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イーサン・ホークの“追い込まれ演技”を存分に堪能 『リミット・オブ・アサシン』は“怪作”だ!

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2018年06月14日 18:02  リアルサウンド

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 イーサン・ホークはいつだってボロボロだ。彼は紛れもなく名優だが、スクリーンではいつだって追い詰められ、狼狽え、憔悴している。乗っていた飛行機が雪山に墜落して酷い目に遭う『生きてこそ』(93年)、生まれた瞬間から「劣等種」と烙印を押される『ガタカ』(97年)、悪いデンゼル・ワシントンに激詰めされる『トレーニング デイ』(01年)などなど。もちろん優しい映画にも出ているが、やはりイーサン・ホークと言えば酷い目に遭ってナンボである。トラウマ持ちのガンマンを演じた『マグニフィセント・セブン』(16年)で、同じく酷い目に遭えば遭うほど輝く俳優イ・ビョンホンとバディを組んでいたのは偶然ではないだろう(ビョンホンも散々な目に遭う役が多い)。そんな彼の新作『リミット・オブ・アサシン』(17年)は死んでから話が始まるノンストップ・アクションである。


参考:『リミット・オブ・アサシン』予告編


 裏の世界の暗殺者として名を馳せたトラヴィス(イーサン・ホーク)は、愛する家族を失い、裏家業から手を引いて隠遁生活を送っていた。そこに悪の組織から仕事への復帰依頼が舞い込み、思うところがあって一線へ復帰。任務は組織の悪行を告発しようとする証人の抹消だ。彼は慣れた手つきで事を進めるが、一瞬の油断で失敗、呆気なく命を落とす。しかし悪の組織はスーパー・テクノロジーによってトラヴィスを蘇生させる。生き返ったと安堵するが、トラヴィスを演じるのはイーサン・ホークなので、そう都合よくはいかなかった。組織はトラヴィスから必要な情報を聞き出すと、すぐさま彼を殺そうとする。辛くも危機を脱したトラヴィスは、組織への復讐と、自らが犯した罪を償うため、組織へ戦いを挑む。しかし、蘇生した彼には残酷な制限時間があった。残された時間はたった24時間。1秒ずつ、男の魂は無情に削り取られてゆく。果たして彼は人生の決着をつけることができるのだろうか?


 死んで生き返る。しかし余命宣告付きで、死は確定済み。おまけに余命は腕時計みたいにリアルタイムで確認できる。もう設定だけでイーサン・ホーク向きである。その上、悪の組織の追跡、失った家族への愛や犯してきた罪への苦悩、かけがえのない戦友との離反といった肉体・精神の両方で追い込まれる要素が盛りだくさんだ。こんな不幸のテンコ盛りみたいな話を、イーサンはいつもの死んだ目で活き活きと演じている(矛盾している表現だが、イーサンは往々にしてこういうものである)。監督を務めたブライアン・スムルツの手際も良い。スタントマンとして現在も一線で活躍している人物であり、本作ではキレのよいガン・アクション、カー・アクションを見せてくれる。完全にキレたイーサン・ホークによる最後の殴り込みは、血生臭いアクションと、余命数十分を切ったイーサンの「やったるぞ」な開き直り演技が合致した名シーンだ。


 イーサンの経歴には著名な国際映画祭で高い評価を受けたような「名作」が幾つも並んでいる。本作はそうした映画とは明らかに異なるが、間違いなくイーサン・ホークの魅力を凝縮した1本であり、後の世にも「怪作」として記憶されることだろう。イーサン・ホークの追い込まれ演技が存分に堪能できる1本だ。(加藤よしき)


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