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今や、美顔器はスペシャルケアではなく、デイリーケアの一環に。ナリス化粧品の調査によると、20代前半の女性では40%、50代でも15%強がパーソナル美顔器を所有し、毎日使う人も少なくない。
「美顔器市場はここ数年で急速に進化しました。初期は“エステ体験を自宅で”という位置づけでしたが、コロナ禍以降、本格的な美容医療を意識した製品が続々登場。背景には、コロナ禍で在宅勤務やマスク生活が一般化したことがあります。
“ご自愛”がブームになり、クリニックに通う人が増える一方、逆に“自宅で手軽に本格的なケアがしたい”というニーズが高まりました」(吉田さん、以下同)
SNSで広がったセルフケアブーム
さらに、SNSもセルフケアブームを加速させた一因。
「インスタグラムやユーチューブで紹介される美容法や韓国美容の影響で、“スペシャルケア”への興味関心が高まりました。炭酸パックやピーリングなど、日常のケアにプラスするアイテムが注目され、セルフケアの幅が広がり、クオリティーも上がっています」
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このセルフ美容ブームに乗り、美顔器市場には家電メーカーやエステブランド、さらにはIT企業など異業種からの参入も見られる。
「競争が激化する中、消費者はますます“結果”を求めるようになり、より即効性重視の製品が増えています。電気刺激などで痛みを感じる美顔器も、以前より抵抗感がなくなり、整形のダウンタイム感覚で受け入れられるように」
さらに最近は、“美容医療発想”だけでは飽き足らず、よりピンポイントなケアに注目が集まっている。目元や頭皮、ボディなど特定のパーツに特化した美顔器が人気に。
「全顔用の美顔器を持つ人が増えてきたので、今後は部位ごとに特化した製品や、より個別の悩みに対応する美顔器が主流になりそうです」
10代からシニアまで世代別のニーズが
美顔器の利用者層は10代後半から70代までと幅広く、世代によって目的やアプローチが異なる、と吉田さん。
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「若い世代では美容医療に対する抵抗感が薄く、10代後半から美容クリニックを利用する人も。今の若者はニキビ対策にも、クリニックでのディープクレンジングやピーリングといったメニューからスタート。そういったスキンケアの選択肢の一つとして、美顔器を使い始める傾向に。
一方、シニア層では、眼瞼(がんけん)下垂やたるみといった悩みを抱えつつも、“顔にメスを入れるのは怖い”という思いから、より医療に近い美顔器に救いを求めるケースが多いです」
こうした世代ごとのニーズの違いは、美顔器市場のさらなる多様性をもたらす要因となりそうだ。
初めて美顔器を購入する際、手頃なエントリーモデル(初心者向け)を選びがち。だが、吉田さんは「特に大人世代が今から買うのであれば、高価格帯の上位モデルを」とすすめる。
「継続するには、初めて使った時の“効果実感”が重要。肌にハリが出たり、人から褒められたりといった成功体験があれば、自然と続けたくなります」
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一方、安価なモデルでは効果を実感できず、結局使わなくなってしまうケースも。そうなればせっかくリーズナブルに手に入れても損をしたことになる。さらに、便利に見える多機能タイプよりも、一点集中タイプがおすすめ。
「たるみやシミなど、今、気になっている悩みに特化した製品を選ぶことで、効果を実感しやすくなりますから」
忘れがちなお手入れ、肌トラブルの原因にも
せっかく上位機種を購入するのであれば、失敗は避けたいもの。レビューや口コミを参考にすることも重要だが、もっと大切なのは「実際に試すこと」と吉田さん。「家電レンタルサービスを活用して、使い心地や効果を確かめるのがおすすめです。メーカーが自社で貸し出しサービスを行っているところもあり、製品に自信があるんだなと感じますね」
レンタルしないまでも、家電量販店などで実機を手に取ってみることは必須。
「重さ、扱いやすさ、サイズ感など、実際に触れてみないとわからないポイントが意外と多いです。実機を手に取ることは絶対してほしいです」
とはいえ、エントリーモデルでも決して安くないものが多い美顔器。吉田さんは、「最近のスマートフォンの価格を考えてみてほしい」と言う。
「発売当初はスマホが10万円以上することに抵抗を感じていましたが、今では多くの人がその価値に納得して、便利さを享受していますよね。美顔器も、10万円前後の価格で最先端の技術や高性能を備えた製品が手に入ります。 そう考えると、値段に見合ったメリットがあるといえますし、自分への投資として購入するのもアリだと思うんです」
もうひとつ、「せっかく美顔器を使うなら忘れないでほしい」と吉田さんが言うのは美顔器のお手入れについて。美顔器は肌に直接触れるため、汚れがたまると肌トラブルの原因に。
「私は使用後、必ずアルコールスプレーで消毒します。顔に触れるヘッド部分はお手入れしても、持ち手までは拭いていないという人も多いのでは。
皮脂やジェルなどが付着していると雑菌が繁殖してしまうので、アルコールをティッシュやコットンに吹きつけて、全体を拭きましょう」
美顔器をMAXに使いこなすためのQ&A
飽きっぽいから続ける自信がない。どうすれば?
「美顔器を『生活の動線上』、例えば洗面所など、毎日必ず目に入る場所に置いておきましょう。私はキッチンに置いていますよ。また、『美容液を手で塗るより、20倍浸透効率が高まる』など、美顔器の具体的なスペックを覚えておくと、モチベーションが上がるはず!」
夜は疲れて、使うのが面倒になってしまうのですが…。
「実はおすすめは朝のメイク前の使用。夜は皮膚が排出を行う時間帯なのでシンプルケアで十分。朝、美顔器で肌の水分量が増えたり血色が良くなれば、メイクの仕上がりもアップします。私もメイク前にEMS美顔器を使った際、『頬が引き上げられチークを塗る位置が変わった』と感じたことも。『メイクの一環』として習慣化を」
プロ愛用の美顔器4選!
「ここぞという時や、お肌の調子がピンチの時のレスキューケア。トータル30分くらい行います」
パイラブラッシュ (リンクス)7万4800円
まず頭皮からケアして、顔まわりまですっきりした印象に
「普段動かすことのない“頭筋”を運動させ、気になるお顔のラインに即効性が期待できるアイテムです」(右から2番目)
キャトルリフト(ジェイメック)13万9700円
次にハイパワーRF美顔器で、攻めの引き締めケアを
「本格的なRF機能を搭載し、ハイパワー&ハイスピードで大人のたるみをリフトアップ!」(1番左)
ブルーグリーンショット(ヤーマン トウキョウ ジャパン) 7万7000円
さらに緑LEDで、透明感のある発光美肌をサポート!
「日本で初めて緑LEDとIPLを同時出力。気になるくすみに効果的にアプローチ」(左から2番目)
エレクトロソニック DFモバイル スキンケアデバイス(エンビロン) 7万5570円
仕上げに美容成分を効果的に深部に浸透
「超音波導入とイオン導入を同時に出力。うるおいのあるハリ肌にしてくれます」(1番右)
教えてくれたのは……吉田瑞穂さん●美容エディター・ライター。これまで300種類以上の美顔器を試し、70台以上を所有するスペシャリスト。3/21には、スキンケアから美容医療まで網羅した初の著書『美肌投資』(扶桑社)を上梓。
取材・文/鈴木恵理子