MONKEY MAJIK×サンドウィッチマン、「ウマーベラス」なぜヒット? 異色コラボ成立する柔軟性

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2018年10月19日 13:02  リアルサウンド

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 MONKEY MAJIKが8月31日に配信リリースした最新曲「ウマーベラス」のMVが、公開から1週間で100万回再生を突破。現在は260万回を超え、話題となっている。


参考:MONKEY MAJIKが提示する“バンドの味”とは?「自分のビートやメロディを出していきたい」


 配信数でも、MONKEY MAJIK史上最速の伸び率を記録しているが、その理由のひとつはサウンドや映像の“ダサカッコよさ”だ。チープなCGを多用したサイケな空間といい、MONKEY MAJIKメンバーらが着用したド派手な衣装といい(Earth, Wind & Fire「Let‘s Groove」の世界観をイメージしたとか)、ツッコミどころがとにかく満載。SNS等でも「ダサいのに中毒性がヤバイ。なぜもっと早く聞かなかったのかと後悔したレベル」「何度見ても飽きない」などの声が相次いでおり、2018年を代表するヒットソング、DA PUMPの「U.S.A.」にも近いバズを生み出している。


 特筆すべきは本作が、お笑い芸人サンドウィッチマンとのコラボ楽曲であること。MONKEY MAJIKのメンバーは宮城在住、またサンドウィッチマンのふたりも宮城出身とあって、これまでも共通の友人を介してお互いのライブに足を運ぶなど長年にわたって交流を重ねてきた。そんな縁から、サンドウィッチマンのレギュラー番組『サンドのぼんやり〜ぬTV』(TBCテレビ)オープニング曲をMONKEY MAJIKが書き下ろすことになり、本格的なコラボ曲の制作に発展。タイトルはサンドウィッチマン富澤たけしの食レポ時のキメゼリフ「ウマーベラス」から取られていたり、サビには伊達みきおの提唱する “カロリーゼロ理論”から、「どれだけ食べてもゼロカロリー」のフレーズを使用するなど、ふたりの鉄板ネタが70〜80年代のディスコミュージックにのせて歌われる、いわばコミックソングに仕上がった。


 ついリピートしてしまう要因は、間奏部分にネタを挿入したり、「歌えば痩せる?!曲」というコンセプトになぞらえた出演者全員のダンスシーンなど、MVならではの見せ場が多いことだろう。加えて〈牛タン せり鍋 ずんだ餅〉〈昨日は何も無かった Yeah Nothing 突然できた寿司屋 興奮してきたな〉など、宮城の名物を連呼したり、サンドのネタを取り入れた異色の歌詞も楽しい。一見意味不明な歌詞も、ボーカルのメイナードとブレイズが歌うことでまるで英語詞のようにも聴こえるし、そこに来て楽曲はEarth, Wind & FireやKOOL & THE GANGなどの70年代サウンドにオマージュを捧げた筋金入りのファンクサウンド。楽曲だけ聞けば素直にカッコイイのに、映像は笑えるバカバカしさ。そのギャップが最大の魅力となっている。MONKEY MAJIKとサンドウィッチマン双方が、堂々と自分たちをネタに仕掛けた壮大なウケ狙いが見事ハマったかたちだ。  


 MONKEY MAJIKと言えば、これまでも吉田兄弟やm-flo、小田和正、などさまざまなアーティストとのコラボを発表・披露してきたことで知られるが、“お笑い”との融合は今回が初めて。異色の顔合わせではあったが、自らの音楽性を示しつつ、楽曲を幅広い層にまで届けることに成功した。


 2006年のデビューから12年。リリース楽曲のすべてで作詞・作曲・アレンジを行い、一貫してセルフプロデュースを続けてきた彼ら。もとよりさまざまな音楽の要素を咀嚼し、自身の音楽に反映させてきた実績があるため、彼らが積み重ねてきた音楽的探求を振り返ると「ウマーベラス」も決して“飛び道具”的な楽曲ではないことがわかる。たとえば2016年リリースのアルバム『southview』のリード曲「Delicious」は、最近の80年代サウンドリバイバルを先取りしたかのようなディスコ調の楽曲だったし、今年発表したアルバム『enigma』に収められた「Venom」では、R&Bと演歌を融合させるという大胆な手法にもチャレンジした。


 そう考えると「ウマーベラス」は洋楽や邦楽といったジャンルの垣根を自由に飛び越え、質の高い音楽を作り続けてきた彼らの柔軟性、そしてリスナーを驚かせるサプライズ精神が発揮された楽曲と言っていいだろう。Twitter上では、「ウマーベラス」をきっかけに他の楽曲の良さに気付いたという若いファンも多く、「本当に自分たちがやりたい音楽やってるんだなって思わされた」「もっと評価されていい」など、人気が再燃している様子。本作はMONKEY MAJIKのアーティストセンスや振り幅を、広く世に知らしめる楽曲となるに違いない。


 今後の活動を見ると、今月より放映が開始された連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)にメイナードとブレイズのふたりが進駐軍のアメリカ兵役で出演することが決定。音楽のみならず俳優業にも挑戦し、多岐にわたる活動にも目が離せない。また、本日10月19日放送の『ミュージックステーションSP』(テレビ朝日系)では、「ウマーベラス」をTV初披露するという。MVそのままの衣装と映像的仕掛けが再現されるとしたら、多くの視聴者を釘付けにすることは確実。“「ウマーベラス」中毒”のさらなる拡散に期待がかかる。(渡部あきこ)


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