※写真はイメージです(以下すべて)多くの女性が抱える生理のトラブル。特に子宮筋腫があると、位置や大きさなどによっては出血が長引いたり、量が増えたりもするそうです。
20代のときに2cmほどの子宮筋腫が見つかった私も、毎回10日以上出血が続き、生理痛にも悩まされてきました。さらに40代も半ばを過ぎたころから、出血量が増え、やがて貧血を伴うほどの大量出血を繰り返すように……。
そして、状況を改善するためにミレーナを装着したものの、結果として子宮全摘出に至ってしまいました。子宮筋腫を持つ女性の参考になればと思い、その経緯をお伝えします。
※本記事は個人の経験に基づいており、ミレーナの効能を貶めるものではありません。医師の指導に従い、適切な処置をしてもらいましょう。
◆1時間で夜用ナプキンがオーバーする大量出血
子宮筋腫とはもう20年以上も付き合っている私。さらに40代後半といえば、更年期の足音も聞こえてくる年齢です。生理の変化もホルモンバランスの乱れによるものだろう、なんて、出血量が増え始めてものんきに様子を見ていました。
しかし次第に、生理の初日と2日目は夜用ナプキンでも1時間程度であふれてしまうほどの出血が続くようになり、外出はおろか、仕事も日常生活もままならない状態に。貧血によるめまいや吐き気にも悩まされるようになり、ふと頭に浮かんだのが、以前に仕事で医師から解説を聞いたことがあった「ミレーナ」でした。
ミレーナとは黄体ホルモンを放出するT字型の小さな器具で、子宮内に挿入することで、子宮内膜の増殖を抑えられるというもの。避妊システムとして知られていますが、月経困難症や過多月経の改善にも用いられます。効果は5年ほど継続し、装着中は出血がなくなる人もいるそうです。
挿入時に痛みがあること、装着後は1ヵ月ほど少量の出血が続いたり、下腹部に違和感や痛みを伴ったりするケースもあることなど、いくつかのデメリットはありますが、それらを踏まえても、毎月の大量出血や貧血の症状から解放されるメリットのほうが大きいと感じ、院長自身がミレーナを装着しているという婦人科の門をくぐりました。
◆生理も子宮筋腫も落ち着くはずが……
婦人科ではいくつかの検査を行います。その中で、子宮筋腫が4cmほどに育っていることが判明。過多月経の原因も子宮筋腫によるものだろうとの診断を受けました。
子宮筋腫の摘出や薬物療法などほかの方法も併せて相談したものの、医師からは「子宮筋腫の位置的に効果が弱まる可能性はあるけれど、ミレーナによって子宮内膜の増殖は抑えれるし、子宮筋腫の成長も抑制されるため、月経量は落ち着いていくでしょう」とすすめられ、ミレーナを入れることに。
◆「ミレーナが見当たらない!」医師から想定外の一言
ミレーナ装着後に続いた出血は昼用ナプキンで対応できるくらいの量で、これまでと比べれば快適でした。ただ、1ヵ月どころか半年経っても一向に止まる気配がありません。
何度か医師に確認するも、「子宮筋腫があるから長引いているだけで、そのうち落ち着くから大丈夫」と返ってくるのみ。なすすべなく待ち続けたところ、10ヵ月くらい経ってようやく、ひと月のうち1週間ほどは出血が止まるようになりました。
一方で、日々の出血量は増え始め、下腹部の痛みや違和感も強く感じるように。何となく不安を感じて診察を受けに行ったところ、エコー検査中に医師が発したのは「ミレーナが見当たらない!」という想定外の一言でした。
◆襲い掛かる不安と恐怖
本来、ミレーナを入れているあいだは、本体からつながる取り出し用の糸が子宮口あたりに残されています。医師が言うにはその糸も確認できないとのこと。
出血の様子から抜け落ちた可能性は低く、一方で子宮筋腫は約7cmまで大きくなっており、「子宮筋腫が育つ際にミレーナを飲み込んでしまったか、ミレーナが子宮を突き破って飛び出した可能性もある」と、提携する医療機関でMRIを撮るように言われました。
