「一審で無罪判決が出たら、検察官は控訴できないように」日弁連が刑訴法改正を要望

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2016年03月31日 12:52  弁護士ドットコム

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日弁連は、刑事裁判の第一審で無罪判決が出た場合に「検察官の控訴」を禁止することなどを求める意見書を法務省に提出した。刑事訴訟法の一部改正を要望する内容で、3月29日に同省の担当者に手渡した。


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具体的には、第一審で「無罪」判決が出た事案や、「殺人」が「傷害致死」になるなど、検察が起訴した罪より軽い罪が成立する「認定落ち」になった事案について、検察官が控訴することを禁止するよう求めた。日弁連は、特に裁判員裁判について、「すみやかに改革が実現されるべき」としている。



●被告人を「二重の危険」にさらすべきではない


日弁連が根拠とするのは、憲法39条の「二重の危険の禁止」だ。この条文では「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任は問われない」と記されている。ただし、1950年の最高裁大法廷判決以来、判決が確定するまでが「一つの危険」とされ、検察官の控訴があっても、二重の危険に当たらないと判断されてきた。



日弁連はこの判断が、2009年の裁判員制度の導入以降、時代に即さなくなっていると主張する。



大きな理由は2つ。1つ目は、裁判員裁判に関連して始まった「公判前整理手続」の存在だ。公判前整理手続は、裁判員裁判や一部の裁判で採用されている。公判前に裁判所・検察・弁護士により争点を絞り込むことや、検察が原則として第一審にすべての証拠を提出することが決められている。一審が充実したのだから、一審判決を尊重すべきとの考えだ。



2つ目は、一般市民の常識的判断を取り入れるという裁判員裁判の理念だ。日弁連は、裁判員を含めて出された一審判決を、職業裁判官のみの控訴審で覆すことは、制度の理念と相容れないと主張している。



会見した日弁連の内山新吾副会長は、



「検察官は強大な権限を持って証拠を収集できるのに対して、被告人は非常に弱い。そういう状況において、起訴されるということ自体、非常な苦痛と社会的な負担が大きい。そういう力差がある中で検察官が一度有罪立証に失敗したのに、もう一度チャレンンジする機会を与えることは、被告人の苦痛・負担との兼ね合いで非常に不公正・不均衡ではないか」



と語った。



(弁護士ドットコムニュース)


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