限定公開( 31 )
ライブ動画配信は近年、若者を中心に人気が高まっている。一方、過去にも配信者が殺害される事件が起きており、視聴者とのトラブルに発展する危険をはらむ。
殺害された佐藤愛里さん(22)は、「最上あい」の名前でライブ動画を配信する活動をしていた。襲われたのは、スマートフォンでJR山手線沿線を歩く自らの姿を撮影している最中だったとみられる。
佐藤さんの知人男性(37)は「屋外を歩きながら配信する『外配信』は珍しくないが、以前も別の女性配信者が居場所を特定されて視聴者とトラブルになったことがある」と話す。
捜査関係者によると、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された高野健一容疑者(42)は2021年末に、佐藤さんの配信を視聴し、その後勤務先だった飲食店に通うようになったとされる。
事件前日の10日に、配信の告知動画を見て佐藤さんの予定を把握。当日は「リアルタイムの動画配信を見て、居る場所を探した」と供述しているという。
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民間の市場調査会社「矢野経済研究所」によると、ライブ動画配信は新型コロナウイルス禍以降に定着。応援のため金銭を贈る「投げ銭」という機能もある。
ただ、視聴者との距離の近さが、トラブルの要因となるケースもある。22年1月には埼玉県越谷市で、動画配信を通じて知り合った女性(当時33歳)を視聴者だった20代男性が殺害。女性に「距離を置きたい」と求められて憤り、女性の自宅で待ち伏せして事件を起こしたとされる。
国民生活センターによると、「投げ銭」を巡る相談も増加。視聴者が「投げ銭」をしても特典を受けられなかったと、苦情を寄せるケースもあるという。
筑波大の原田隆之教授(犯罪心理学)は「ライブ配信の場面を選んだ点は現代的な劇場型犯罪と言える」と指摘。「ファンを増やしたい思いがあっても、むやみに視聴者と接触しないことが大切。屋外で発信する場合はプライベートな情報や居場所の特定につながる行為はなるべく避けるべきだ」と話した。【岩崎歩、朝比奈由佳】
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