出血が続いていたせい? ミレーナで子宮筋腫の成長も抑えられるのではなかったの? 開腹手術をしないと取り出せないのでは? など、次々に湧いてくる不安と恐怖。自分の体の中で何が起きているのかわからないことで、腹部に少しでも痛みを感じると、不安と恐怖はより大きく襲いかかってきました。
同時に、なぜこんなことになってしまったのかと、この1年の様子や検診時のやりとりなどを冷静に振り返る中で、拭いきれない医師への違和感。提携先ではなく、婦人科に定評のある総合病院を受診することにしました。
◆子宮全摘出を決意できた医師との出会い
初診の日まで約1ヵ月。生きた心地がしない日々でしたが、新たに受診した総合病院の医師は、エコー検査で子宮筋腫に隠れていたミレーナを見つけてくれました。
実際は子宮筋腫にミレーナが飲み込まれていたわけではなかったものの、ミレーナによって子宮筋腫が肥大した可能性は否めないとのこと。医師曰く、「子宮筋腫の位置や大きさなどによってはミレーナが適さないケースもある」そうです。
状況的にミレーナはその場で抜くことに。抜けない場合は手術になる可能性もあると言われましたが、医師は「ちょっと難しいかも」と言いながらも3分足らずで取り出しに成功。我慢できる程度の痛みで、あっさりミレーナとおさらばしました。
一方で、ミレーナを抜いた後の生理は通常に戻ります。私はミレーナの装着中に子宮筋腫が2倍近くの大きさに成長していたことで、以前よりもさらに大量の出血を起こす懸念がありました。
◆信頼できる医師に手術を任せる決心
今後について医師と相談する中、年齢的に閉経も遠くないことから、薬物療法でしのぐ方法もありましたが、子宮筋腫の状態などを鑑みると、腹腔鏡による子宮全摘出が最も負担を抑えられるのではないかとなり、お願いすることにしました。
1週間程度の入院や術後の生活、人生初の全身麻酔への不安、そして、女性ならではの臓器であり、愛しい子供たちが宿った場でもある子宮を失うということへの抵抗はありましたが、腕も人柄も信頼できる医師と出会えたことで、大きな迷いなく決意できたのではないかと思います。
◆子宮全摘出手術を終えた今、思うこと
ミレーナを抜いてから手術までの約1ヵ月間は生理を抑える薬を服用していましたが、それでもこれまでに経験したことがないくらいの大量出血がたびたびあり、いつしか手術日が待ち遠しく感じるようになっていました。
また、術後1〜2ヵ月くらいは痛みや違和感があり、生活もいろいろと制限されましたが、その後は以前と変わらない日常が戻ってきました。いえ、いつ生理が始まるかという心配、出血量への不安や痛みなどからも解放され、これまでにない快適さを感じられる日々を過ごしています!
大好きな温泉やサウナにいつでも行けるし、ナプキンを持ち歩く必要もナシ。子宮にまつわる病気のリスクもなくなりました。手術前には抵抗を感じていた「子宮がない」ということも、特に違和感がないことで普段はまったく忘れています。
ときどき思い出して少し寂しさを感じることはあるけれど、生理に悩まされないありがたみを思えば、摘出を決意して良かったんだと、実感するに至ります。
ただ、手術は少なからず体に負担がかかるもの。そうなる前に、対処できることもあるはずです。ミレーナも本来はその一つで、妊娠を望まない方や、生理に悩む方にとって有効な処置でしょう。
とはいえ子宮筋腫がある場合は、私のように「適さないケース」もあるようなので、適切な判断をしてくれる医師に診てもらうことが大切。また、少しでも生理に違和感を覚えたら、放置せず、早めに受診してもらえたらと思います。
<文/千葉こころ>
【千葉こころ】
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中