防犯カメラの「万引き犯」画像公開、店側が脅迫罪に問われる可能性も

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2017年02月11日 16:04  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

めがねおーウェブサイトより(画像を一部加工)

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回のテーマ>
眼鏡店、万引き疑い男性の画像公開(各局ニュース番組等

■名誉毀損罪に当たる可能性がある

 東京都内の眼鏡店が、万引きをしたとして、防犯カメラに映った男性客とみられる人物の画像をホームページ上に公開し、問題になっている。画像は顔の一部にモザイク処理が施されているが、店は3月1日までに返却か弁償をしない場合、モザイクを外して画像を公開するとしている。こうした画像をネットで公開することに、違法性はないのだろうか? アディーレ法律事務所の日田諭弁護士に聞いた。

 まず、「犯罪歴を公開する行為は、名誉毀損罪に当たる可能性がある」と日田弁護士は話す。

「そもそも名誉毀損罪の『名誉』とは、人に対する積極的な社会的評価のことを言います。当然このような犯罪歴が知られてしまうと、本人の社会的評価は下がります。やはり、犯罪歴や前科というものは、他人に一番知られたくない情報の一つでしょうし、これを公開されると日常生活が崩れてしまいますから。

 ただ、今回の事案は、まだ前科にもなっていないし、そもそも犯罪と言い切れるかも明確には決まっていない段階です。そのような不確定な状況で、店側が万引きだと思う画像を公開することも、前科の公開と同様に、名誉毀損罪に当たる可能性があります」

 公開された画像は顔の一部にモザイクをかけられていた。個人を特定されない形で公開するのであれば、問題はないのだろうか?

「個人を特定されないくらいにモザイクをかけて公開するのならば、それは、『このような形の万引きが、うちの店でありました』ということを示しているだけなので、問題ないと思います。実際、テレビ番組でも、『こんな犯罪がありました』というような映像を流したりしています。ただ、モザイクを外すソフトウェアが使われるなどの可能性が残る以上、全く問題がないとまでは言い切れません」

■盗品を自力で回収する行為は法的には許されていない

 しかし、刑法の規定からすると、本件については、人の犯罪行為に関する事実と言える可能性が高いので、公益目的であったと言える場合は、処罰されない可能性があるという。この眼鏡店の社長はテレビ朝日の取材に対し、画像を公開した理由を、「ちゃんと解決しないと、今後にも尾を引くかなと思ったから」と述べている。したがって、このケースも最終的には処罰されない可能性はある。

 また、店は、画像と共に「商品を返却または弁償しないと、モザイクを外す」という内容の文章を掲載しているが、「この行為は、『害悪の告知』に当たるので、脅迫罪ともなりえますし、また、返却行為を強要している部分も含めると、強要罪となりえます」と日田弁護士は話す。

「そもそも、もともとの所有者であろうと、すでにその所有者の元から離れてしまった盗品を、法的手続きを経ないで自力で回収する行為は、法的には許されていませんので、警察を通して事件を処理するしかありません」

 では、もし、この店にこの男性客が商品を返却に来たら、窃盗罪に問われないのだろうか?

「刑法上の窃盗罪(刑法235条)は、物を取って、事実上の自分の支配の下に入れてしまえば、例えば、ポケットやカバンに入れて、店から出るような行為があった場合、その時点で犯罪が成立しますので、後で返却しても、刑法上は一度、成立した罪が消えることはありません。ただ、返却したことによって、被害届が取り下げられて、店側も処罰を望まないという気持ちを警察や検察に伝えることで、不起訴となり、最終的に処罰されない可能性はあります」

 万引きの被害を受けて困っている、犯罪を見過ごせない、という店側の心理は理解できないものではないが、今回の行動は、法の下では逆に店側が罪に問われる可能性もある。とにかく、この画像の人物が速やかに商品を返却さえすれば、おそらく事は丸く収まるのではないだろうか。

アディーレ法律事務所

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  • 違法性を言うならマスコミ報道は?間違いを報道しても放置。こちらの方が重大。例えば“いわゆる慰安婦”。挙げ句の果てに米軍の被害者がいつの間にか“慰安婦”像に。
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