トランプ米政権の関税措置を巡り、日米両国は担当閣僚による協議を始める。日本は赤沢亮成経済再生相、米国はベッセント財務長官が指名され、「措置の見直し」(石破茂首相)に向けた枠組みがようやく整った格好だ。ベッセント氏は為替について議論すると表明したが、米側が具体的に何を求めてくるのかは不透明で、先行きは見通せない。
ベッセント氏はXへの投稿で、関税だけでなく通貨問題や政府補助金なども議論する考えを示した。特に為替については、トランプ大統領自身も日本が通貨安に誘導していると批判を繰り返しており、円安是正などを求められる可能性がある。
ただ、日本はそもそも「通貨安政策は取っていない」との立場だ。さらに、石破首相は2月の首脳会談後、為替については財務相間で協議を継続すると表明。財務省幹部も財務相同士の交渉が重要になるとみており、議論がかみ合うか早くも暗雲が漂っている。
また、米政府はコメに関する日本の輸入システムの不透明性を問題視。協議では一定の譲歩や一段の市場開放を求められる可能性もある。農林水産省は8日、米国向けの農林水産物に対する関税の影響を分析する対策チームを設置、関係企業や生産者らからヒアリングなどを実施する方針だ。
江藤拓農水相は同日の会見で「影響をしっかり分析し、(関税)措置の見直しをあらゆるレベルを通じて求めていく」と話した。
政府関係者からは「トランプ氏に何が効くのか」「納得するものを差し出さないといけない」といった声が上がる。国内経済の停滞リスクに対する危機感は強いものの、手探りのスタートは避けられない。政府は一丸となって「適用除外」などを求める考えだが、交渉術が試されそうだ。