1月23〜26日にアメリカ・フロリダ州で行われるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2025年シーズン開幕戦『デイトナ24時間レース』に先駆け、今年最初の戦いの舞台となるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで恒例のシリーズ公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』が行われた。17日(金)に始まり19日(日)に幕を閉じた“ロア(「咆哮」の意)”テストのパドックから、最新のトピックスをお届けする。
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“ロア”テストの最終日は、激しい雨と雷の影響でセッションの開始に遅れが生じた。IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の全クラスが対象となった最後のセッション6は予定開始時刻から2時間15分遅れの12時スタートとなり、ここではプロトン・コンペティションの5号車ポルシェ963がトップタイムをマーク。JDCミラー・モータースポーツの85号車が続き、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのワークスカー2台が出走を控えるなか、カスタマー・ポルシェ963がワン・ツーを記録している。
1分45秒443というタイムで公式テストを締めくくったニール・ジャニは次のように述べた。「僕たちはデイトナでのウエットの経験がなかったので、トラックに出ることにした。間違いなく、ただ試して、タイヤと圧力がどのように変化するかを見ていた。とくにバンクでデータを集めていたんだ。来週の予選日は雨になる可能性がある。こうすることで僕たちは少し経験を積むことができる」
一方、ブロンズドライバーのみが出走できるセッション7は、大幅なスケジュール変更のため85分に短縮されての実施に。GTPを除く3クラスから計20台が出走するなか、ダニエル・ゴールドバーグ駆るユナイテッド・オートスポーツUSAの22号車オレカ07・ギブソンが、ドライアップしていく路面で1分40秒613というラップを刻み、ジョージ・カーツの04号車オレカ07・ギブソン(クラウドストライク・レーシング・バイ・APR)を0.245秒上回ってタイムシートの最上段につけた。
■父の勝利から25年後にデビュー
チームマネージャーのブライアン・セラーズによると、GTDクラスにエントリーしているDXDTレーシングはウェザーテック選手権プログラムのために、既存のクルマに3台目のシボレー・コルベットZ06 GT.Rを追加したという。デイトナ24時間でアレック・ウデル、サリ・ヨルク、チャーリー・イーストウッド、そしてピポ・デラーニが乗り込むマシンは、ロバート・ウィケンスとまだ確認されていないコドライバーによってスプリントレースでも使用されることとなる。
ウェザーテック選手権の2025年シーズンは、ゼネラルモーターズ(GM)とアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)のプロトタイプレースでの提携が始まって14年目のシーズンとなる。また、ウェーレン・エンジニアリングは最近、AXRとのメインスポンサー契約を2027年まで延長した。これは両者のパートナーシップ10周年を記念するものだ。
ハート・オブ・レーシング・チーム(HoR)のGTDラインアップの一員としてレースを行うマティア・ドルディのウェザーテック選手権デビューは、26歳の彼にとって、彼の父親がデイトナでクラス優勝を飾ってから25年後となるため、個人的に重要な意味を持つことになるだろう。ルカ・ドルディはハーバーサー・レーシングのラインアップの一員として、GTUクラスでガブリオ・ローザ、ファビオ・ローザ、ファビオ・バビーニとポルシェ996 GT3-Rをシェアして勝利した。
■アキュラに所属も、他社のGT3カーでのレース出場に意欲
ポール・ミラー・レーシングからBMWファクトリードライバーとなって初めてのデイトナに臨むケルビン・ファン・デル・リンデは、ミシュラン24Hドバイへの初参戦が検討されていたことを明かした。「僕たちはドバイでレースをする可能性を検討していたが、それはかなりギリギリだった」とファン・デル・リンデはSportscar365に語った。「だからロアに行こうと言ったんだ」
この南アフリカ人は弟のシェルドンとの再会が近いことを示唆し、「遅かれ早かれ」クルマを共有することになっていると続けた。ふたりのファン・デル・リンデは、アウディ時代の2018年にスパ24時間レースで総合表彰台を獲得するなど数々の注目を集めた共同スタートを切っている。
アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングと新たに契約を結んだ元BMWファクトリードライバーのニック・イェロリーは、NSX GT3エボが事実上廃止された後、アキュラが現在GTレースに参戦していないにもかかわらず、今シーズンのGTレースへの出場への扉を開いている。
イェロリーはSportscar365に対し次のように語った。「GTレースに参戦する機会があれば、別の(メーカーの)GTカーで参戦してもいいことになっている。もちろんそうするつもりだ。なんの問題もないのだからね。カレンダー上、今年はスパ24時間が空いていることは知っている。シートが空いていれば飛び込むつもりだよ」
■場合によっては年内の復帰も
ベン・キーティングは、トム・フェリエが運営するWEC世界耐久選手権のGTプログラムにふたたび参加する準備を進めるなか、トラックハウス・バイ・TFスポーツでロレックス24に出場することが「とても役立つ」と評した。
「シートタイムだ」とキーティングはSportscar365に語った。「まったく同じクルマだ。タイヤは異なるが、同じコルベットなので有益な時間だ。WECチームはカタールでの開幕戦の前にテストを行うが僕はそこにいない。だから、これが僕にとってのテストになる。他の仕事があり、それに対応しなければならないんだ」
タチアナ・カルデロンは、グラディエント・レーシングがアキュラからフォードにGT3メーカーをスイッチしたことは、以前のクルマが古いためにNSX GT3 Evo22から引き出せる「マキシマム」を迎えた後、チームに「大きなチャンス」をもたらすと述べた。「アキュラでは、何が機能するかを知っていた」とカルデロンはSportscar365に語った。「あるウインドウを通り抜けると本当に最大限に達し、そこかその辺りにいたわ。ここ(フォード)には、私たちがどれだけこれに頼ることができるかという無限のチャンスがある」
マグナス・レーシングはデイトナ24時間を最後に正式にプログラムを「休止」するが、Sportscar365はチームのオーナー兼ドライバーであるジョン・ポッターの増加したビジネス・コミットメントが落ち着けば、アストンマーティンを走らせる同チームが今シーズン後半にウェザーテック選手権の一部のレースに復帰する可能性があると理解している。
■サポートシリーズではトルクセンサーを使用せず
IMSAのテクニカルディレクターであるマット・クルドックによると、今季2025年のVPレーシング・スポーツカー・チャレンジに新設されたGTDXクラスにおいて、将来的にトルクセンサーを導入する計画はないという。ウェザーテック選手権のGTDプロとGTDクラスのマシンがこのデバイスを使用する一方、同氏はGTDXを走るGT3カーにエアリストリクターまたはブーストレベルの調整を継続することを認めた。
「当面の間、私たちは(現在の構成を)継続する」とクルドックはSportscar365に語った。「トルクセンサーを導入するためには、新しいモデルが導入される度にエンジンのダイナテストを行う必要がある。私たちはコストについて非常に敏感だ。サポートシリーズではとくにそうなることは明らかだ」
3日間のテストが終了し、いよいよ今週末に迫った第63回デイトナ24時間レースは、22日(水)にミシュラン・パイロット・チャレンジとウェーレン・マツダMX-5カップのプラクティスが行われた後、木曜日からウェザーテック選手権の走行がスタートする。レースウイーク初日の23日は、予選を間に挟んで2回のプラクティスを予定。翌24日に3回目のプラクティスが実施された後、25日から26日にわたる24時間レースが行われる。レーススタートは土曜13時40分、日本時間では26日(日)3時40分だ。