マッチングアプリの会社に「警察がわりと来る」理由。元社員が語る“辞めた今だから言えること”

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2024年06月15日 16:20  女子SPA!

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女子SPA!

写真はイメージです(以下同じ)
こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。私自身が髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験から、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。

年上の男性に多額のお金を貢がせ、そのマニュアルを売りさばいていた頂き女子りりちゃんは、マッチングアプリで出会った男性からも頂き行為をおこなっていたそうです。

マッチングアプリの運営会社で過去に働いていたというAさん(現在は異業種へ転職)に、頂き女子って本当に生息しているのかなど、現役社員だったら回答してくれなさそうなことを取材してみました。

◆マッチングアプリ運営会社には「わりと頻繁に警察が来る」

「当時、『頂き女子』という概念はなかったですが、りりちゃんのように何十万円も貢がせたり、男性にブランド物を買わせる女性はいました。また、金品は要求していないので頂き女子とは言い難いですが、1人1万数千円ぐらいの高めのレストランをおねだりする女性ユーザーは珍しくありません。

今でいう頂き女子のような被害に遭った男性が警察に相談して、捜査のため職場に警察が来て、該当ユーザーの身分証照会を求められることはしょっちゅうでした」(Aさん、以下カッコ内同)

Aさんによると、今でいう頂き女子の年齢は20〜40代と幅広かったそう。思わず私は「“女子”じゃないじゃん!」と言ってしまったのですが、Aさんは「女性はいくつでも女子です」と言っていました。

「悪いことをしている自覚がないのか、頂き女子の方はご本人の本物の身分証で登録されていることが多かった印象です。それとは別に、例えば高額な投資詐欺目的の不正ユーザーだと、免許証を偽造していることが多かったです」

◆アプリでの年齢詐称は女性の方が多かった

マッチングアプリは身分証の提出が必須ですが、ほとんどのアプリでは途中の段階までは身分証を登録しなくても利用できます。例えば、相手を検索するなどは身分証がなくてもOKで、メッセージのやり取りなどでの段階で初めて提出が求められる、といった形です。ちなみに相手からのメッセージを読むために、男性は有料プラン加入が必要になることが多いです。

一般的なマッチングアプリでは登録してすぐに生年月日と性別の登録を促す画面が出てきますが、Aさんいわく「5%前後の人が身分証とは異なる年齢を入力する」そうです。ここは未成年が登録しないようにすることが目的のため、18歳以上ならば通過してしまいます。

「正確ではないかもしれませんが、年齢詐称は女性の方がやや多かったように記憶しています。30歳の方が29歳と入力するくらいのこともありましたが、年齢詐称するユーザー様は5〜10歳程度若く申告していました。身分証との不一致が発覚すると、全て身分証に合わせて修正しています」

なので、例えば29歳と思ってマッチングした相手が、後で年齢が35歳に変わっているということもありえるようです。

◆不正ユーザー女性が、自分から「いいね」を送らないワケ

Aさんによると、今マッチングアプリで被害に遭いやすいのは男性で、被害者の年齢は20代から60代と幅広いそうです。デートで女性から「いいお店があるから行こう」と言われて、ぼったくりバーに連れて行かれる……といったニュースを聞いたことはないでしょうか。

「通常、女性は何もしなくても男性から『いいね』が来るので、積極的に男性に『いいね』をする女性ユーザーはあまりいません。

マッチングアプリに登録後、他のユーザーの方々と比較して極端に『いいね』を多く送るアカウントがあると、運営はそれを監視してアカウント停止などの処置を取っていました。不正ユーザー側も学習して、今は足跡をつけるだけで自分から『いいね』を送らないことが多いです。24時間アプリにログイン中で、足跡をつけまくっているユーザーがいれば、監視対象になっています。

◆不正ユーザーへの対策はいたちごっこ

「不正ユーザー対策はいたちごっこで、向こうも学習するので、今はアカウントを停止する判断は、メッセージの文面が決め手になることが多いです。運営がアカウント停止すると、相手側には『退会済みユーザー』と表示されます」

