北川景子が語る、野木亜紀子脚本『フェイクニュース』で感じたこと 「正しい情報を拡散しないと」

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2018年10月20日 06:02  リアルサウンド

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 NHKドラマ初主演となる北川景子と、NHKドラマ初執筆となる野木亜紀子がタッグを組んだNHK土曜ドラマ『フェイクニュース』が10月20日と27日の2週にわたって前後編で放送される。本作は、新聞社からネットメディアに出向してきた女性記者・東雲樹が、何が本当で何が嘘かも分からない世界の中で、記者としてフェイクニュースに立ち向かっていく模様を描いた社会派エンタメドラマだ。


参考:北川景子「ネットが怖いのではなく、扱う人間の問題」 野木亜紀子脚本『フェイクニュース』に自信


 今回リアルサウンド映画部では、主人公・東雲樹役で主演を務めた北川景子にインタビューを行った。初のタッグとなった脚本家・野木亜紀子の印象や、自らのフェイクニュースについての見解を語ってもらった。


ーー脚本の野木亜紀子さんとは今回が初タッグとなります。野木さんとは以前からご一緒したいと思っていたそうですが、野木さんの作品に対してどのような印象を抱いていましたか?


北川景子(以下、北川):野木さんの作品は、作品ごとに全くテイストが違うなと思っていました。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や『アンナチュラル』(TBS系)もそうでしたが、主演の女優さんにピッタリと合った役柄やトピックを書くのが上手な方だなと。そういうイメージで作品を拝見していたので、今回野木さんと一緒に作品を作れると聞いたときは、「私が主演だったらどういうお話を書いてくださるんだろう」とものすごく楽しみでした。


ーー実際に出来上がった脚本を読んでみていかがでしたか?


北川:まず、“フェイクニュース”は記憶に新しい題材ですが、もしかしたら来年だと古くなってしまっているかもしれない。そんな題材に今このタイミングで挑めることに、自分はすごく“もっている”と思いました。普段から、インターネットの情報に踊らされる人が多いなと、タイムリーに自分自身もすごく考えてきたことだったので、それを自分が一本芯が通った役として伝えられるのはすごく嬉しかったです。ネットメディアに出向しながらまだ新聞記者の気持ちを引きずっている部分もある東雲樹の、真面目で一生懸命な、記者として自分の使命を全うしようとしているところにもとても惹かれました。私自身、クソ真面目なところがあるなと自分でも思っているんですけど、そこもすごくリンクしていたし、無理せず演じることができるんじゃないかと思いました。


ーー自身と繋がる部分も多かったと。


北川:多い気がします。私も真面目に考え出すとのめり込んでしまうところがあるので(笑)。リンクしている部分は多いですし、報じるからにはちゃんと裏を取ることや、真実を報じてほしいという気持ちは、私も長く芸能生活をやってきて思ってきたことでもあったので、そういう考えを持った記者の役を演じることができるのは嬉しかったです。


ーー初の記者役に挑むにあたって、何か具体的にやったことは?


北川:新聞記者の方とネットメディアの記者の方など、媒体によって大きく特徴が分かれていたりするのかなといろいろ考えたりしました。これまでに取材をしていただいた方々を思い出しながら、なんとなく、新聞記者の方のほうが服装がカチッとしていて、ネットメディアの方のほうがよりカジュアルな服装かなと。樹は新聞社からネットメディアに出向してきたという設定なので、少しカチッとした服装を引きずっているようにしたいということは、衣装合わせでお話しさせていただきながら決めていきました。取材スタイルに関しては、録音するだけの方もいればすごく書いたりする方もいるし、持っているものに関しても、手帳だったりノートだったり皆さん違うので、今回の樹のキャラクターを作るにあたって、いろんな記者の方を思い出しながら、それぞれの特徴などを織り交ぜて作り上げていきました。


ーー自分の信念を持った東雲樹のように、北川さんは“強い女性”を演じることが多いように感じます。


北川:確かに弱い役はあまり演じたことがないかもしれません。ずっと謝っているような役を演じたことはないですね(笑)。


ーーキャスティングする側のイメージもあるかと思うのですが、自分が“強い女性”だという意識は北川さん自身にもあるのでしょうか?


北川:自分自身“強い”とは思うのですが、強さの種類が違うかなと。私がこれまで出演させてもらってきた作品は、お仕事ものも多かったので、“バリキャリ”のような、バリバリ働いて、自分の信じる道を突き進む、見るからにキャリアウーマンという役柄が多い気がするんです。一方私は、どちらかというと“我慢強い”の強い。ゴリゴリ前に出るような強さではなく、言いたいことがあっても我慢したり、つらくても何とか乗り越えられるだろうとじっと耐えたりすることが多いんです。なので、強いのかもしれないけれど、役柄で演じてきたような強さではないかもしれません。あと、私が“強い”というのは顔の印象もあるかもしれません。前に前に行くような、強い顔なんだと思います(笑)。


ーーその“強さ”を裏付けるように、劇中ではテコンドーも披露されていましたね。


北川:もう大変でした。何回も撮ったので迷惑もかけてしまって……。これまでもアクションは結構やってきたのですが、テコンドーとなるとまた独特で、ものすごく難しかったです。練習のときはうまくできても、いざ本番で顔も作って……となると、なかなか足が回らなかったりで、「(杉本)哲太さんの首、大丈夫かな」と次に会わせる顔がないレベルでした。現場ではもっとバシッと決めたかったなと反省したんですけど、完成版を観たら編集でカッコよくなっていたので、そこは安心しました(笑)。


ーー“フェイクニュース“という題材について、野木さんが会見で「なかなか民放で作るのは難しいものがありました」と話していましたが、これまで民放各局のドラマに出演してきた北川さんは、民放でこの題材を扱う難しさを感じることはありましたか?


北川:そうですね……。民放だと提供が入るので、スポンサーの方に嫌がられる題材かもしれないなとは思いました。できたとしても、細かく修正が入る気もするので、NHKさんだからこそ切り込んでやれる題材だなというのには私も同感です。民放にもこういうドラマを作りたいという方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、なかなか企画が通りづらいところがあるのかもしれません。


ーードラマの中で描かれる、Twitterを中心に情報がものすごい勢いで拡散されていく様子はとてもリアルでした。先日、北川さんが『オールスター感謝祭』(TBS系)に生出演した際、“俳優力チャレンジ”の企画の中で4分間まばたきをしなかったことが大きな話題となり、情報があっという間に拡散されていったことにもつながりを感じます。


北川:本当に怖かった……(笑)。あの情報の拡散は早かったですね。私はあの後も生で番組に出ていたので全然知らなかったんですけど、「Twitterのトレンド、北川景子が1位になってるよ!」とか「Yahoo!のトップニュースになってるよ!」とメイクさんに言われてビックリしましたし、TwitterやYouTubeでも動画が回っていて、「怖っ!」と思いました(笑)。


ーーあっという間でしたからね(笑)。


北川:とにかく早いですよね。ネットって報道のスピードがものすごく早いので、そういう意味では、きちんと使えばすごくいいものだと思うんです。いいニュースがすぐに拡散されたり、天候による交通の乱れもすぐに知ることができたり……。そういうふうにインターネットにもいい面があって、私たちの生活の中になくてはならないものになっているなと感じます。それだけスピードが早く拡散してしまうものなので、だからこそ広まってしまって「嘘でした」とならないように、正しい情報を拡散しないといけないなと思います。身をもってネットの影響力を改めて感じました。(取材・文=宮川翔)


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