WEC第1戦で予選2番手を獲得したドリス・ファントール/ラファエル・マルチェッロ/ケビン・マグヌッセン組の15号車BMW Mハイブリッド V8 BMW Mモータースポーツの代表であるアンドレアス・ルースは、WEC世界耐久選手権『カタール1812km』の公式予選でフェラーリを倒す寸前まで行ったことは「ちょっと驚き」だったと語り、同ブランドがWECで「間違いなく正しい方向に進んでいる」ことの証だと称賛した。
チームWRTが走らせるBMW Mハイブリッド V8の2台は、2月27日にルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた二次予選『ハイパーポール』に進出、2番手と6番手につけた。15号車BMWのドリス・ファントールは、ポールポジションを獲得したフェラーリ499Pのアントニオ・ジョビナッツィにわずか0.136秒差で敗れての2番手だった。
この結果により、BMWは1月のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レースでの画期的なポールポジションに続き、WECのレースで初めて総合最前列スタートを切ることになった。
「満足できる」とルースはSportscar365に語っている。
「1年前のカタールでの状況を振り返ると、シーズンの好スタートだと思う。しかし、もっとも重要なのは、マシンの進歩を継続することだ」
「冬の間に多くの作業を行ったが、間違いなく正しい方向に進んでいるようだ」
「チームにとっても、関係者全員にとっても、進化、我々の取り組み、そして正しいステップを確認できるのは良いことだ」
「週末を通してフェラーリのペースを見ると、彼らは非常に強かったので、正直言ってここまで接近できたことは我々にとってちょっと驚きだった」
「それでも、フェラーリにこれほど接近できたのは嬉しいことだ」
しかしながらルースは、28日に行われる10時間レースのシーズン開幕戦では、フェラーリが依然として侮れない存在になるだろうと考えている。
「ロングランでも、彼らは強かった」とルース。
「最終的には、タイヤマネジメントとタイヤを作動ウインドウ内に維持することにかかっている。レースでは真夜中まで走るし、いまのところここはかなり寒くなってきている。タイヤを長持ちさせ、適切な温度に保つことも重要だ」
「もちろん、すべてのセッションで、またプロローグ(前週に行われた公式テスト)でもデータ収集のためにたくさん走った。今はみんなで知恵を絞って、明日のレースに向けて適切なセットアップを見つけたいと思っている」
■公式テストの走り出しから「良い感触」だったとフラインス
一方、20号車BMWはロビン・フラインスがアタックを担当し、ポールタイムから0.787秒遅れの6番手となったが、フライングラップのターン5でトラフィックに巻き込まれなければ、ファントールにもっと近づけたかもしれない。
とはいえこのオランダ人ドライバーも、昨年のカタールでのシーズン開幕戦と比べてBMWが進歩したというルースの発言をなぞっている。
「昨年の進歩だけに着目すると、スタートは悪かったと思うけど、シーズンの終わりには競争力があった」とフラインス。
「(最終戦の)バーレーンでも、トップ5を走っていた。でも、今はマシンを改良した。アップデートとは言えないが、マシンにいくつかの変更を加えたので、今はより複合的なパッケージになっている」
「プロローグのためにマシンを下ろし、ピットから出てすぐに良い感触があったんだ。そして、最初の走行から良い基盤に立つことができた。それが重要だ」
「昨年はトラブルもあり、マシンは新しかったから、パフォーマンスを求めるよりも問題を修正することに集中していたが、今は問題もなくなったので、パフォーマンスに集中することができている」
それにもかかわらずフラインスは、ルサイルのトラックではタイヤのデグラデーションがかなり少ないことを考えると、レースでは「追い抜くのは非常に難しい」と予想している。
「僕らにとって、特に前のマシンを接近戦で追うのは非常に困難だ。その点では、フェラーリとアルピーヌが非常に強いと思う」
「ペースはある。フェラーリとキャデラックはロングランでは僕らより少し速いとは思うけど、僕らは上位にはいる」
「僕らは予選で6番手だったから、“トレイン(上位陣の車列)”にはついて行ける。もちろんターン1でトラブルに巻き込まれないようにし、そのトレインについて行けたらと思う。純粋なペースでの争いになるだろうね」