限定公開( 27 )
数ある少女漫画雑誌のうち、「りぼん」「なかよし」「ちゃお」は“3大少女漫画雑誌”といわれている。そのうち、現時点で部数がトップなのは、どの雑誌かご存じだろうか。
日本雑誌協会が2025年2月13日に公表した、2024年10月〜12月の3ヶ月ごとの平均印刷部数を見てみよう。データによると、「りぼん」が約11万部で、「ちゃお」が約9万2500部、「なかよし」約2万4125部となっている。「りぼん」が現在の少女漫画雑誌のトップであり、唯一10万部以上の部数を維持している少女漫画雑誌でもある。
しかし、この数字を見ると寂しい気持ちになってしまう。1990年代までは「りぼん」は約250万部、「なかよし」は約200万部を突破していたのである。メディアミックスされる作品も少なく、少女漫画ファンは残念な思いを抱いている人もいるかもしれない。現在の少女漫画雑誌の特徴をそれぞれ見てみよう。
3誌のうちもっとも読者の対象年齢が低いと言われるのが「ちゃお」である。最新号では、サンリオの人気キャラクター“クロミ”とコラボを行っている。漫画以外にも、ゲームからアイドルまで女児向けの様々なコンテンツが掲載されているのが「ちゃお」の特徴であり、女児全般の興味関心を引く誌面にしているようだ。
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例えば、「ちゃお」は冒頭のカラーページに、女児向けのおもちゃなどの情報を扱った記事を、かなりのページで扱っている。言ってしまえば、「ちゃお」は女児向けの総合月刊誌といってもいいような内容かもしれない。
一方で、「なかよし」と「りぼん」はそういった特集は少なく、漫画に特化した構成になっているのが特徴といえる。
「なかよし」は2024年1月号まで「カードキャプターさくら クリアカード編」が連載されていたが、現在も「しゅごキャラ! ジュエルジョーカー」や「ぴちぴちピッチ aqua」が連載されているなど、1990〜2000年代の名作の続編やスピンオフ作品が目立っている。どちらかといえば、30〜40代の読者をターゲットにした作品が目立つ印象だ。
往年の名作をリメイクした作品を連載する動きは、2008年には既に手塚治虫の『リボンの騎士』を花森ぴんくの作画で『サファイア リボンの騎士』としてリメイクしたように、近年の「なかよし」最大の特徴となっている。おそらく、「なかよし」の連載作品は、雑誌よりも単行本で読まれるケースが多いのではないだろうか。
既に述べたように、少女漫画のメディアミックスは少年漫画や異世界物などと比べるとかなり低調である。そんななかで、メディアミックスを比較的行っているのが「りぼん」であろう。看板作品の『ハニーレモンソーダ』は今年1月からアニメが放送されている。そしいて、「りぼん」は他誌と比べても作画密度が高い、少女漫画らしい少女漫画が多い。
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繰り返すようだが、かつて少女漫画を読んでいた30〜40代の女性をターゲットにしたコラボカフェやグッズの発売は盛んである。『美少女戦士セーラームーン』は不動の人気を誇っているし、作者のCLAMPの原画展も好評だった『カードキャプターさくら』は相次いでグッズ化され、『きらりん☆レボリューション』はコラボカフェのイベントも実施された。ただ、「ちゃお」も女児向けの内容と書いたが、お金を出して購入するのは親世代だと考えると、「なかよし」「りぼん」にも近い年齢層をターゲットにしているとも言えるだろう。
かつての名作のメディアミックスが盛んな一方で、現在進行形で連載中の作品が注目を集めていないのは、かなり寂しいものがある。なかには、単行本の初版の発行部数が2000部程度に落ち込んだタイトルもあるといわれており、他ジャンルへの漫画家の移籍も進む。近年の深刻な少子化もあり、少女漫画雑誌を取り巻く現状は厳しさを増している。
少女漫画が注目されるためには、何と言ってもヒット作の誕生である。メディアミックスが相次ぐヒット作が1本でも生まれれば、少女漫画界全体が活気づくのは間違いない。漫画ファンの間からは「注目度は高くないが、個々の漫画のクオリティは上がっている」という意見もある。今後の少女漫画界から目が離せなくなっている。
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DRAGON BALL DAIMA×シーチキン(写真:ORICON NEWS)28
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