C17導入、石破首相意欲も現場冷淡=米大型輸送機、運用に難

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2025年03月08日 14:01  時事通信社

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時事通信社

米空軍嘉手納基地上空を飛行するC17輸送機=2011年2月18日、沖縄・嘉手納町
 石破茂首相が米国製大型輸送機C17の導入に意欲をにじませている。自衛隊の輸送能力が高まれば抑止力強化につながるというのが首相の持論。ただ、運用面では課題が多く、防衛省・自衛隊内では慎重論が強い。個別の機種にこだわる首相の「軍事オタク」ぶりに冷ややかな声も漏れる。

 関係者によると、首相は先月7日のトランプ米大統領との会談で、米国製輸送機を購入したいと打診。かねて導入を唱えるC17に言及したとの証言もある。4日の衆院予算委員会で事実関係を問われた首相は、一般論と断りつつ「輸送機は多くの物を積めれば積めるほどいい」と力説した。

 自衛隊は現在、C2(最大積載量約30トン)とC130(同約20トン)の主に2機種を運用する。C17(同約78トン)はこれらより2倍以上大きく、戦車やヘリコプターを積んで運ぶこともできる。

 半面、ネックとされるのが滑走路の長さだ。積んだ荷物の重さにもよるが、離着陸には「3000メートル級の滑走路が必要」(自衛隊幹部)とされる。

 空自の入間基地(埼玉県)や美保基地(鳥取県)の滑走路は2000〜2500メートル程度。重い機体が滑走しても問題が起きないだけの地面の耐圧も求められ、国内でC17が使用できる基地・空港は限られるのが実情だ。

 首相は予算委で「滑走路が脆弱(ぜいじゃく)だから(導入しない)というのは理屈として逆だ」と強調したが、自衛隊関係者は「滑走路の延長・強靱(きょうじん)化は容易ではない」と困惑する。

 C17は製造が既に終了していることも難点だ。導入する場合は米軍が使用した中古品を購入することになる可能性が高いが、部品調達や機体整備のコストがかさむことが予想される。

 ある空自関係者は「狭い国土に合った機体かどうかの検討が必要だ」と指摘。防衛省幹部は「日本のニーズに合っていない。防衛産業にもメリットはない」と語る。別の同省関係者は「首相の思考は20年前で止まっているのではないか。トランプ氏を喜ばせるには最適の買い物だ」と皮肉った。 

このニュースに関するつぶやき

  • 現場の自衛隊がいらないと言ってるのに不要な物を入れたがる石破はバカ。石破自体が政界にそもそも不要。
    • イイネ!14
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