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和歌山県警の警視だった50代男性からインターネット上の口コミ欄で中傷を受け名誉を毀損(きそん)されたとして、認定こども園を運営する和歌山市の社会福祉法人が、男性に660万円の損害賠償を求めて16日にも和歌山地裁に提訴することが分かった。こども園は書き込みがあった後、入園手続きに必要な園内見学の希望者数が3分の1ほどに激減するなど、多大な損害を被ったと訴えている。
原告は法人と、こども園の代表を務める女性。訴状によると、男性は2023年2〜5月ごろ、グーグルマップの口コミなどで「昭和のように古くさい。コンプライアンス遵守(じゅんしゅ)の欠片(かけら)もなく、最低な園」「パワハラ三昧(ざんまい)で最低」などと投稿。原告は虚偽の情報が掲載され、法人の名誉や信用が毀損されたなどとしている。
これらの書き込みを巡り、県警は24年2月に男性を書類送検。和歌山区検は3月、男性を名誉毀損罪と侮辱罪で略式起訴し、和歌山簡裁が罰金20万円の略式命令を出した。男性はその後、県警を退職している。
こども園では、書き込みのあった翌年度の見学希望者数が例年の3分の1ほどに減り、園児の保護者からの問い合わせ対応などにも追われたという。グーグルマップでは約5カ月間、男性の口コミを閲覧できる状態で、原告側は入園を検討する保護者の意思決定に影響があったとみている。
こども園の代表を務める女性は、自律神経失調症と診断され、約2カ月間休職したが目まいや嘔吐(おうと)などの体調不良が改善せず、現在も通院を続けている。書き込みのあった恐怖から、毎日のように口コミサイトを確認してしまうという。「投稿者が警察官で、さらに指導的立場の警視と分かり、特有の怖さもあった」とも訴える。
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原告代理人の海堀崇弁護士は「インターネット上の書き込みも、その先にいるのは生身の人間。軽い気持ちの書き込みがどれだけ大きな影響を及ぼすのか知ってほしいという思いもあり、提訴に至った」としている。【安西李姫】
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