Roysが初ワンマンライブで見せた、卓越した歌唱力とソングライターとしての才能

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2018年05月23日 14:02  リアルサウンド

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 Roysが、5月15日にTSUTAYA O-nestにてワンマンライブ『Roys LIVE「I’ll be there」』を開催した。グループにとって、初のワンマンライブとなったこの日。会場の後方までぎっしりとファンが詰めかける中、アンコールを含め全15曲が披露された。


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 Roysは、Sayuri、Arin、Risaの女性3人からなるコーラスグループ。ワンマンライブ翌日、5月16日にシングル『I’ll be there』でCDデビューを果たしている。Roysのライブに初めて足を運んだ筆者は、シングル『I’ll be there』1枚、楽曲数にして「I’ll be there」「Can’t you say」「ROYS」の3曲という持ち曲の数で、どのようなワンマンライブになるのか、正直想像もできなかったのだが、いざ蓋を開けてみれば、すべてオリジナル楽曲というクオリティに意表を突かれた。さらに今回のライブで3人は、期待以上の歌唱力と圧巻のパフォーマンスを見せつけ、グループとしての今後の可能性を感じさせた。


 3人が出会いグループを結成したのは約2年前。彼女たちは、コードも知らない状態から勉強を始め、メンバー全員が作詞、作曲を手がけるまでのグループへと成長していった。デビューしたばかりのグループであれば、ほかアーティストのカバー曲で曲数を補うことはライブにおけるひとつの手法でもある。しかし、Roysは全15曲すべてオリジナルで初のワンマンライブを迎えた。これは、3人による努力と才能の結晶、プライドの表れとも言えるだろう。自分たちの中にあるイメージを形にして届けたいという思いを原動力に、Roysは昨年の夏よりライブ活動をスタート。MCでは、同性からも黄色い歓声が上がり、幅広いファンから支持を得ていることがうかがえる。


 ライブは、人それぞれ輝く季節があるということを花にたとえて書いたポップチューン「Season」から始まり、Risaがトンネルからインスピレーションを受けたという、彼女が生まれて初めて作詞した楽曲「イマココ」に続いた。全員が作詞、作曲を担当するRoysにとって、もうひとつの特徴が、3人それぞれがメインボーカルを張れるということだ。高音域のRisa、中音域のArin、低音域のSayuriからなるRoysは、一人が際立って目立ったボーカルを取ることはあまりない。絶妙な声のバランス、ハーモニーを持って“Roys”というグループが出来上がっている。その美しいハーモニーが堪能できるのが、シングルの表題曲「I’ll be there」。この楽曲は、曲作りを始めた頃にArinがメロディと歌詞をつけたミディアムナンバー。切ない恋心を歌った歌詞は、3人のコーラスでよりくっきりとした世界観となって、フロアに届けられる。


 また、Roysのライブは聴かせるだけでなく、全身で楽しませてくれるものだと感じたのが、ライブ中盤。「気分予報100%」では会場のファンと一体になり振りを楽しむ3人がいた。ステージにはキーボード、ベース、ギター、ドラムのバンドメンバーを迎えたセット。ジャジーな「チョコレイト」、オリエンタルな雰囲気がフロアを包む「オーシャン」と続き、「Player」ではSayuriの力強いボーカル、ArinとRisaがシルクベールを用いたダンスで妖艶にステージを彩る。驚いたのは、Roysのアップテンポな楽曲には、ラップが多様されていることだ。中でも、哀愁を感じさせるラテンミュージック調の「Player」と、Sayuriのラップは相性抜群。ベリーダンサーの中村インディア指導によるダンスも、Roysならではのパフォーマンスの見せ方として、今後の進化が期待できる。


 ライブ後半では、「大切な人を思い出して、優しい気持ちになってほしい」とRisaが話したバラードの「君へ」、キーボードのみというボーカルが全面に押し出された「So good bye」が披露され、アップテンポの「Only」「Fly」、シングルにも収録されているセルフタイトル「ROYS」と続いていき、本編は終了。そしてアンコールでは、配信デビュー曲「Can’t you say」、アップチューンの「シンデレラ」を歌い上げて、初のワンマンライブの幕を閉じた。MCや立ち振る舞いなど、まだ初々しい部分があったのは事実。けれど、3人だけでなく、バンドメンバーをも巻き込んだパワフルなパフォーマンスは、会場にいた多くの人を驚かせたのではないだろうか。何よりも、3人の卓越した歌唱力とソングライターとしての才能は言うまでもなく、今後ライブで披露していくであろう多くのオリジナル曲も含め、Roysが成長していく未来が楽しみだ。


■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。


■セットリスト
『Roys LIVE「I’ll be there」』
5月15日(火)東京・TSUTAYA O-nest


1.Season
2.イマココ
3.Sign
4.I’ll be there
5.気分予報100%
6.チョコレイト
7.オーシャン
8.Player
9.君へ
10.So good bye
11.Only
12.Fly
13.ROYS
-en-
14.Can’t you say
15.シンデレラ


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