マッチングアプリでマッチングした相手が、ほどなく退会していたという経験はないでしょうか? もしかするとその相手は、運営側が不正ユーザーと判断してアカウント停止したのかもしれません。

なお、不正ユーザーの登録が多いのは平日だといいます。一般ユーザーは土日やお正月休み、GWといった休日に登録するのに対し、不正ユーザーは休日の登録が少ないのだとか。労働と思って組織ぐるみでやっているのでしょうか。

◆アプリのレビューに「サクラがいた」の書き込みが多い事情

マッチングアプリのレビューには「サクラだった」という口コミが散見されます。ですがAさんは「マッチングアプリの運営会社がサクラを雇うことはない。他社もそうです」と断言します。

「不正ユーザーは、登録してすぐに多くの人とマッチングします。一般女性がほぼ『いいね』しない人気がない男性ユーザーにも、『いいね』を返してマッチングします。そのため人気がないユーザーの方が初めてマッチングした相手が、不正ユーザーということはありえます。

男性ユーザーは相手のメッセージを読むために、サブスクに加入して有料会員にならなればなりません。それだけ本気なんです。そんな中、女性の不正ユーザーを運営が見つけてアカウント停止すると、男性側には『退会したユーザー』と表示されるため、マッチングしてすぐ消える退会者=サクラだと感じると思います」

◆男性側に「退会済みユーザー」と表示される別のケース

「また人気の有無とは関係なく、そもそも男性はわりと女性からブロックされやすいです。

というのも、女性は平均で男性の9倍『いいね』が来ます。1通目のメッセージが『こんにちは』だけだったりすると埋もれますし、チャットの仕分けが大変になるので、男性を非表示やブロックにする女性ユーザーは多いです。女性からブロックされた場合も、男性側には『退会済みユーザー』と表示されるのです。

アプリを退会しようとしたら『いいね』が来たから、辞めようとするのを引き留めるためのサクラがいる……というレビューもあるのですが、アプリはログイン中の方が検索画面で上に表示されるようにできています。退会しようとしてアプリを起動するから『いいね』が来るのです」

◆元社員も断言「恋愛経験が乏しい人にアプリは不向き」

Aさん自身もマッチングアプリで結婚したそうです。人間関係が固定化した社会人にとって、マッチングアプリは出会いのために便利なものですが、恋愛経験が乏しい方には不向きと断言します。

「デートしたら女性からブロックされて『サクラがいた。金返せ』と苦情が来ることもありましたが、聞くと食事代が合計3000円前後ということもありました。2週間メッセージのやり取りを重ねて、食事デートをしてからバックレるなんて、そんなサクラがもしいたら割に合わないじゃないですか。マッチングして舞い上がり、リアルでデートしてさらに舞い上がり、付き合ったと勘違いする男性ユーザー様は多くいらっしゃいました」

恋愛経験が乏しい人にマッチングアプリが向いていないという考えには私も同感です。女性の場合も、告白して肉体関係をもってから連絡が途絶える、いわゆるヤリモク男性被害は多いのですが、それを「アプリで彼氏はできるけれど結婚に至らない」と勘違いするケースはよくあります。

◆マッチングアプリの仕組みで、人気格差が開くのは当然

Aさんは、素敵なユーザーが多いと思ってもらうためにアプリ側は工夫しているといいます。

「アプリを開くと『おすすめユーザー』が数名表示されると思いますが、最初におすすめに表示されるユーザーは、人気ユーザーです。トイレの洗面台で自撮りしているような写真の人が表示されることはありません。検索画面のアイコンの配列も、人気ユーザーをバランスよく配列するアルゴリズムです」

マッチングアプリは人気のユーザーが客寄せパンダのコンテンツになる構造なのです。その中では人気格差が開くのは当然なのに、どのユーザーも自分は選ぶ立場だという姿勢で、カタログを見るように相手を検索するのです。
<取材・文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt

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