F1ドライバー協会グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)は、FIAに対し、卑語取り締まりに抗議する声明を発表した。さらにGPDAは、ドライバーたちが支払っている罰金を問題視、その使途について透明性を求めている。
シンガポールGPの木曜記者会見でFワードを使ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、ペナルティとして、社会貢献活動を行うことが義務付けられた。この際、スチュワードは、「FIAの方針として、記者会見などの公的な場で使用される言語が、すべての視聴者や放送において一般的に受け入れられる基準を満たすことが求められている」と述べた。
ドライバーたちは、言葉遣いを厳しく取り締まるFIAの方針に強く反発、モハメド・ビン・スライエムFIA会長に対して、意見を表明する意向を示していた。全員の意見が一致するまでに6週間を要したが、10月7日、GPDA全員が承認した形で声明が発表された。
FIA会長からの批判の標的となっていたフェルスタッペンやルイス・ハミルトンだけでなく、その他のドライバーたちも、GPDAとしてビン・スライエムFIA会長を公然と批判し、FIAに対して説明責任を求めることに同意したことになる。
GPDAの声明は、以下の言葉で始まっている。
「すべての他のスポーツと同様に、競技者は審判の決定に従わなければならない。それが気に入るかどうか、またはそれに同意するかどうかは関係ない。それがスポーツの仕組みだ。ドライバーたち(我々のメンバー)も例外ではなく、それを完全に理解している」
「我々のメンバーは、プロフェッショナルのドライバーであり、国際モータースポーツの頂点であるF1でレースをしている。彼らはグラディエーターであり、レースの週末ごとにファンのために素晴らしいショーを繰り広げている」
こうした前置きの後、GPDAは、FIAの卑語に対する過剰な取り締まりに反対する意向を示した。
「卑語に関しては、他人を侮辱することを目的とした罵りと、悪天候を表現したり、F1マシンやドライビング状況など無生物を表現するために使うような、よりカジュアルな罵りがあり、両者には違いがある」
GPDAは、ビン・スライエムFIA会長への批判も述べている。
「我々はFIA会長に対し、公の場であれその他の場であれ、我々のメンバーであるドライバーに対して、あるいは彼らについて話す際に、ご自身の口調や言葉遣いにも配慮していただくよう、強く求める」
「さらに、我々のメンバーは大人であり、ジュエリーや下着の着用といった些細な事柄について、メディアを通じて指示を受ける必要はない」
こうした強い言葉の後、GPDAは、ドライバーが支払った罰金について、以前から抱いていた疑問をぶつけた。
「GPDAは、ドライバーへの罰金は我々のスポーツにおいて適切ではないという見解を、何度も繰り返し示してきた。過去3年間、我々はFIA会長に対し、FIAが得た罰金がどのように配分され、資金がどこに使われているのかについて、詳細と戦略を共有するよう求めてきた」
「我々はまた、罰金がF1にもたらすネガティブなイメージについての懸念も伝えてきた。我々は、FIA会長に対して、財政面での透明性を提供し、我々との直接的でオープンな対話を行うよう、再度求める。すべての関係者(FIA、F1、チーム、GPDA)が、我々のスポーツの利益のために、資金がどのように、どこに使われるかを共同で決定するべきだ」
GPDAの声明は、次のような和解的な言葉で締めくくられている。
「GPDAは、FIA会長を含むすべての関係者と建設的な方法で協力し、このスポーツで働く人々、このスポーツのためにお金を支払う人々、観戦する人々、このスポーツを愛する人々全員の利益のために、我々の素晴らしいスポーツを促進することを望んでいる。我々はその役割を果たしている」
これまでFIAが批判を受けたり、会長の言動が疑問視された場合の彼らの反応から考えて、FIAはGPDAのこの声明に対して、強い反発を示すことが予想される。一方、過去2年にわたり、商業権保有者との間で何度か対立を繰り返してきたビン・スライエムFIA会長は、すでに危うい立場に立たされており、FIAの孤立がさらに進む可能性がある。