これには特に明度が関係しており、明るい色ほど大きく見えるのです。また、暖色系の色は寒色系の色よりも多少大きく見えます。
膨張・収縮感とは?
「膨張・収縮感」は、寒暖感(寒色・暖色)、軽重感、進出・後退感、柔硬感などと同じように、人種・性別・年齢を問わず、誰もが共通に感じる知覚感情に分類されます。膨張・収縮感が応用されている例の一つが、囲碁の碁石です。同じサイズの白石と黒石を並べた場合、白石が大きく見えてしまうため、視覚的なバランスを考慮して黒石は若干大きめに作られています。
サイズの基準は白石が直径21.9mm、黒石が直径22.2mmで、その差は0.3mm。厚みについても、黒石は白石よりも約0.6mmほど大きく作られています。
|
|
太って見える色・引き締まって見える色
「色の膨張・収縮感」はファッションの重要なテーマでもあります。一般的に「白は太って見える」「黒は引き締まって見える」と考えられており、白を着るとゆるふわなイメージに、黒を着るときりっとしたイメージに。黒はファッションの定番色として根強い人気がありますが、淡い色を基調とする「淡色コーデ」も幅広い世代に支持されています。
今回はWEARに投稿された写真を例に、膨張色・収縮色をおしゃれに着こなす秘訣(ひけつ)を解説します!
ガーリーなワンピースを黒で引き締める
大人の女性がガーリーなアイテムを取り入れるなら、黒がおすすめです。
この写真のワンピースは、肩部分はシアー素材、胸元にビスチェを思わせるカッティングとシャーリングを施したもの。トレンド感の強いデザインですが、長袖でロング丈なので大人の女性にも取り入れやすいアイテムです。
このワンピースはベージュと黒の2色展開。ふんわりしたボリューム感を引き締めたいときは、収縮色の黒がおすすめです。
|
|
白いニットをすっきり見せるパンツスタイル
先ほどの写真と同じ人が白やベージュのアイテムを着ると、全体のシルエットは膨張し、柔らかい印象になります。
この写真は、ハートの刺しゅうが目を引く大人かわいいニットトップス。膨張して見える色なのに、着る人は太って見えません。
タックイン(トップスの裾をウエスト部分に入れ込む)しても、タックアウト(トップスの裾を出したままにする)してもおしゃれに見えるサイズ感であることと、もっちりとしたきめの細かい生地で体形を拾わないことが理由でしょう。
ベージュのタックパンツのセンタープレス(中央に折り目をつけたデザイン)も太って見えない要因の一つ。縦のラインを強調し、すっきりとした印象になっています。
ワイドシルエットのオールインワンを黒で引き締める
ハイウエストのオールインワンは、ダークカラーでマニッシュに着こなすのがおすすめです。
|
|
オールインワンはリラックス感のあるワイドシルエット。下半身にボリュームがありますが、センタープレスですっきりとした印象に仕上がっています。
フェミニンなマーメイドスカートの淡色コーデ
こちらは先ほどの写真と同じ人の淡色コーディネートです。膨張色を着ているのに、すっきりとした印象になっています。
この写真の淡いイエローのカーディガンは、太めの糸をざっくりと編んだローゲージニット。白いマーメイドスカートは光沢のあるサテンスカートです。
ルーズなサイズ感のカーディガンで上半身にボリュームを持たせ、ボディラインに寄り添うマーメイドスカートで下半身をスリムにまとめています。ウエストを隠しながら、女性らしいくびれを想像させるコーディネートです。
これらの写真から分かるように、ファッションはサイズ感が重要です。
日本ではバストやヒップの丸みを強調しない「華奢(きゃしゃ)見え」が好まれる傾向があり、ややゆとりのあるサイズ感が好まれるため、ルーズな印象になりがち。センタープレスの入ったパンツを選ぶなど、縦のラインを強調すると、すっきりとした印象を与えることができます。
1番目と2番目の写真は、女性らしいくびれをさりげなく主張するコーディネート。3番目と4番目の写真は、女性らしいくびれを隠すコーディネートです。華奢見えをかなえるコーディネートには、大きく分けてこの二つの方向性があります。
あなたはどちらのタイプがお好みでしょうか? 自分に合うコーディネート方法を探してみてくださいね!
松本 英恵プロフィール
カラーコンサルタント歴20年。パーソナルカラー、カラーマーケティング、色彩心理、カラーセラピー、ラッキーカラー(色占い)などの知見を活用し、カラー監修を行う。執筆、メディア出演、講演、企業研修の講師など幅広く活動。近著に『人を動かす「色」の科学』。(文:松本 英恵(カラーコーディネートガイド))