ウィケンスが事故後初めてGT3カーで周回。ロングビーチ戦に向け、手動運転装置のコルベットをテスト

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2025年03月27日 12:40  AUTOSPORT web

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インディカーでの大事故により下半身不随となったロバート・ウィケンス。彼は今季、前年までのTCRレースを経てIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の5ラウンドに出場する
 ロバート・ウィケンスは、来月ロングビーチで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第3戦に向け、セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた2日間のプライベートテストにおいてDXDTレーシングのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rに搭載されたボッシュ製のハンドコントロールシステムを試した後、「大きな前進だ」と語り同装置を称賛した。

 元インディカードライバーの彼は、4月19〜20日にカリフォルニア州で行われる『アキュラ・グランプリ・オブ・ロングビーチ』にDXDTの36号車コルベットで出走し、コルベットのファクトリードライバーであるトミー・ミルナーとペアを組むことが先週水曜日に決定した。ウィケンスにとっては、スターワークス・モータースポーツのオレカFLM09で2017年のデイトナ24時間に出場して以来8年ぶり、自身2度目のウェザーテック選手権出場となる。

 IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジのTCRクラス王者であるウィケンスはロングビーチで、ボッシュのハンド・コントロール・システムの最新バージョンを使用する予定だ。これは昨季2024年のパイロット・チャレンジの最終2戦で彼がドライブしたヒョンデのTCRマシンに、新開発のブレーキシステムとともに初めて搭載されたものだ。

 新システムは、既存のLMDhプラットフォームの電子ブレーキ・システム(EBS)・モジュールを使用してボッシュが開発したものだが、DXDTのコルベットはブレーキ・バイ・ワイヤ・システムを搭載するように改良を受けている。

 同システムは先月、ミルナーによってフロリダ・インターナショナル・ラリー&モータースポーツ・パークでの直線テストの一部として初めて試された後、ウィケンスがセブリング12時間レースの翌日から、セブリングで行われた2日間のテストの一環としてDXDTのコルベットのステアリングを握って初めてラップを重ねた。

 ウィケンスはテスト2日目に記者団に対してコメントし、「システムがこのクルマのものになっているように感じる」とポジティブな第一印象を語った。

「不調はひとつもない。コルベットZ06 GT3.Rを設計したときから、このシステムは常に計画されていたようだとすら感じる。クルマにふさわしい感じだ」

「ボッシュのEBSを装着してTCRに参戦したときよりも、ブレーキング時のフィーリングなどがはるかに快適になっている。これは大きな前進であり、これを実現するために協力してくれたボッシュ、プラット・ミラー、GM、そしてDXDTレーシングの全員に敬意を表したい」

 ロングビーチでのイベントは、2018年にNTTインディカー・シリーズのキャリアがポコノでの大クラッシュによって途絶えて以来、ウィケンスが後輪駆動車のステアリングを握ってレースに出場する初めてのイベントとなる。それ以前はジュニア・シングルシーターや6年間在籍したDTMドイツ・ツーリングカー選手権で6勝を挙げていた。

「ある意味、離れられなかった気がする」と後輪駆動車への復帰について述べたウィケンス。

「TCRマシンは前輪駆動だから、不安定な瞬間の多くはコーナー進入とコーナー中盤だ。スロットルを操作する時点では、クルマと戦っているわけではないんだ」

「リヤが滑り始めたり、少しステップアウトし始めたりしているときに一貫したスロットルポジションを維持しようというのは、興味深い調整だった」

「だから(後輪駆動車に戻ってから)慣れるのに少し時間が掛かった。ときどき、急にオーバーステアになって、うっかりスロットルを完全に離してしまい、ラップタイムを落としてしまうこともある。だから、まだ課題はたくさんあるよ」

 彼はコルベットのトラクション・コントロール・システムを理解することが課題だとも語っている。「メルセデス時代にGT3でテストしたことはあるし、他のレースカーでもいくつか走ったことがある」

「でも、適切なトラクション・コントロール・システム(TCS)と、マシンの中にあるすべての補助装置やアシストからラップタイムを引き出すという点では、(何がカチッとはまるのかを)まだ理解しようとしているところなんだ」

「というのも、スロットルを開いているとき、僕の解像度はまだ正確でないからね。スロットルを10%くらい開けているつもりでも、実際には30%、35%、40%のスロットル開度になっていて、すぐにトラクション・コントロールが介入してくる」

「クルマはうまく対処しているしドラマが起きているわけでもない。でも、まだ意表を突かれているような気がするし、これからも取り組んでいく必要があるのはたしかだ」

 テストではウィケンスが36号車コルベットでの走行の大半を担ったが、最初のシェイクダウンとインストレーション走行には元インディカーおよびマツダ・プロトタイプ・ドライバーのスペンサー・ピゴットが担当した。

 ウィケンスは、マシンに組み込まれたシステムを「非常によく統合されている」と称賛した。「ハンドコントロールでレースをする時はいつも、ブレーキを掛けるときに手で油圧を操作する感覚を思い描いていたんだ」

「今回のシステムにおいて、関係者全員がそれを実現してくれた。見てみると、ブレーキパドルの上部にダンパーが付いているのがわかると思う」

「僕たちはつねに進化し続けている。今ではスプリングのレートを変更した。基本的にはサスペンションのセッティングを変えるようなものだよ。バンプラバーやパッカーもある。外科手術のような細かいことだけどね」

「このフィーリングには驚かされるし、そのおかげでペースを引き出せているような気がする」

「正直なところ、スピードに乗るまで少し時間がかかるのではないかと内心では心配していた。でもありがたいことに、ここまではそうではなかった」

「やるべきことはたくさんあるけれど、今のところポジティブな兆候が出ているよ」

[オートスポーツweb 2025年03月27日]

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