自民党は16日、選挙ポスターに「品位」の保持を求める規定の新設を柱とする公職選挙法改正について、来年1月召集の通常国会に先送りする方針を固めた。自民、公明両党は今月上旬の幹事長会談で今国会中の改正を目指すことを確認していたが、会期末が21日に迫っており、今国会中の与野党の意見集約は難しいと判断した。
与党はほぼ全裸の女性や風俗店の宣伝を載せたポスターが今夏の東京都知事選で問題化したことを踏まえ、これまで立憲民主党など野党4党と改正案の内容を協議してきた。
自民選挙制度調査会の逢沢一郎会長は16日、10月の衆院選を受け、日本保守党などとも新たに調整を進める必要が出てきたと記者団に説明。「丁寧な手順を踏む。来年の都議選、参院選には間に合わせたい」と語った。大野敬太郎事務局長は「今回は断念することになる」と明言した。
自民は16日の総務部会・選挙制度調査会の合同会議で、11月の兵庫県知事選を踏まえ、SNSなどでの偽・誤情報や、当選を目指さない候補者への対策を別途検討する方針も確認。立民などとまとめた現時点の公選法改正案も了承した。改正案は品位保持規定に加え、ポスターに「公職の候補者の氏名を記載しなければならない」と明記。特定の商品を宣伝した場合に100万円以下の罰金に処するとの規定も盛り込んだ。