平野綾「毎日、生きるのが楽しくなる」 ハラスメント社長に反撃する姿を描いた痛快ミュージカル「9 to 5」【インタビュー】

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2024年10月03日 08:10  エンタメOVO

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平野綾(C)エンタメOVO

 ロサンゼルスの大企業で働く3人の女性社員がセクハラパワハラ全開社長へ反撃する姿を痛快に描いたミュージカル「9 to 5」が10月8日から上演される。本作は、1980年製作の同名映画をもとに2009年にブロードウェーで上演。原作映画の主題歌を担当した歌手ドリー・パートンが音楽・歌詞を手掛けた。今回の上演版では、明日海りお、平野綾、和希そらが出演し、働く女性の仕事や恋愛の悩みを笑いたっぷりにつづる。グラマラスな秘書ドラリーを演じる平野に、本作の見どころや公演への意気込み、さらには舞台に立つことへの思いなどを聞いた。




−開幕に向けてお稽古が進んでいますが、手応えは感じていますか。

 とても情報量が多く、ビッグナンバーもダンスも多い作品ですが、早い段階で通すことができ、終わった瞬間にみんなから歓声が上がるほど、テンション高く取り組めています。全員で同じ方向を向いているという感覚のある稽古が続いています。

−稽古場の雰囲気はいかがですか。

 かなり仲の良い現場だと思います。すごくハッピーで笑える作品ということもありますが、一人一人が遠慮することなく、対等にお付き合いでき、みんなで一緒に笑い合っています。

−最初に脚本を読んだときの率直な感想は?

 繊細なテーマを果敢に取り込むなと。日本では少し前に初演が上演されましたが、当時と今ではハラスメントの認識が違って理解が深まっていますので、今回は今回として新しく取り組まなくてはいけないと思いました。

−そうすると、今、上演するからこそ感じてもらえることも多い作品でもある?

 そうですね。多様性が求められる今だからこそ、自分たちがどうやって生きていけば楽しく、幸せに暮らせるか。すごく前向きに展開していきます。もちろん現代も、さまざまな問題がありますが、そうした問題に立ち向かうときには、広い心を持って、自分らしい生き方から答えを導き出せるのではないかと感じられる作品になっていると思います。

−身近な問題をあえてコメディーで描いているというのもこの作品の魅力ですね。

 コメディーだからこそ、つらい出来事に向き合え、思いきり立ち向かえるのだと思います。この作品がシリアスなだけのストーリーだったら、何の希望もない話になってしまうかもしれませんが、「みんなでやっつけるぞ!」とエネルギー全開で取り組んでいるので。ただ、これは女性が一致団結し「男性を倒せ」というお話ではありません。それぞれの立場と考え方があって、発想の転換でつらいことを少しでも楽にできたら、毎日、生きるのが楽しくなるんじゃないかということを考えさせてくれる作品だと思います。

−平野さんが演じるドラリーというキャラクターは、どのようにとらえて演じていますか。

 ドラリーはその見た目とは真逆で、仕事にとても真面目に取り組んでいて、とても努力家です。これまでいわれのないことで疑われたり、同じ職場の人から変な噂を立てられて誤解されたりすることが多かったのですが、彼女自身はそれをすごく気にしているというわけでもなく、受け止めてしまえるくらい器が大きい人です。自分のことをみんなに知ってほしいのではなく、私は私だからといって生きていける強さを持っています。3人がチームを組んだことで、ようやく心から信頼できる友達や仲間ができますが、それでも彼女は自分のスタンスを変えません。ですが、仲間ができたことによって、強さは増したのかなと思います。それまでは一人で戦っていましたが、仲間と一緒に戦えることで、安心して立ち向かえるようになった。そこがすごく彼女らしい部分で私はとてもいとしいなと演じていて思います。

ところで、平野さんは声優やアーティストなど、幅広く活躍されていますが、舞台に出演することにはどのような思いがあるのですか。

 私は、元々ミュージカルがやりたいという思いから業界に入ったんです。10歳のときに児童劇団に入って、そこから芸歴がスタートしているので、ようやく今、舞台を軸に活動できているなと感じ、人生で1番楽しい時間を過ごさせてもらっていると思っています。もちろん、声優のお仕事も歌のお仕事もとっても大切です。今の私がここにいさせてもらえるのは、それらの経験があったからこそですし、大切さの度合いという意味ではどのお仕事も同じです。それぞれ大好きで、それぞれ大切な現場です。

−仕事をしていく上で、変わらない信念や自分の中で軸としている思いは?

 「自分以外の人になりたい。自分以外の人の人生を歩みたい」と子どもの頃に思ってお芝居を始めたので、とにかくいろいろな役を演じたいと思っています。昔はコンプレックスが強かったので、自分ではない誰かになれるということが救いでもありました。だからこそ、演じているときに平野綾だと気付かれたくないというところがあります。今、幅広い役を演じさせていただいていますが、見終わるまで「あれ、平野綾だったの?」と気付かれないお芝居がしたいと思っています。

−今後の夢や目標は?

 どのジャンルから私を知っていただいたかによって、皆さん、持たれているイメージが違うと思います。なので、それがいつの日か一つにまとまって、「平野は平野だからいいよね」と言い合っていただけるような機会があったらうれしいです。そのためには、自分の活動の幅をさらに広げていかなくてはと思うので、年齢などにとらわれずに、自分が思った通りに突き進んで、できるだけ多くの皆さんに知っていただいて、「面白いな」とか「この人を見ていたら毎日を楽しく生きられるヒントもらえた」と思っていただけるような役者になりたいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「9 to 5」は、10月6日〜21日に都内・日本青年館ホールほか、大阪、福岡、静岡で上演。


ミュージカル「9 to 5」

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