バイクのクイズ 第38回 ゼロハンスクーターの始祖!? 主婦からヤンチャな若者にまで大ヒットしたモデルとは

2

2025年02月21日 08:11  マイナビニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
● 今や生活の足として定着している原付スクーターですが、そのカタチを確立させたこのモデルは何でしょうか?


ヒント:ターゲットである主婦層だけでなく、若者にも大ヒットしました



メインターゲットは主婦をはじめとする女性でしたが、ヤンチャな若者達にもかなり人気がありました。



――正解は次のページで!● ○問題をおさらい!


正解はこちら!


○【答え】ヤマハ「パッソル」


正解はヤマハ発動機の「Passol」(パッソル)でした!



「パッソル」は1977年に登場したヤマハの50ccスクーターで、現在まで続く原付スクーターのカタチを確立したモデルです。しかし、それまでゼロハンスクーターが存在しなかったのも不思議だと思いませんか?



国内におけるスクーターの歴史は太平洋戦争の戦後から始まります。米軍が持ち込んだモデルを手本とした富士工業(現・スバル)の「ラビット」や、現在の三菱重工業が手掛けた「シルバーピジョン」などが大ヒットし、これらが経済復興に貢献しました。しかし、高度経済成長期に入ると商用車両は自動車がメインになり、小口配送用のバイクは頑丈で安価なホンダ「スーパーカブ」などのタイプに切り替わったため、スクーターブームは終わってしまいます。



しかし、1976年にホンダの「ロードパル」がヒットしたことで、それまでバイクに無縁だった女性という新しいユーザー層が開拓されました。さらに需要が増えると見込んだヤマハは、「ロードパル」のようなミニサイクル風ではなく、女性がスカートで足をそろえて乗れるフラットなステップのスクーター型モデルを開発します。それが「パッソル」でした。


ギアチェンジが不要で、自転車と同じくハンドブレーキで操作できることが「パッソル」の特徴でした。エンジンや駆動系を一体化したスイングユニット式を採用している点は「ロードパル」と同様ですが、エンジンやマフラーなどの機械部品は樹脂カバーで覆って隠しています。これは、初めてバイクに乗る女性に威圧感を与えず、衣服が汚れないようにするための配慮でした。



テレビCMではホンダ「ロードパル」のソフィア・ローレンさんに対し、ヤマハ「パッソル」は八千草薫さんを起用。白いスカート姿で両足をそろえて乗りこなす姿を披露しました。ステップが平らな「パッソル」は、フレームをまたぐ「ロードパル」よりも乗降が容易です。走行風でスカートがめくられないよう、レッグガードも装備していました。



販促活動も「ロードパル」同様、テレビCMやデパートなどでの展示会のほか、原付教室なども積極的に展開し、「パッソル」は空前の大ヒットを記録します。若年層やセカンドバイクとしてのニーズも高く、ひとまわり大きな「パッソーラ」やスポーツタイプの「パセッタ」といった派生モデルも登場しました。


しかし、「ロードパル」で開拓した女性ユーザーの多くを奪われたホンダが黙っているはずもなく、1980年にはスクータータイプの「タクト」を発売します。その後の両社は驚くほどのペースで新型のミニバイクを次々にリリースし、後に「HY戦争」と呼ばれる熾烈な販売競争を繰り広げました。


競争が激化した1980年代以降は技術革新が進んだため、「パッソル」は見た目もメカニズムも一気に古くさいものになりましたが、若者たちの間ではジョグ系エンジンに乗せ換えた「パッジョグ」の制作が流行します。「パッソル」は車体が軽かったため、ポン付けでも本家のジョグを引き離し、90〜100ccのチューンドエンジンを積んだ個体は手が付けられないほどの速さを見せつけました。



それでは、次回をお楽しみに!



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)

前日のランキングへ

ニュース設定