石破茂首相は17日、旧優生保護法に基づく強制不妊手術の被害者らへの補償法が施行されたことを受け、訴訟の原告だった被害者らと首相官邸で面会した。「政府の責任は極めて重大で、真摯(しんし)に反省するとともに、心からの謝罪を改めて申し上げる」と述べた上で、補償の着実な実施を約束した。
首相は「個人の尊厳をじゅうりんする人権侵害を二度と起こしてはならない」と強調。全閣僚がメンバーの対策推進本部を設置し、障害者に対する偏見や差別の根絶に向けた行動計画を策定したことに触れ、「疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、共生する社会を実現していくことが私たちに課せられた使命だ」と語った。
元原告らは首相に対し、全ての被害者への補償実現などを求めた要請書を手渡し、「国として全力を挙げて取り組んでほしい」と訴えた。面会後に国会内でそろって記者会見し、ある女性の被害者は「おわびしてもらったが、苦しい気持ちはまだ心に残っている。子どもが産みたかった」と話した。
石破茂首相との面会後、記者会見する旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団の北三郎さん(仮名・中央)=17日午後、国会内
旧優生保護法国家賠償請求訴訟原告団と面会し、謝罪する石破茂首相(右から3人目)、三原じゅん子こども政策担当相(同2人目)ら=17日午後、首相官邸