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「もう本当にキツすぎる。4月使用分からは補助金がなくなるため、電気・都市ガス料金とも一段と値上がりする可能性があるって……(中略)首相は街頭演説で、電気代などの値上がりについて『上がって困る人には十分な支援をおこなう』と話していたのに……」
Xでこうつづったのはタレントの東ちづる(64)だ。
大手電力10社と大手都市ガス4社が発表した4月分(3月使用分、4月請求)の電気代・ガス代は、全社で前月より値上がり。上げ幅は電気が294〜411円、都市ガスは179〜233円となった。
東京電力は「平均モデル」の4月分の支払額を8千595円とし、前月より377円も上がる。東京ガスは「標準家庭」の同じく支払額を5千886円とし、これも前月より233円上がる。
「5月分(4月使用分)は電気代、ガス代ともさらに上がる可能性があります」と話すのは経済評論家の加谷珪一さんだ。
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「政府は暖房の使用で電気、ガスの需要が高まる冬季の使用分に限って補助金を復活させました。それが4月分は半減し、5月分からはゼロになるんです」
すると5月分の電気代、ガス代は加谷さんの見通しでは「政府の補助金がなかった同時期の程度まで上がる可能性がある」という。
「電気代が、東電の『平均モデル』で9千円程度、ガス代が東京ガスの『標準家庭』で6千円程度の支払いになると思われます」
この電気・ガス代は原油価格に大きく影響されるため、ウクライナ戦争の情勢や米国のトランプ大統領の施策に左右される可能性も大きいと、加谷さんは続けて話す。
「トランプ氏がいま画策しているロシアとウクライナの和平交渉が一気に終結に向かえば、原油価格は世界的に下がると思われます。
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また、トランプ氏は日本の円安を激しく批判しています。これを機に日銀が金利を上げて円高傾向になれば、電気代はのちのち安くなる可能性はあります」
トランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領は2月末の会談で口論となったが、その後は欧州各国も手を挙げて和平への協力が進められたりと、日々動いている。
ひとまずは5月分の電気、ガス代値上げを覚悟しておくべきだ。
一方、水道代は「関東37自治体で水道料金値上げ」(日テレNEWS、3月2日)と報じられた。
埼玉県八潮市で1月末、道路が陥没しトラック運転手の男性が行方不明となった事故は、下水道管の老朽化が原因ともされている。
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「道路陥没や水道管破裂などの事故を未然に防ぐためにも、早めに施設を更新(=水道管の修繕や耐震化などを)していくため、上水道料金を改定させていただきます」
こう話すのは、埼玉県・本庄市水道課の大島一弥さんだ。
本庄市では4月1日より、上水道料金が43%値上げされることになった(本誌独自取材での試算の数値。以下同。各市町の新旧料金は一覧表参照)。同じ埼玉県戸田市は32%値上げで、月額2千150円となる。
戸田市総務課の落合成行さんは、次のように説明する。
「戸田市は現在まで、水道管修繕費である資産維持費を、水道料金に上乗せしておりません。しかし水道事業の料金回収率が100%を下回っているため、今後3年間で100%の水準を維持できるように、今回、料金改定をいたしました」
戸田市は東京ガスの供給エリアでもあり、東京電力と東京ガスの値上げのうえに水道代値上げも4月分からかかってくる世帯がある。
3月分から4月分への、電気・ガス・水道の値上げ分は、1千143円にもなる。
ライフラインの値上げは、国民の大きな負担に直結するのだ。
■2046年までに値上げが必要な事業体は全国の96%に及ぶ
「じつは、今回、水道代値上げを発表した本庄市や戸田市などは、将来的な市の経営見通しに責任を持って値上げに踏み切った優秀な自治体ともいえます」(前出・加谷さん、以下同)
EY JapanEYおよび、水の安全保障戦略機構事務局が共同研究して2024年4月に発表したレポート「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?」では、2043年段階で都道府県や市町などの水道事業体が、赤字経営とならないための必要な値上げ率が推計されている。
同報告によれば2046年度までに値上げが必要とされる事業体は1千199で、全国の96%におよぶ。
そのなかで本庄市は1千120位、戸田市は1千151位と、値上げの必要度が極めて低いのだ。
一方、値上げ必要率が高かったのは宮城県女川町で、福島県鏡石町、長野県木曽町……と続く。
「6位の津軽広域水道企業団(青森県)までが値上げ必要率300%を超えています。『いますぐ3倍に値上げしないと将来、赤字経営になる』可能性を示す数値です」
ちなみに現在値上げの予定はない東京都は、値上げ必要度850位、値上げ必要率26%を示している。
「東京都は現在でも人口が増加していて財政も豊かです。しかし全国の多くの自治体が『50年に1度は取り換えが必要』とされる水道管の設備更新費を水道料金に上乗せせず、先送りしてきた。そのツケがいま、回ってきているんです」
このように全国的に値上げ傾向の水道事業に対し、政府は“最悪の想定”の準備を始めたようだ。
「今後、全国的に巨大地震が発生する確率は極めて高いでしょう。しかし大災害で被害を受けた上下水道を、元通りに復旧する支援をすべて賄えば、国の財政は破綻してしまいます。
そのため国は従来型上下水道システムに替えて、上下水道分散化の検討を真剣に始めているんです」
国土交通省は2024年12月24日、「上下水道一体革新的技術実証事業」をテーマに「公募」を開始。
同要項では、都市部などの大規模な水供給システムの対極をなす「中山間地域等で用いられる小規模な水供給システム」の確立を目指すとしているが、全国紙記者が本当の“国の狙い”を指摘する。
「国交省は、ぼかしますが、はやい話が『上下水道システムをやめて、飲料水は給水車で配り、下水は汲み取り式に戻す』ということ。
『震災で配管が壊れたら、元に戻せません』とは国は言えないため、『持続可能な分散型上下水道インフラ』などと、もっともらしく言っているんです」
汲み取り式という未曽有の景色を、私たちは「近い将来」目の当たりにするというのだろうか――。
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