20日の香港マーケットは、主要83銘柄で構成されるハンセン指数が前日比551.19ポイント(2.23%)安の24219.95ポイントと5日ぶりに反落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が213.49ポイント(2.33%)安の8950.18ポイントと続落した。売買代金は2948億5530万香港ドルにやや拡大している(19日は2718億5930万香港ドル)。
投資家の慎重スタンスが強まる流れ。主要企業の通期決算報告が佳境入りする中、業績が予想に届かない銘柄が相次ぎ、全体相場の重しとなった。若手失業率の悪化も懸念材料。中国国家統計局によると、2025年2月の年齢別失業率で、学生を除く16〜24歳は16.9%となった。昨年後半から低下が続いていたが、6カ月ぶりの上昇となっている。中東地域の地政学リスクが続いていることや、米中貿易戦争のエスカレートが不安視されていることも逆風だ。また、ハンセン指数は前日まで4日続伸し、足元では約3年1カ月ぶりの高値を付けていたことも売りが出やすい一因となっている。指数は徐々に下げ幅を広げた。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、医療サービス企業の阿里健康信息技術(241/HK)が6.4%安、生命保険事業で中国最大手の中国人寿保険(2628/HK)が5.9%安、インフラ投資会社の長江基建集団(長江インフラ:1038/HK)が5.7%安と下げが目立った。長江インフラについては、通期決算の下振れが嫌気されている。
セクター別では、中国の保険が安い。中国人寿保険のほか、新華人寿保険(1336/HK)が6.6%、中国人民保険集団(1339/HK)が5.3%、中国平安保険(2318/HK)が5.0%ずつ下落した。保険事業で中国2位の中国平安保険が公表した通期決算は48%増益と堅調だったが、市場予想にはとどかず、セクター全体の売り材料となっている。
主力ネット株もさえない。阿里巴巴集団HD(9988/HK)が5.4%安、百度集団(9888/HK)が5.1%安、京東集団(9618/HK)が4.9%安、美団(3690/HK)が4.4%安、騰訊HD(テンセント:700/HK)が3.8%安で引けた。テンセントの通期決算は予想を上回り、配当の増額方針や自社株買い実施も明らかにしたが、好材料の出尽くし感が意識されている。また、24年の設備投資が前年の3.2倍に膨らみ、25年も投資を拡大すると発表したことも不安材料だ。テック銘柄に売りが広がり、ハンセン科技(テック)指数は3.4%安と他の主要指数をアンダーパフォームしている(構成30銘柄のうち下落29)。
半面、自動車セクターは総じて高い。東風汽車集団(489/HK)が8.8%、長城汽車(2333/HK)が3.3%、広州汽車集団(2238/HK)が2.1%、比亜迪(BYD:1211/HK)が1.7%ずつ上昇した。BYDは連日で上場来高値を更新。同社は来週24日に通期業績を発表する。販売好調を背景に、好決算も期待された。
一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.51%安の3408.95ポイントで取引を終了した。保険が安い。食品酒造や小売の消費関連、銀行・証券、医薬、ハイテク、素材、空運なども売られた。半面、自動車は高い。エネルギー、不動産、海運、軍需産業も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)