットイン。

 24周目、4番手まで順位を上げていたMOTUL MUGEN NSX-GTの武藤英紀がデグナーひとつめでコースアウトして、スポンジバリアに一直線に向かい、激しくクラッシュ。武藤は自力でマシンを脱出できたようで、大きな怪我はなかったようだ。

 そのMOTUL MUGEN NSX-GTのクラッシュに反応するように、トップのARTAと2番手KeePer、3番手のカルソニック IMPUL GT-Rが同時ピットイン。3台はそのまま順位を変えずにコースに復帰している。

 この時点でピットインをしていないのは、トップに立ったMOTUL AUTECH GT-R、2番手はピットインしていないau。実質の2番手を走行していたKeePerはアウトラップでRAYBRIGの山本尚貴に抜かれ、実質の2番手を奪われてしまった。

 レースの半分を折り返す27周目にはトップに立っていたMOTUL GT-Rがピットイン。MOTUL GT-Rは8番手でコースに復帰している。

 29周目、実質のトップ、ARTAと2番手のRAYBRIGとの差は約1.5秒。RAYBRIG山本のペースがARTA野尻智紀より1秒近く速い。30周目にはトップのARTA野尻がS字で2台のGT300マシンに引っかかり、2台の差は一気にテール・トゥ・ノーズに。しかし、野尻はダンロップコーナーでうまくGT300をかわすと、今度はRAYBRIGT山本がGT300に引っかかる形となり、2台のギャップは一時、広がった。

 しかし、ペースはRAYBRIG山本の方が速く、再び2台は接近戦に。30周目にはauがピットインして全車ピットインとドライバー交代を終えて順位が定まる。トップはARTA、2番手はRAYBRIG、3番手からKeePer、KEIHIN、カルソニック、MOTUL GT-R、WAKO'S 4CR LC500。WedsSport ADVAN LC500のトップ8。

 しかし、WAKO'Sはヘアピンでフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rを追突してしまい、ドライブスルーペナルティを受けることになり、32周目には13番手まで順位を下げてしまった。

 その32周目にはトップのARTA野尻とRAYBRIG山本のギャップは0.7秒と接近。しばらく1秒差以内のバトルが繰り広げられる。

 その間、37周目には4番手を走行中のKEIHINにドライブスルーペナルティの裁定が下される。へアピンでKEIHINはWAKO'Sを追突したのがペナルティの原因のようだ。38周目にはペナルティを消化するも、KEIHINはトップ争いから脱落してしまう。

 38周目、トップのARTA野尻とRAYBRIG山本のギャップはついに0.1秒に。GT300の混走が絡むも、ARTA野尻は必死にポジションをキープ。42周目には7番手au がCRAFTSPORTSをオーバーテイクしてポジションアップ。

 1秒差内のトップのARTA野尻とRAYBRIG山本の戦いは残り10周を切っても続く。しかし、残り5週となったところでARTA野尻がスパートしたか、山本のペースが上がらず、2台の差は2.3秒、そして残り4周で3.7秒に広がり、この時点で優勝争いはジ・エンド。

 ARTAと野尻は昨年第5戦の富士スピードウェイ以来となるトップチェッカーを受け、伊沢拓也にとっては2015年の第6戦SUGO以来となる3年ぶりの優勝を飾った。

 その後方、ファイナルラップでは5番手のau 関口雄飛が4番手カルソニック佐々木大樹に襲いかかり、シケインのインで接触しながら飛び込むも、関口はシケインをオーバーランして順位は変わらず。

 3番手はKeePer、4番手はカルソニック、5番手からau、MOTUL GT-R、CRAFTSPORTS、ZENTのトップ8となった。

 SC導入があり、3番手以下とのギャップは約9秒となったが、ARTAとRAYBRIGの2台はまさに別次元の速さを見せ、見た目のギャップ以上に、ホンダのホームコースである鈴鹿サーキットでNSX-GTの強さを見せつける結果となった。

 チェッカー後、公式映像のインタビューに応えた野尻は「山本選手はいつも力強いレースをするので、『いつ来るんだ、いつ来るんだ』と怖かった、なんとか勝てました」とレースの緊張感がまだまだ続いているような震えた声で喜びを語り、トップ争いの激しさを感じさせた。 

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