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大分県佐伯市の海運会社に勤務していた男性(当時30歳)が2019年に自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、両親が同社などに計6841万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は19日、同社と上司に連帯して計6612万円の支払いを命じた。林史高裁判長は、上司が男性を「ナマケモノ」などとやゆするメールを送ったことをパワハラと認定し、自殺との因果関係を認めた。
判決によると、男性は滝本明範さんで、14年に同社に入社。船舶2隻の管理業務などを担当していたが、上司から叱責され、「ナマケモノの態度を改めなければあなたを必要とする理由が見当たりません」(19年4月4日)などと書かれたメールも送りつけられた。直後の19年4月8日、滝本さんは自宅で自殺した。
判決はメールについて「人格をおとしめる内容で社会的相当性を欠き、不適切」と指摘。残業時間が増加していたことも相まって滝本さんは心身共に疲労困憊(こんぱい)して精神障害を発症し、自殺に至ったと認めた。会社が適切な業務管理をしていれば事態を容易に把握できたのに、必要な注意義務を怠ったとし、会社と上司に請求額のほぼ満額の賠償を命じた。
滝本さんの父親は判決後の記者会見で「人を人と思わないようなパワハラがあり、残念。息子の死を無駄にせず、会社は人権を守ってほしい」と訴えた。
海運会社側は「判決内容を確認できておらず、コメントは差し控える」とした。【志村一也】
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