TWICEは新たなポップアイコンへーー現代版バブルガムポップに挑戦した「Wake Me Up」を聴く

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2018年05月26日 12:41  リアルサウンド

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参考:2018年5月28日付週間シングルランキング(2018年5月14日〜2018年5月20日・ORICON NEWS)


 TWICEの3rdシングル『Wake Me Up』が発売初週に約26万枚を売り上げ、オリコン週間シングルランキングで1位を獲得。TWICEは“いい音楽で一度、素晴らしいパフォーマンスで二度魅了させる”という意味が込められた韓国発のガールズグループだ。オリコンによれば、海外アーティストによる「3作連続初週20万枚突破」は史上初だという。昨年に日本でも“TTポーズ”が大流行し『NHK紅白歌合戦』に出場するまで至った彼女たちだが、一時のヒットに止まらず、このように継続した人気を示す結果となった。


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 今回の新曲は応援ソングとなっていて、<Up! Up! Baby don’t give up!>と全員で繰り返すチアリーディング風の冒頭から、Aメロでの<パンパカパーン パンパカパーン>をフックに、メロディアスなBメロ〜サビへと移っていく流れだ。イントロの8分の電子音やサビでのアシッドなアルペジオなど、曲を通して低ビットで鋭利なアナログシンセの印象が強い。たとえば日本で言うきゃりーぱみゅぱみゅの「ファミリーパーティー」「にんじゃりばんばん」「インベーダーインベーダー」あたりのサウンド感のように、レトロな音色をノスタルジックにではなく現代的な“カワイイ”の感覚へと変換するスタイルはこの曲にも通じるところがある。


 また全体を通してキックは四つ打ちだが、スネアの位置がラテン的でレゲトンを軽くしたようなリズムで一貫しているため、気持ちが浮き立つような晴れやかな雰囲気があり、リズム面においても応援ソングという曲のテーマが忠実に作られているだろう。Bメロで登場する木琴のような音色から受けるトロピカルなイメージなど、リスナーを明るい気分にさせるスパイスもあり単純にポップソングとしての役割も十分だ。


 「YouTubeチャート」でも絶好調の彼女たちは、ミュージックビデオがキーポイント。シーパンクなどが代表的な近年のインターネットカルチャーを彷彿とさせるクラシックなコンピューターのビジュアルを随所に取り入れ、鮮やかなパステルカラーのスタジオでダンスを踊る9人の姿は、ディスプレイの前でミュージックビデオを鑑賞する世界中のファンの心を掴むはずだ。


 以上のように「Wake Me Up」は、テン年代のポップミュージックの要素をベースに、背後にネットカルチャーの存在を潜ませつつ、音・リズム・映像に至るまで統一感のある洗練された現代版バブルガムポップに挑戦している。日本でもブームを巻き起こしているTWICEが、昨今の様々なポップカルチャーを取り込みながら新たなアジアのポップアイコンとして台頭し始めた、その象徴のような楽曲になっているのではないだろうか。(荻原 梓)


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