『勝てるぞ!』思わず叫んだ無線を恥じるメルセデスF1代表「感情的になり本当に愚かなことをした」

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2024年07月02日 22:10  AUTOSPORT web

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トト・ウォルフ(メルセデスF1代表)と優勝したジョージ・ラッセル(メルセデス) 2024年F1第11戦オーストリアGP
 メルセデスの2024年シーズン初勝利に歓喜したトト・ウォルフ。ドイツメーカーのチーム代表は先週末、レッドブルリンクで行われたオーストリアGPの“決定的な瞬間”にジョージ・ラッセル(メルセデス)に無線でメッセージを送ったものの、レースの最終優勝者となる彼から激しい返事が返ってきたことを明らかに恥じていた。

 このやり取りがF1で放送されたことを知っていたウォルフは、彼のホームグランプリが終わった後、かなり恥ずかしそうにしながらレース中に感情的になった反応について反省の弁を述べた。

■タイミングが悪かった

「私はドライバーたちと多くの時間を過ごしているので、彼らのことをよく知っている。励ますか、再度集中させるかなど、彼らに何が必要なのか分かっているつもりだ。私は彼らの心理を理解していると自負している」

 そう語ったウォルフは次のように認めた。「これは私がメルセデスで12年間やってきた中でもっとも愚かなことだ。私は永遠に恥じるだろう」

「どこでドライバーにメッセージを送るかというと、ブレーキング中や高速コーナーではメッセージを送らないものだからだ」

「しかし、私は当時GPSを見ていなかった。我々は(トップを争っていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)のアクシデントを)予測していたが、あのふたりがターン3で接触したのを見て感情的に無線のボタンを押し、『このレース勝てるぞ!』と言ってしまった。そのメッセージで、ジョージ(・ラッセル)をコースアウトさせてしまう可能性もあったというのにだ!」

「もしもそうなってしまったら、どうだったか想像してみてほしい」

「私は感情的なんだ。自分たちが順調でいることが楽しいし、ルイス(・ハミルトン)とジョージがうまくやっているのを見るのも楽しんでいる。私はあの状況に無我夢中になっていただけだが、いま思うと本当に恥ずかしいことだ」

■過去12年で初めて

 ウォルフは、3連戦の真ん中のラウンドとなった週末に、メルセデスにはフェルスタッペンとマクラーレンの2台と戦えるだけのペースがないことは明らかだとはっきり語っていたが、それはチームによる『W15』の開発の進捗に彼が満足していないという意味ではなかった。

「我々は(オーストリアGPで)3位を目指していたと思うし、マシンのペースも見てもそのとおりだった」とウォルフ。

「ジョージが引き出すことができたのは、堅実な結果だっただろう。そういうことだ。そしてもちろん、あのふたりが前方で激しくお互いを駆り立てているのを目にした。彼らが本当に仲の良い友人だということは知っているし、そんなふたりのバトルを見るのは楽しかった。その段階では私はそのように認識していた」

「だがその後、状況は明らかにより激しくなり、ある段階で我々は『彼らが衝突する可能性がある』と言った。そして文字どおり衝突が起こり、両方のマシンがパンクを喫した。それを見た時は信じられなかった」

 チームの軌道は今後も上昇を続けると確信しているウォルフは、「我々は現在、ほぼすべてのレースにアップグレードを持ち込んでおり、ファクトリーはフル稼働している」と説明した。

「過去12年間で、開発、設計、製造、トラックへの投入、そして品質確保まで、これらすべてを実現できたのは初めてのことだ。本当にそんなペースは見たことがない。レースごとにアップグレードを投入し、サマーブレイクまでにさらに一歩前進することを期待している」

「いまこうしている間にも誰もが懸命に仕事をしている。あのギャップを少しでも埋めることができればいいのだが……。70周で15秒だったと思うので1周あたり0.2秒、それでOKになる。これで3位だ。つまり、これを半分にできればトップ集団でレースができると考えている」
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